「日本の作曲家と吹奏楽の世界」
「日本の作曲家と吹奏楽の世界」(福田滋著)という本を読み終わった。まさに労作、という言葉がぴったりの本だと思う。今後時代が移り変わるまで、長く基礎的な資料としても読み継がれていくべき本だと思う。本書は近年人気のある作曲家だけではなく、戦中・戦後の歴史までも俯瞰し、それほど多く吹奏楽の作品を残していない作曲家も丁寧に取り上げている。その数70名。一人ひとりのエピソード、吹奏楽との関わりもよく分かる文章になっている。僕が個人的に目をひかれたのは、戦中の陸軍戸山軍楽隊の関わり。実に多くの作曲家がここを経由しているのだった。後半、自分が演奏したことのある曲が何曲か出てくると、今にしてその背景を知ることが出来て有意義だった。それにしても、今はどうか知らないが、中学・高校ともっと日本人作曲の曲を演奏していたらな、と時々思う。