市民がつくるTVF/神奈川芸術劇場/三代川爆裂都市 vol.2
今日は9時半から、市民がつくるTVF(東京ビデオフェスティバル)の入賞作品を見に行った。ネットでも見れたのだが、まとめて見たかった。全15作品、どれも力作だったので驚いた。特にこういう市民ビデオがいいのは、対象への愛情の深さ。時としてプロが忘れがちな視線が生きていることだ。中でも、僕は最後に見た「待合室の、片隅で。」という作品に眼がしらが熱くなった。もうかなり前なのだが、僕はテレビドラマの仕事で北海道の稚内に行ったことがある。ドラマの冒頭、稚内駅がとても重要なシーンだった。この作品はその稚内駅の立ち食いそば屋が、駅の改築により閉店を迫られるという話。こんな最果ての地までジェントリフィケーションが及んでいるのか、と悲しくなる。けど、それは東京目線かもしれない。本作に登場する多くの方も、古い駅舎がなくなるのは残念だ、と言いつつ、町の発展のことも考えている。その複雑な心情もよく表現されていた。そして、そば屋や人への愛情があふれたカットの数々に胸が熱くなった。
その後、表彰式には出ずに(作者の言葉が聞きたいのは山々だったが・・。)横浜の神奈川芸術劇場に行った。坂口恭平さんのモバイルハウスがデコレーションされた、と知ったので実物を見たかったのだ。このモバイルハウスは来月のエココロの表紙になるらしい。そして、同劇場のアトリウムで演じられた康本雅子×オオタルイチを見た。とにかく楽しかった!こんな気持ちになったのは久しぶりかもしれない。
横浜を後にして、原宿のKINEATTIC http://www.kineattic.com/ に向かう。以前から気になっていた場所で、行くチャンスがなかったから行ってみたかった、というのもある。今日は三代川達 http://www.miyokawatachi.com/ というグループの上映会。「ビリーザキッドの最期の弾丸」(
監督:ワタナベカズキ)「想いは壁を通り抜けて、好きな人に逢いに行く」(監督:頃安祐良)の2本を見る。どちらの作品も技術的にはしっかりしている、と思った。また、テイストはかなり違うけど、どちらも繊細な作品だと思った。ただ、繊細さは裏返せばひ弱さにもつながる。ある時期から、(もちろん普遍的なテーマではあるのだが)自主制作映画の中で、コミュニケーション/ディスコミュニケーションを描く作品が増えていったように思う。それは多分、現実社会の反映でもあるのだろう。一方でどこか閉じた印象を抱くこともある。僕は何かもどかしさを感じてしまった。その後、坂口恭平さんを迎えてのトークショーになったのだが、どこか煮え切らない彼らに対して坂口さんは明確に苛立ちを感じていたと思う。僕は自主製作の劇映画の上映の大変さも少しは知っているつもりだ。だからこそ、いろんなことにトライして欲しい、と思った。副題が”僕らは何と戦うのか”とあったのだが、もしかすると自分と戦わなければいけないのかもしれない。(偉そうに書きながら、僕が彼らの年齢の時は一番迷ってた頃かもしれない、とも思う。)