北川貴好展/石川真生さんの写真展
今日は昼ごろ、歩いてアサヒ・アートスクエアに行って、「北川貴好 フロアランドスケープー開き、つないで、閉じていく」展を見てきた。アサヒ・アートスクエアと言えば、音楽や演劇などの劇場空間というイメージがあるが、アーティストに作品制作の空間を提供する試みを始めたのだそうだ。その第一弾がこの展覧会だそうだ。とても大きな空間なので、生半可な表現では空間に負けてしまうと思うのだけど、本展では繊細さと大胆さが絶妙ななバランスで成立させた空間に生まれ変わっていて新鮮だった。(ただ、個人的には洗濯機の武骨さに少し違和感があったのではあるが。)加えて、元々劇場空間だった特性を生かして、変化する照明が効果的に使われていて良かった。今後もどういうアーティストが作品を発表していくのか楽しみだ。(家から近いしね。)
その後、新宿のニコンサロンに行って「フォトシティさがみはら2011 プロの部入賞作品展」http://www.nikon-image.com/activity/salon/exhibition/2012/02_shinjyuku.htm#01 を見た。相模原市が主催している写真賞だそうだ。昨年のさがみはら写真賞を石川真生さん http://blog.livedoor.jp/ishikawamao/ が受賞した。昨年出版された「FENCES,OKINAWA」は出色の写真集だったので、こういう賞が与えられるのは当然だろう。展示されている写真は、撮られた時期は様々だが、米軍基地周辺の人びとの表情が米兵の姿も含めて生き生きと捉えられていて、人を撮り続ける石川さんの魅力が凝縮されてもいる。そしてさらに、photographer’s galleryhttp://www.pg-web.net/ に行って、石川さんの「港町エレジー」展を見る。石川さんの写真はどれも素晴らしいけど、僕はもしかするとこの「港町エレジー」がもっとも好きかもしれない。撮られた時期は少し前になるが、沖縄の港周辺に暮らす、沖中仕達の喜怒哀楽が生々しい。時には見ていて吹き出しそうになり、カッコいい姿があったり、酒を飲んで酔っ払った姿があり、喧嘩もあり、その場で一緒に呼吸している石川さんの息遣いも聞こえてきそうだ。僕は今や貴重な写真集を持っているのだけど、今回の展示では写真集に掲載されていないものも多数ある。あとのトークで聞いたのだが、東松照明さんが選んだものもあるそうだ。そのトークではかつて恋人だった沖中仕との関係を赤裸々に語っていた。(僕は2004年に一緒に展覧会を沖縄でやった時に、舞台となった場所周辺を石川さんと歩きながらインタビュー撮影をしたことがある。)それにしても、東京で3か所、横浜で1か所、同時に写真展が開催されている、というのは本当に素晴らしい、と思う。