今日も・・・
今日も諸般の事情で身動きとれず。まぁ、そういう時もある。
2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。
今日は、10:00から『よみがえる琉球芸能 江戸上り』という、ドキュメンタリー映画を見てきた。いい作品だった。僕はほとんど知らなかったのだけど、江戸時代、薩摩藩に侵攻された琉球王朝は、参勤交代に合わせて江戸に行く(これを「江戸上り」と言ったそうだ)ことになったそうだ。本作はその江戸上りがどういうものだったのかを絵巻物を参考に再現する様子を描いている。僕はドキュメンタリー映画という言葉と同時に時々訳語として書かれる「記録映画」という言葉も好きだ。本作は「文化映画」とも言われるのだろうが、間違いなく記録映画だと思う。記録、というのは大切だと思っていて、例えば本作を10年後、20年後に見た人は、再び「江戸上り」を知ることが出来るだろう。なお、本作は沖縄では大ヒットしたそうだ。東京ではあまり話題になっていないような気がして、少し寂しい。沖縄の音楽や踊りが好きな人はその源流を知る意味でもぜひ見てほしい。
最近、どうも情緒不安定なのである。そんな時はすかっとした映画を見たいものだ。などど思って『新少林寺』を見た。カンフー映画ではあるのだが、意外とストーリーもしっかりしていて、ドラマとしても見せてくれる。時代は、1912年。まさに中国が辛亥革命後で国内が大混乱の時代。各々の軍閥が勝手に覇権を争っている構図は、ほとんど日本の戦国時代みたいだ。そんな中、非道な将軍が部下の反乱にあい、子どもも殺され、少林寺にたどりつき、これまでの非道を反省して出家。そう、本作では武道の総本山的な部分だけではなく、禅寺としての側面もきちんと描いているのだ。主人公を演じる、アンディ・ラウがいい。そして、小さいけれど大切な役にジャッキー・チェンが。彼の温かみをうまく生かしたキャスティング。もちろん、カンフーアクションもそれなりにあるのだが、それを目当てしたファンには少し物足りないかも。(僕は全然そんなことはありませんでした。)そして、特筆すべきはラストの大爆破!外国人が少林寺を砲撃し寺が吹っ飛ぶ。この大盤振る舞いがすごい。少林寺のセット自体が重厚でしっかりしたものだが、惜しげもなく(まあ、セットは撮影後解体されるのが宿命とはいえ)ぶっ壊される。そして、驚嘆すべきはカンフー大アクションがあちこちで繰り広げられているすぐそばで爆発が起こるのだ。こんなシーン、いままで見たことがない。そして、あまりにも崇高過ぎて唖然とするラストシーン。堪能しました。
今日は、『タンタンの冒険』を見た。スピルバーグ念願の作品、っていうのはもう随分前から言われていたけれど、予告編を見た印象はよくなかった。で、本編を見てもその印象は変わらなかった。僕は3D・吹き替え版で見た。(3Dは時として字幕を読むのはしんどいことがあるので。)まず、あの「絵」に僕はどうも馴染めなかった。パフォーマンス・キャプチャーという、人間の演技をデータとして取り込み、それを元に3DCGにした映像。これは最近の作品でロバート・ゼメキスも追求してきた技術だが、僕にはどうも目指しているのが「リアルな映像」なのか「アニメ」なのかどうもよく分からないのだ。リアルな映像なら実写でいいわけだし、アニメならアニメらしい絵、というのもある。言ってしまえば、リアル6:アニメ4ぐらいの映像は、どうも僕の生理的には気持ち悪い映像なのだ。それはもしかすると、僕はアニメファンではないが、それなりに日本のアニメに馴染んでいるからかもしれない。ただ、もちろん利点もあって、アニメでしか表現できないような表現も多々あって(一番顕著なのはモロッコでのアクションシーンか)それはそれで確かにすいごいとも思った。もうひとつは、ストーリー的にも新味に乏しい。大雑把に言えば、宝探しの話なのだけど、こういう話はなんだか古臭いものに思えてしまった。僕にとってはどうにも乗り切れない映画だった・・・。
見たいと思っていた『マネーボール』をやっと見た。面白い映画だったし、ブラッド・ピットもすごくいいのだが、少し物足りない感じも。映画としては当然と言えば当然なのだけど、主人公のビリー・ビーンがアナリストとともに進めた、野球選手の評価が「マネーボール」の正体だが、映画はその評価軸をささっとうまく表現しているのだが、どのへんが画期的だったのかが少し分かりにくい気もする。それは多分、僕が原作を読んでいるからだろう。その辺と後半のチームの快進撃がもっともっと有機的にからんでいれば、もっと面白くなったと思うのだけど、どうだろう。