2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2011/12/31 土曜日

今年を振り返って

今日はとうとう大晦日ということで、簡単に今年1年間を振り返ってみることにしよう。

2011年

1~3月:『モバイルハウスのつくりかた』の撮影が断続的に続く。 3月11日:東日本大震災。映画の主人公・坂口恭平さんが熊本市に移住したことで、撮影が迷走。 4月:映画の終わり方が見えない中で第一次編集を始める。5,6月頃まで。 7月:ゼロセンターにてクランクアップ。第二次編集を進める。 8月:岡山にて美術展「朝鮮学校ダイアローグ」参加。8~10月、VIDEO ACT!として横浜の”新・港村”に参加。 9月:ほぼ編集完了。 10月:ヒポ コミュニケーションズにて録音作業。映画完成。 11月:ユーロスペース支配人向け試写。 12月:関係者向け試写。

こう書くと順調に進んだように見えますが、まぁ、大雑把に書くとこうなるだけですね。来年はいよいよ、公開・上映に進んでいきます。

それでは皆さん、よいお年を。

未分類 — text by 本田孝義 @ 9:45:28

2011/12/30 金曜日

『子どもたちの夏 チェルノブイリと福島

今年の映画見納め。今日が上映最終日だった『子どもたちの夏 チェルノブイリと福島』を見た。見始めたら、どうも音の調子が悪い。一度映写を止めて再開したが、直らず。急遽、機材を変えて(デッキを変えたと思われる)頭から再スタートしたのはいいが、少し見ていた映像がきれいなハイビジョン画質だった(Blu-rayでの上映と思われる)ことと比較すると明らかに悪い画質。(多分、DVDの上映と思われる)映写トラブルはありうることとは言え、見納めで起きたのは少々残念。それでも、バックアップのDVDが用意してあったのはよかった。自分の上映でも気をつけなければ。さて、本作は、もともとチェルノブイリ原発事故から25年経ったことで企画されていたドキュメンタリー映画だったらしいのだが、3・11の福島第一原発事故によって、内容を変えて、福島のその後を並行して描く作品にしたそうだ。冒頭のナレーションに嫌なものを感じたのだが、その後、その感じは払しょくされていった。映像も美しく、特にウクライナのシーンは柔らかい光が印象に残った。当時、子どもたちの強制避難を進めた国会議員の証言はとても重い。当時も危険性を認識していない議員も多かったようで、強制避難も一筋縄ではいかなかったようだ。また、チェルノブイリで働いていた人びとも登場する。一方、福島県ではいわき市に住む母子が描かれている。とにかく、放射能の不安を抱えながら、悩み、試行錯誤しながら、生きていこうとしている姿にじんとくるものがあった。特に、ウクライナの子どもといわき市の子どもが公園で遊ぶ姿はとても印象深い。静かな音楽とともにいい映画だと思った。この作品が見納めでよかった。(映写トラブルはあったけど。)

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:08:10

ウォークマンを買う

どうも今年はいろんな電化製品が壊れる年のようだ。最近、あまりCDを聞いていなかったのだが、ふと電車内でも音楽が聴きたくなって、CDウォークマンをリュックから出した。そう、僕はいまだにポータブルCDプレイヤーを使っていて、重いなと思いながらリュックにはCDを数枚入れて持ち歩いていたのだ。そしてそのCDウォークマンがついにうんともすんとも言わなくなった。家電量販店ではもはやCDウォークマンは置いてすらいなかった。しかたがない。どうも馴染めないのだが、新しいウォークマンを買うことにした。いちいちCDをコピーするのが面倒だ、と思いつつ、最近はダウンロードする人が多いのだろうなあ。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:39:37

2011/12/29 木曜日

『オバアは喜劇の女王』

今日は、昼間、大掃除の続きをして、夜、『オバアは喜劇の女王』(監督:出馬康成)というドキュメンタリー映画を見に行った。この作品は、沖縄で「喜劇の女王」と呼ばれている、仲田幸子さんのドキュメンタリー。僕は本作にも少し登場している、写真家の石川真生さんの写真集で仲田さんのことを知ったのだが、沖縄では超有名人らしき仲田さんの芝居を見たことがなく、正直、その魅力は分からなかった。本作を見て、その謎が少し解けた。冒頭、長々と芝居の一場面が映されるのだが、腹を抱えて笑ってしまった。いやー、すごい。もっとも、仲田さんの芝居は沖縄の方言でやるので僕など何を言っているかさっぱり分からない。字幕が付いているので内容は理解できたのだが。実はこうした沖縄方言は沖縄では若い世代でも分からないらしい。(ガレッジセールのゴリがそうしたことを語っている。)映画は多くの人のインタビューから仲田幸子の魅力を浮かび上がらせている。今や孫も劇団員で仲田一族、のような雰囲気だ。芝居の作り方で驚いたのは、台本がなく全て仲田幸子からの口頭だということ。方言の微妙なニュアンスはこうした方法でないと伝わらないのかもしれない。よく常套句で「笑いと涙があり」なんて言うが、芝居の断片を見た感じからまさに「笑いと涙」の芝居なんだろうなあ、と思った。映画を見始めた時は、少々ルーズな撮影に、どうしたものか、と思っていたのだが、見終わってみると、あまりかちっとした撮影では逆に魅力をそいだかも、とも思った。だからこれでよかったのかもしれない。とにかく、久しぶりに元気が出るドキュメンタリー映画だった。昨日から今日にかけて、沖縄ではバカな役人が醜いことをやっているが、そういう役人こそこの映画を見た方がいい。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:51:09

2011/12/28 水曜日

大掃除/『3.11日常』

今日は自宅の大掃除。とは言うものの、現実的には大片づけ。今日はとにかく机周りを片づける。毎年のことだが、意味もなくため込んだ映画のチラシをガンガン捨てていく。そうしていると、見ていないドキュメンタリー映画もいっぱいあることに気づく。近年はドキュメンタリー映画の公開本数が多くて、はなから諦めているのもあるのだが、優先順位としては海外のドキュメンタリー映画よりも、日本のドキュメンタリー映画を見ることが多い。かと言って、ハリウッド大作も見ているので、まぁ、見てないドキュメンタリーが増えてしまうのだった。ふと、自分の新作が多くの人にとって見なかった映画になる恐怖を感じた。今日の片づけはここまで。

上に書いたようなことを思ったからではないのだが、どうしたわけかこの年末、公開期間が短いドキュメンタリー映画が何本も公開されていて、いったい何が起きたのか、と思うような状態。で、今日は『3.11日常』http://www.311everydayliving.com/(監督:わたなべりんたろう)を見た。僕が特に気になっていたのは、わたなべ監督が自らクラウドファンディング(ネットで資金を募る方法)で製作資金を調達して作っていたことだった。僕みたいにインディペンデントでやっている者にとってこうしたやり方は参考になる。さて、映画の方は基本的にインタビュー映画。一番出てくるのは小出裕章さん。わたなべ監督の質問・感想が1枚テロップで出るのだが、僕はどうもそのリズム感に乗れなかった。特に前半は、字幕が饒舌で、小出さんの話をもっと聞きたい、という欲求不満が残った。他に女優の水野美紀さんソウル・フラワー・ユニオンの中川敬さん、高橋健太郎さん、19才~22才のハンストを行った若者たちが出演。そこに所々、小出さんの話が串刺しになっている。各々の話はとても興味深かったのだが、全体の束ね方が少し弱い気がした。各々の話がもう少し絡んでくると、違った光景が見えたかもしれない。それにしても、短期間で編集して公開までもっていったわたなべ監督のパワーには感心する。ただ、年末の1週間だけの公開、というのはちょっと残念な気がする。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:32:19

2011/12/26 月曜日

大掃除/石川直樹展「Halluci Mountain 幻の山」

今日は朝早く事務所に出かけて、大掃除。事務所がある地域では今日が燃えるごみ・資源紙の回収が年内最終日だったので、ある事情で部屋を広く空けなければならず、余分な段ボールなどを先日まとめておいたものを出す。本当は粗大ゴミも出したかったのだけど、年内は無理と言われたので、年明けにまわすことに・・。

その後、ユーロスペースに行って、『モバイルハウスのつくりかた』の仮チラシを確認する。大体、2月頃までに公開される作品のチラシがずらっと並んでいて、いっぱい作品があるなあ、と思いつつ、『鬼に訊け 宮大工西岡常一の遺言』の隣の隣にチラシが並んでいるのはなんだかちょっとうれしい。(映画は見ていないのだけど。)

その後、「石川直樹展「Halluci Mountain 幻の山 」」http://gyre-omotesando.com/を見に行く。もちろん、石川さんの名前は知っていたし、写真集を見たことはあるのだが、接点は全くなかった。石川さんは坂口恭平さんと親しいということもあって、先日、『モバイルハウスのつくりかた』の関係者試写にも来てくれたのだった。その時、今回の個展のことを教えてもらったので見に行った。石川さんは今年5月、2度目のエベレスト登頂をはたしている。展示してある写真の半分ほどが今回のエベレスト登頂時に撮られた写真だ。大きくプリントされた写真の前に立つと、とても厳粛な気分になる。だけれども、どこか鋭敏な感覚ともまた違う。この不思議な感覚が何なのか、僕の貧弱な言葉ではうまく書けそうにない。とてもぐっとくる、写真展だった。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:02:20

2011/12/25 日曜日

『リアル・スティール』

予告編を見て、面白そうだなと思ったので、『リアル・スティール』を見た。確かに面白くはあったのだが、予告編以上のものではなかった。逆に言えば、予告編がよく出来ている、ということでもあるし、予告編で見せすぎている、ということでもある。(でも満席だったから、やはり予告編につられてきた人も大いに違いない、僕のように。)見ながら不思議な感覚になったのは、原作者のリチャード・マシスンの本は読んでいないけれど、ある意味で古き良きSFのテイストがあって、それを最新の技術で映像にした感触がある。まぁ、だから安心して見ていられる、というのもあるが。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:31:47

2011/12/24 土曜日

年賀状

今日は年賀状のあて名印刷をして、無事、出すことが出来た。約120通、というのは個人として多いのか少ないのか分からないが。ちなみに、昨年はさぼって出さなかった。2012年の年賀状を出したのは、新作の公開のお知らせを兼ねて。宣伝めいて申し訳ない、と思いつつ、近況報告でもあるので厚かましい年賀状にさせてもらった。年賀状が届かなかった方にはすいません。基本的に昨年年賀状をくださった方と今年を中心に名刺をいただいた方に出したので。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:43:31

『容子からのメッセージ~がん もう一つの生き方』

今日はビデオプレスの新作ドキュメンタリー『容子からのメッセージ~がん もう一つの生き方』の完成試写会に行ってきた。出来たばかりで、本当に昨日、完成したのだそうだ。ビデオプレスは労働問題・社会問題を扱った作品を数多く作ってきたが、今作はそういう中では異色の題材かもしれない。主人公の渡辺容子さんは乳がんが見つかるが、手術を拒否し、抗がん剤も飲んでいない。(ただし、放射線の治療は受けておられるようだ。)なぜ、こういう選択をしたのかは映画の中で丁寧に語られている。ガンの治療に関してはいろんなことが語られていて、抗がん剤は副作用があまりにも強いことや、手術でも臓器の切除による体力の低下など、はたして患者にとって本当に「いい」選択なのか、は常に問題になっている。今や2人に一人ががんになる時代。こうした問題は一種の「ガンタブー」があって、なかなか本当のところが語られていない、と僕も思う。本作では渡辺さんが「後悔は全くない」という、とても前向きな姿勢に見ているこちらも元気が貰えるような気になるし、会場では何度も笑いが起きていた。ガン患者、のドキュメンタリー映画でありながら、こんなにからっとした映画であるのは珍しい。渡辺さんの主治医は「患者よ、がんと闘うな」の著作がベストセラーになった、近藤誠さん。本は売れたものの、医学という巨大な構造の中では異端者扱いをされているらしく、渡辺さんのようにがんと向き合う人はまだまだ少ないようだ。本作の強いメッセージは、どんな病気でも医者任せにすることなく、自分の頭で考えること。難しいからこそ、心に留めておきたい。・・・とここまでが作品の感想で、以下は個人的な話。もう、何度も書いたのだが、また書いておこう。僕は5年前に父を胃がんで亡くしたが、入院した時にはすでに末期がんで何の治療もできなかった。それでも手術をすることになったのだが(この時は胃を摘出する予定だった)が、胃を切除することは生命に危険があるということで、結局、何も出来なかった。映画を見ながら、もし、父のガンがそこまで進んでいなかったら、どんな治療を選んでいたか、仮に抗がん剤治療をすることになっていたとしたら、とても僕は看護出来なかっただろうとも思う。また、父には末期がんである告知をしなかった(出来なかった)ので、父の死生観を聞くことが出来なかったのも心残りだ。特に父は僧侶だったので、もしかすると深い話が聞けたかもしれない。今日の上映後のディスカッションでも、多くのガン患者が発言をされていたように、本作を見ると自分のこと、家族のことなどのがん体験を語りたくなるだろう。最後に付け加えると、アンケートにも書いたのだけど、僕は個人的にはタイトルを変えた方がいいと思っている。ビデオプレスも悩んでいるようだ。普遍性を持たせるなら、『がんと共に生きる』なんていいと思うのだが、どうでしょう。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:18:29

2011/12/22 木曜日

『医す者として』

今日は『医す者として』(監督:鈴木正義)というドキュメンタリー映画を見た。・・・内容を書く前に、外が寒く映画館の中がポカポカと暖かく、ついうとうとしてしまっていた。ああ、失敗。本作は長野県佐久市の佐久総合病院の歩みを描いた作品。佐久総合病院と言えば、医師の若月俊一が農村の地域医療に取り組んだ病院として有名だ。本作を見て驚いたのは佐久総合病院には映画部があって、様々な取り組みが記録されてきたことだった。このドキュメンタリー映画ではそうした映像をふんだんに使っているので、生き生きと当時の姿が垣間見れる。と同時に、インタビューと資料映像で構成される前半は少し単調で疲れた。終盤、現在の難しい問題にも立ち向かっている様子が力強かった。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:03:58

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