『ちづる』
今日は巷で評判になっているらしい、ドキュメンタリー映画『ちづる』(監督:赤﨑正和)を見た。本作は立教大学での卒業制作として製作され、劇場公開での配給・宣伝なども立教大学生が行っているらしい。題名の”ちづる”は監督の妹で、知的障害と自閉症を持っている。簡単に言えば、監督が妹と母親(および自分)を撮った作品だ。内容には興味があるのだけど、僕には生理的に合わない映画だった。あえて生理的に、と書いたのは多くの観客とは受け止め方が違うかもしれないからだ。これはドキュメンタリー映画に限らず、劇映画だって生理的に合わない映画は時々あるから特別なことではない。だから話はここで終わってもいいのだけど、僕が感じたことも書いておこう。まず、僕は監督と妹の距離感が嫌だった。身近な存在なので親密に映すことが出来ると思うのだが(もちろん、場合によっては身近だからこそ困難なことだって当然あるけど)、僕はその関係性に甘えているように感じてしまった。だからと言って、もっと客観的に、と思っているわけではないし、いわゆるプラーベート・ドキュメンタリー全般が嫌いなわけでもない。個別具体的なシーンとしてはなかなか説明しにくいのだが、「撮る」ことと「撮れてしまう」こととの違いかもしれない。ただ、僕が感じた甘えというのは、一般的ではないだろう。そこが「生理的に」と思った所以。もうひとつ、小さなカメラを使ったと思うのだけど、だからこそ親密感もあると思うのだけど、さすがに劇場の大きな画面で見た時には画面のブレが気になってしまう。途中から僕はうっすら頭痛を覚え、映画館を出た後もかなり疲労を感じてしまった。これは最近、多くの作品がハイビジョン、16:9の画面になったことの副作用、みたいなものだ。どうも人間の目は、横長の画面ほどブレた画面を苦痛に感じるようだ。(一方、こういう副作用があるので、やたらフィックスの画面ばかりのドキュメンタリーも増えていて、これはこれでつまらないのだが・・・。)僕も新作のほぼ半分ほどは手持ち撮影をしているので、大きな画面で見た時にどう見えるのか、実はまだ確認できていない不安がある。だから、来週、その点もチェックする予定ではある。