準備
諸般の事情で、少しバタバタしましたが、土曜日の撮影に関して、段取りはついた。もうひとつやっかいなことはあるが、それは現場で対処するしかない。
2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。
大相撲が八百長問題で大揺れに揺れている。テレビや新聞ではいろんな論客がいろんなことを語っている。そんなことを見たり聞いたりしながら、ふと、気になりつつ読んでいなかった本があったことを思い出した。『おすもうさん』(高橋秀実著)だ。読んでみた。この著者の本は結構好きで、今まで何冊か読んできた。大上段に振りかぶることなく、出来るだけ自分で経験もしながら(本書では相撲教習所でまわしまで締めている)、ふっと笑えるような視点を示しつつ、よく考えてみればえらく深いところをついていたりするのが好きだ。本書のキーワードは「呑気」。相撲部屋の若い力士が「なぜ、相撲取りになったの?」という著者の質問に対して「なりゆきで・・」という答えを連発。古い文献を紐解きつつ、時代時代で相撲に期待されることが変遷してきた流れも紹介。こうしてみると、相撲にはいろんな側面があるけれど、相撲取りたちが望む・望まないに関わらず、現在はやはり「スポーツ」としての側面を求める人が多い、ということだろう。そう言えば、僕が住むところは日常的に相撲取りを見かけるところなのだが、街自体がなんとなく元気がないような気もする。(方やスカイツリーでは大騒ぎだけど。)
今日は『ナチス、偽りの楽園―ハリウッドに行かなかった天才』(監督:マルコム・クラーク)というドキュメンタリー映画の試写会に行った。映画を見ながら、本作を表すのに一番ぴったりな言葉が浮かんだ。それは、史上最も残酷な「やらせ」映画の内幕、というもの。ちょっと下世話に書いてみたのだが、この背景を説明するとなかなかに複雑。僕は不勉強でこういう事実があったことを知らなかった。本作の主人公は、クルト・ゲロン、という人。ユダヤ系ドイツ人で戦前の映画でわき役として活躍し(有名な映画では『嘆きの天使』)舞台の役者でもあったそうだ。(後に監督にもなる。)ナチスが台頭する中、多くのユダヤ系の映画人(例;フリッツ・ラング監督、ビリー・ワイルダー監督)らがドイツを離れハリウッドに向かうが、ゲロンは脱出しそびれてしまう。その後、フランス、オランダと流れていくがナチスのヨーロッパ侵攻によって、結局、収容されてしまう。収容されたのは、テレージエンシュタット収容所、というところだった。僕はこの収容所のことを知らなかったのだが、多くの収容者はここからさらに別の場所(例;アウシュビッツ)に移送されたそうだ。そういう意味では一種の中継地点のような所。(もちろん、この収容所で亡くなった人も多いが、いわゆるガス室のようなものはなかったらしい。)また、ここに送られたのはユダヤ人の中でも「名士」的な人だったそうだ。そして驚くべきことに、ナチスドイツはユダヤ人虐殺をごまかすために、このテレージエンシュタット収容所が素晴らしい場所であることを示すために、庭園やコンサートホールなどを作って、国際赤十字に公開した。その流れの中で、クルト・ゲロンにプロパガンダ映画(ドキュメンタリー)を撮らせることになったのだ。僕があえて「やらせ」という言葉を使ったのは(普段、この言葉はあまり使わない)、2重の意味がある。まず、タイトルにあるように、テレージエンシュタット収容所自体が壮大な「虚構」であること。加えて、そこで暮らすユダヤ人の「笑顔」を演出するようなやり方が「やらせ」であることだ。そして、「残酷」という言葉を使ったのは、こうした構造自体が残酷であり、監督を任されたクルト・ゲロン自身は、アウシュビッツに送られるか、映画を撮るか、という究極の選択を迫られたことだ。少し事例が違うが、リーフェンシュタールの話を聞くと、僕ならどうするだろう、と考えることが出来たけど、クルト・ゲロンのような境遇なら、自分はどうするか、とても考えが及ばない。結局、その映画は公開されず、断片的に映像が残っているだけのようだ。そして、映画の最後、最近ではちょっと記憶にないほど重い字幕が画面に現れる。内容はここでは書かない。ぜひ、映画館で確かめてほしい。このドキュメンタリー映画自体はきわめてオーソドックスな作りだが、色々、知ることが多かった。
今日は午後から、”てれれ@the”ロック”食堂vol.1.5”に行ってきた。関西を中心に活発な上映をやっている、”カフェ放送てれれ”の東京上映も回を重ねてきた。今日は3・4月号のプログラム。(の緊急特別上映会)てれれ代表の下ノ坊修子さんが東京に来られたので上映することになったそうだ。上映後につい、言ってしまったのだが、てれれのプログラムは何が出てくるか分からない、闇鍋のような面白さがある。今日の上映作でも、とても丁寧に戦時中の爆弾工場(枚方市)のことを描いた作品もあれば、アーティストの作品もあれば、チープな手作りの特撮の戦隊もの(+ショートコント!)もあるというふり幅の広さ。往々にして、「上映会」と言うとあるテーマが決まっていたり、アート寄りだったり、アニメだったり、ジャンルが近いものをやることが多い。そしててれれがすごいのは、応募があった作品は選別せず全部上映する、というとこだ。だったら、今のご時世、ネットの動画でもいいのでは、という人もいるが、作品を見た後、ああだこうだ話が出来るのが上映会の面白さ。今日なんか枚方市出身の方が多くて、えらく話が盛り上がっていた。もうひとつ。今日の上映会場の”ロック食堂”は秋田料理のお店で、有名になった横手焼きそばを食べた。おいしかった。
今日は「3・4緊急院内集会 中国電力による上関原発の工事強行を止めるために」という集会を取材してきた。院内、というのは議員会館のこと。新しくなった議員会館に初めて入った。広くきれいになっていてびっくり。もっとも僕は以前の議員会館が狭すぎると思っていたので、広くなっていいと思う。大会議室は300人ほど満席で、関心の高さが伺える。いろんな方の報告、国会議員の発言などを興味深く聞かせてもらった。こちらは、昨日に引き続き、編集してyou tubeにアップしましたので、よかったら見てみてください。http://www.youtube.com/watch?v=o0OriU5rK-s&feature=channel_video_title
で、次に”「地上アナログ放送の終了延期=地デジ難民のゼロ化」を求める記者会見”がこちらは参議院議員会館で行われるので、こちらも取材しよう、と思っていたのだが、前記の集会が少し押したこともあって、慌てて会場に駆け付けたら、肝心の話がすっかり聞けなくて、まともな取材にならなかった。上関の原発問題がまともにマスコミで報道されていないけれど、地デジ難民の問題もほとんどマスコミタブーのように報道されない。今のところ、順調に進捗している、というのが総務省の報告でそれを鵜呑みにしたマスコミがその情報を時々報道している。でも、ちょっと待った、数字にはまやかしがあるし、アナログ放送の停波を延期した方がいい、というのが今日の記者会見の趣旨。僕もそうだと思う。地上デジタル放送を批判しているわけではなくて、現在、デジタルもアナログも放送されているのだから、もう少しこの状態を続けて、一斉停波ではなく、段階的に停波してもいいと思う。(もっとも、そうするとテレビ局はコストがかかる、と言うのだが、確かにその通りなのだが、視聴者そのものが減るコストだって相当大きいはずだ。)十分取材できなくて、動画をupすることは諦めました。残念。
今日は夜、DOMMUNEに行った。坂口恭平さんの番組「都市型狩猟採集生活」の第6夜。今日は、先日、坂口さんが上関原発建設地に行ったこともあって、エネルギーについて考えよう、という一夜。ゲストは映画監督の鎌仲ひとみさん、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さん、司会はいつもの磯部涼さん。話を聞きながら時間がすぐるのがものすごく早く感じるほど、充実した密度の濃い議論だったと思う。twitterでもえらく盛り上がっていたそうな。多くの人が感じている疑問をちゃんと考えたいのだと思う。
今日は”モラトリアム・カミノセキ”の記者会見を取材してきた。2月22日に強行的に工事が再開された上関原発。現地へ飛んで行った坂口恭平さんの日記を読みながら、僕も何かしなければ、という気がしていた。今日、上記のような記者会見があると知り、僕に今出来ることはとにかくこの記者会見だけでも取材して伝えることだ、と思った。最近、こうしたニュース的な映像は流していなかったのだけど、今日は久しぶりにやってみようと思った。『ミツバチの羽音と地球の回転』の監督・鎌仲ひとみさんにも久しぶりに会った。随分お会いしていなかったけど(作品は全部見てます)覚えてくれていた。記者会見を聞きながら、僕が引っかかったこと。こういう反対運動が起きると、つい、「賛成派」という言葉を使ってしまうのだけど、僕は出来るだけこの言葉を使わないようにしている。お金のためにせよ、何にせよ、原発を受け入れてしまった人たちも「積極的に賛成」とは思えなく、「賛成」という言葉にはその積極的な感じがどうしてもしてしまうのだ。僕はせいぜい、「容認派」あるいは「受け入れ派」という言葉の方が、自分ではいいと思っている。結局一緒じゃないか、と思われるかもしれないけど。僕が「賛成派」という言葉に敏感になったのは、やはり灰塚ダム水没者の方々と出会ったから。ダムを造ることを受け入れた地域だけど、僕には住民の方々がダムに「賛成」しているとはとても思えなかったのだ。さて、今日取材したものをちょっとばかし一苦労しながら、やっとyou tubeにアップしました。よかったら見てみてください。 http://www.youtube.com/watch?v=hirfP9tVgXg
今日は映画の日。ということで『イップ・マン 序章』を見る。変則的に続編が先に公開され、観客5000人で前作を公開、めでたく5000人を超え、前作『序章』が公開された。一部では「反日的な内容で公開が見合わされた」などと言われていたが、見たところ、まぁ、そんなに目くじらを立てるほどではない。映画は傑作だった。最近どうも見かけだけが派手で一向に感情移入出来ないアクション映画が多い中、本作は極めてエモーショナルな感情を掻き立てられる。ドニー・イエンは地味、と前に書いたが、本シリーズでは誠実そうな人物像と合っていて、イップ・マンが感情を抑えながら怒りがほとばしる演技+美しく流れるようで早いカンフーが見事だ。久しぶりに満足した映画だった。この映画が東京1館でしか公開されていないのは残念。
夜、メディアアクティビスト懇談会の会議。1月で計6回の検証を終わったのだが、やりっぱなしではなく、何かしらまとめた方がいい、ということになり、冊子にまとめることに。一つ宿題が出来ました。