2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2011/2/15 火曜日

「津山三十人殺し 最後の真相」

いきなりおどろおどろしいタイトルを書いてしまったが、「津山三十人殺し 最後の真相」(石川清著)という本を読んだ。僕がこの実際にあった事件のことを知ったのは、父からだった。父は津山市ではないが、岡山県の県北の出身で、映画『八つ墓村』(1977年版)が公開されて大ヒットしていた頃(映画自体も岡山県各地でロケされている)、「原作の小説にはモデルになった事件がある」と言っていたのだ。事件が起きたのは1938年だから、現場近くの出身であった父にとっては、幼少時生々しく聞いた話だったのかも知れない。それ以後、僕にとっても気になる事件になって、本を読んだり、雑誌の記事を読んだりしてきた。事件が起きた村には、父と一緒に行ったこともある。そんなことで、「津山三十人殺し」に関する最新刊を読んでみた。最初の方は、雑誌の記事の採録だったりして、ちょっと読みづらかったが、後半は読めた。本書の肝は、犯人と祖母の関係を戸籍から新たに考察した部分だろう。僕はかなり説得力があると思ったが、いかんせん、73年も前の事件なので、やはり解明できない部分、もどかしさもある。もうひとつは、事件の発端とも言われた女性が生きており、短いながらも話を聞いている部分だ。少々不満なのは、本書のタイトル。著者も最後でまだ調べることがある、と書いているのに「最後の真相」とは少しオーバーなこと。

未分類 — text by 本田孝義 @ 21:58:39