「踏み越えるドキュメンタリー」「シリーズ日本のドキュメンタリー5資料編」
ある時期から、ドキュメンタリー映画をめぐる文章を読むのが苦手になった。その理由はいくつかあるのだけど、ドキュメンタリー映画を作る実感とどこか遠いように思えたことだった、と思う。今年になってから、少し気持ちが変わって、2冊の本を買った。1つは「踏み越えるドキュメンタリー」。「日本映画は生きている」という、何やらすごいタイトルのシリーズの1冊。石坂健治さん(東京国際映画祭アジアの風部門プログラミング・ディレクター)の編集が秀逸で、実に幅広い観点からドキュメンタリー映画を考えることができる好著だと思う。(偶然ながら、先日、この本を買った次の日に石坂さんとばったりお会いしたのはびっくりした・・・。)次に、「シリーズ日本のドキュメンタリー5資料編」。上記のような怠慢で、1~4を読んでいないのだが、5を手に取って見て驚愕。映画だけではなく、テレビ、さらには市民ビデオまで約1000作品がびっしり収録されている。常々、ドキュメンタリー映画を調べるには、情報が集約されておらず、意外と苦労することが多かった。ところが、この本1冊あれば、かなりの部分がカバーできるだろう。大変な労作だと思う。ちなみに、僕の長編3作、個人名も記載されていてありがたい。