ここのところ、諸般の事情で撮影が止まっていて、年末を迎えつつもそういう気分になかなかなれなかった。が、いくつかの偶然が重なって、今日、都内某所で打ち合わせが出来た。打ち合わせの前にはいくつかの懸念事項があったのだけど、おおよその筋道は見えたと思う。今後のスケジュールも大体固まりそうだ。細かい調整はあるとしても、先行きが見えてきて、これで年が越せそう。そんなわけで、世間でいうところの、今日が仕事納め、かなと。
事務所に行って、片づけ。大掃除というほどではないが、年末の締め。
さあ、帰ろうかと思ったが、ふと気づけば、ポレポレ東中野で見たい映画があったことに気づく。今日も珍しくはしご。
1本目は『9月11日』というドキュメンタリー映画。大宮浩一監督。9月11日と言っても、直接、アメリカのテロ事件とは関係ない。今年9月11日に広島で行われた介護を仕事にしている若者たちのトークイベントを中心にした作品。だから、撮影して3カ月で公開、というとんでもなく早い公開なのだ。僕自身はその早さにはそれほど意味を感じないけど。で、映画は介護に関する本音(と思われるもの)がポンポン飛び出して面白い。見る前は、トークばっかりの映画、と勝手に思っていたら、発言者の普段の介護の様子も短いながら撮られていた。もうひとつ、僕が面白かったのは、僕が今考えている映画の構造とかなり近い部分があったから。それにしても、出てくる人たちは30代が中心で、最近、どこに行ってもこの世代の元気がいい人たちに出会うことが多い。
次に、今日が上映最終日ということもあって井土紀州監督『ピラニア』を見る。「青春H」シリーズの1本だそうだ。Hとあるように、ちょっとHなシーンがある、青春映画、ってことなのだろう。映画を見る限り、かなり低予算の製作規模のようだ。所々、その製作体制が痛い。そして、率直に言って、僕は物足りなかった。ある意味、破たんなくよく出来てはいるのだけど、井土独特の毒、のようなものは薄い。もっとも、今までにあまり感じたことがない軽みもあって、そういうところは好きだ。(前にも書いたけど、僕は井土に滅茶苦茶な笑える映画を撮って欲しいのだ。)上映後のトークを聞いて、今のスキルが上がった状態で、井土の言うところの「夢」をどう描くのか、見てみたい。