最近はあまり映画のはしごをしないことにしている。(映画祭は別だけど。)年をとったせいか、体力よりは頭の回転が追い付かないからだ。だけど今日は夜、珍しく映画のはしご。
最初に見たのは『ベオグラード1999』(監督:金子遊)というドキュメンタリー映画。タイトルに1999とあるのは、かなりの映像が1999年から2000年にかけて撮られているから。監督は色々考えるところがあり、当時撮った映像を封印していたそうだが、映像にも映っている元彼女が亡くなったことを契機に、再び映画としてまとめることにしたそうだ。だから、映画は新右翼・一水会のドキュメンタリーでありつつ、個人映画の趣をまとっている。その外形は別に違和感はなかったのだが、一水会の木村三浩さんを中心に追いかけた映像に何か心張棒みたいなものが足りない気がしてしまった。うまく言えないのだけど。
その後のトークショーは聞かずにユーロスペースへ。井土紀州監督『泥の惑星』を見る。映画一揆と題した井土紀州の特集上映も明日まで。僕は自分の怠慢から、新作3本のうち2本を見逃してしまった。だから最後の1本はどうしても見ておかなければいけなかった。作品は農業高校高校生の青春映画。こういう映画は井土紀州としては初めてかもしれない。至極まっとうな青春映画ではあれど、将来への不安やうっ屈が地方都市の風景の中で響いている。そこが井土らしい気もするが、本人が脚本を書いていないせいかわからないが、所々セリフが堅いなあ、とも思った。高橋君のカメラはドリーの動きを多用し気持ちよかった。53分と短い映画だからなのか、最後の方は少々駆け足な気がしたし、あのラストカットの次が見たい、という気もした。それにしても、決して恵まれた製作条件とは思えない中でも、次々と作品を作り続けている姿勢には感心する。蛇足ながら、僕が井土紀州作品に”出演”した学生時代の映画が12月25日に上映されるそうな。ああ、恐ろしい。