「幻の漂泊民・サンカ」
沖浦和光著「幻の漂泊民・サンカ」を読み終わった。サンカと聞くと、ついアウトサイダーとしてロマンチックに考えがちだけど、数少ない文献(なぜ文献が少ないかが著者の起源説の大きな根拠になっている)と実地での見聞を丁寧に解きほぐして実像を描いている。とてもいい本だった。
2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。
沖浦和光著「幻の漂泊民・サンカ」を読み終わった。サンカと聞くと、ついアウトサイダーとしてロマンチックに考えがちだけど、数少ない文献(なぜ文献が少ないかが著者の起源説の大きな根拠になっている)と実地での見聞を丁寧に解きほぐして実像を描いている。とてもいい本だった。
「西遊妖猿伝 西域篇(2)」を読んだ。ご存じ諸星大二郎の西遊記をベースにした漫画。長らく中断していたものが再開されてうれしい限り。諸星大二郎の独特なタッチが中国の怪しい世界に合っていてとても好きな漫画。昔、潮出版が出していた伝説の漫画雑誌「コミックトム」は豪華執筆陣と充実した内容でほとんど漫画雑誌を読まない僕がほとんど唯一読んでいた雑誌だったのだけど、2001年に廃刊。「西遊妖猿伝」も1997年まで連載されていた。もう続きは読めないのかなと思っていたので新刊が出ていることが奇跡みたいに感じる。
法政大学は僕の母校。その法政大学には映画サークルが複数(僕の在学時は7つ。今は6つ?ちょっと分かりません)あって、各々独自の活動をやりつつ、横の連携もはかる意味もあって、法政大学映画団体協議会(略称:映団協)、という、なにやら物々しい名前の団体がある。僕の記憶に間違いがなければ、僕は1989年度の映団協議長だった。(議長、なんて書くと政治団体っぽいですが協議会という名前なので議長、だったのでしょう。もっとも、70年代に出来た団体なので少しは政治的ニュアンスがあったのでしょう。)で、今日はビクターの中岫さんに誘われて、その映画団体協議会が主催する法政映画祭に行ってきた。(中岫さんはゲスト審査員。)僕の在学中はこういう映画祭はなかったけど、前期・後期に合同上映会をやっていた。僕自身は別に法政大学に行くことを避けてきたわけではないけれど、やはり学生会館がなくなってからはとりわけ行きづらい、という気持ちはある。それでもせっかくのお誘いなので出かけてみたのだった。午前10時半から上映が始まり、短編・中編含めて10本の上映。上映時間の関係で予選会をやって上映作品を選んだのだそうだ。上映サークルは4団体だった。作品を見ながら、ふと僕らの学生時代はどうだったか、ついいろんな作品のことが頭をよぎる。個々の作品評は省略しますが、全体的に気付いたことを大雑把に書くと、基本的にみんなうまい、ということ。多分、僕らの時代は8mmフィルムということもあって、技術的にはもっと下手だったような気がする。と同時に、今の学生の作品は繊細な作品が多い印象を受けた。だが繊細さはひ弱さにも通じていて、もっと図太い、滅茶苦茶な作品があってもいいと思った。ゲスト賞、会場賞は僕がいいな、と思った作品と一致した。話は少し変わるのだけど、今回の映画祭に合わせて批評紙が創刊されていた。またまた昔話をすれば、僕が学生だった頃は合同上映会の後に必ず批評紙を出していた。だからとてもいいことだと思う。その批評紙にシアターゼロが持っていたサミュエル・フラーのフィルムのことが書かれていた。なぜ法政大学にこうしたフィルムがあるのか分からない、とあったので、元シアターゼロでもあった僕は、自分が知っている範囲で事情をお伝えした。さすがに20年は一昔。加えて、僕らが大事なことを伝えてこなかったのも事実。もうひとつ、昔話を思い出した。今日の映画祭で映像研究会の作品が4本あってうれしかった。と言うのも、このサークルは古い由緒ある映画サークルなのだけど、僕が入学した頃はサークル員がおらず休眠サークルだった。他の6サークルには全部で約300人もいたのに。僕は別の映画サークルに入っていたのだけど、諸般の事情があって僕も含む何人かで映像研究会を復活させた。(その時のサークル員の一人が映画監督・脚本家で活躍中の井土紀州だ。)他のサークルに比べて人数も少ないし、また休眠しちゃうかも、などと思っていたら、20年後の現在も活動中とあって少し感無量。
坂口恭平さんが月1回、リトルモア地下で開催するUNIVERSITYに行った。「空間」について考えていきたい、という大テーマで進める予定だったのだが、坂口さんがどうも体調不良だったようで入口の話だけになってしまった。でも、「次回もやります」と言った坂口さんの気持ちを僕は信じています。
縁があって、ある方が近々出す本のゲラを読ませてもらった。めちゃくちゃ面白かった。
以前書いた文章を直さなければならなくなり、急遽改稿作業。これでいければいいのだけど。
五十嵐太郎+磯達雄著「ぼくらが夢見た未来都市」を読了。新書だからさくっと読めた。内容をコピペすると、高度成長期、少年向け雑誌のイラストや漫画に描かれた超高層ビル群、エアカー、空中都市などに、子供たちは魅了された。建築家たちも、増加する人口に対応するための巨大な東京計画を次々と発表した。一九七〇年の大阪万博は未来都市の実験場だった。しかし、四十年後の上海万博で展示された未来都市は、大阪万博とたいして変わっていない。未来都市は構想できなくなったのか?いまやノスタルジーなのか?ダ・ヴィンチから現在まで、建築家たちやSF作家たちが描いた未来都市像の変遷を辿る、というもの。建築史(こちらが五十嵐さん執筆)だけではなく、小説などのフィクション(こちらが磯さん執筆)内での未来都市を併置しているのが面白い。だから磯崎新におけるSF小説の影響、なんていう話も出てくる。そして、これからの未来都市は、多分、自分たちの足元を見つめ直すことから出てくるような気がしている。
試写で『石井輝男映画魂』というドキュメンタリー映画を見た。僕は石井輝男監督の作品をあまり見ていない。そんな人間がこういうドキュメンタリーを見るのも変な話かもしれないが、だからこそ興味もあった。石井輝男監督と言えば、『網走番外地』シリーズが有名だが僕らの世代ではしばらく映画を撮っていなかった後に復活してからの晩年(2005年に亡くなられた)がリアルタイムかもしれない。このドキュメンタリーでは『無頼平野』のメイキング映像がかなり使われている。他にはゆかりある方々へのインタビュー。中には声だけで丹波哲郎の話も出てくる。本作は8月7日からユーロスペースで公開だが、7月31日からはその上にあるシネマヴェーラで30本監督作が公開されるそうだ。
その後、珍しく映画のはしご。レイトショーで『鉄男 The Bullet Man』を見た。1作目の『鉄男』を見たのが学生時代。随分月日は経つ。今日見たテアトル新宿も爆音上映。ノイズ音楽が気もちいい。ストーリーはシンプル。映像は相変わらず手作り感がたっぷりだし、初期衝動に忠実なカメラのぶれも変わっていなかった。そこは良かった。のだけど、少し不満も。まず一つは、トランスフォームして大体3つの形態になる主人公=鉄男だが、2つ目の形態がどうにもかっこ悪く見えた。多分、多少の気持ち悪さを狙ったのだと思うのだけど、あまりいいデザインには思えなかった。また、鉄男への変身が前はもっとしつこく、鉄が飛び出してくるような印象があったのだけど、意外とあっさりしていたようにも思う。そして、ラストのバトルが狭い空間(室内からビルの谷間)で行われていて、心の中で「東京を走り回ってくれ!」と思っていたのだけど、それはついにかなえられなくて少し残念。
①日時:7月31日(土)
1回目:10:30~ 2回目14:30~
会場:茅ヶ崎市美術館展示室3
http://
(神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45 TEL:0467-88-1177)
定 員:各回40名
※入場無料
★トークショー開催★
2回目の上映後、監督によるトークショーを開催します。
※夏の福袋関連上映
http://
②日時:8月8日17:00~、8月9日14:10~
場所:アサヒアートスクエア(東京都墨田区吾妻橋1-23-1 スーパードライホール4F)
地図:http://
入場無料(1drinkオーダー制)
Special Talk 8月8日:18:40~
本田孝義(『船、山にのぼる』監督)×加藤種男(SRAP実行委員、アサヒビール芸術文化財団
※すみだ川アートプロジェクト SUPER JULY @ AAS
『SUPER JULY★地域密着型映画祭』にて上映
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主催:すみだ川アートプロジェクト実行委員会 [Sumida River Art Project/SRAP]
共催:アサヒ・アート・フェスティバル実行委員会
特別協賛:アサヒビール株式会社
助成:財団法人アサヒビール芸術文化財団
問合せ:アサヒ・アートスクエア事務局(090-9118-5171)
東京スカイツリーの展望台の姿がほぼ出来上がりつつあるようだ。聞くところによれば、展望台は3階分あるそうだ。その形がどうにもちょっと威圧的に見えてしまうのは私だけだろうか。普段、リビングからはスカイツリーは見えないのだけど、寝室の窓を開ければばっちり見える。スカイツリー完成後には、今の東京タワー展望台に望遠鏡が設置されているように、スカイツリーの展望台にも望遠鏡が設置されるのだろう。その未来の姿を想像してみると、巨大な監視塔にも見えなくはない。世の中には視線恐怖症のような人もいて、少し精神状態が弱っているような時には展望台に不安を覚える人も出てくるかもしれない。