2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2010/5/2 日曜日

「星新一 1001話をつくった人」

最相葉月著「星新一 1001話をつくった人」(上・下)を読み終わる。単行本で出た時も高評価が多く気になっていたのだが、文庫になったので読んでみた。僕自身は星新一のファンでもなく、ぽつぽつと作品を読んだ程度。この評伝の前半は、作家デビューまでの紆余曲折。僕はよく知らないのだけど、星新一(本名・親一)は星製薬という、戦前・戦中かなり大きな製薬会社の御曹司だった。1年ほど、若かりし日に社長もやっていて、会社がボロボロになっていく修羅場を経験している。こうした経験が作品にも反映しているのかもしれない。ショートショートを書き始めてからは、まさに日本のSF史。今でこそ少なくなったが、それでもまだまだあると思うけど、文学的に一段低く見られていたSFを書き続けることからくる悲喜こもごも。そして、1001話を目指し始めてからの苦闘。とても読み応えがある本だった。

未分類 — text by 本田孝義 @ 21:51:44

「アートのみかた」

今日は夜、横浜のBankARTに行って「アートのみかた」(村田真著)の出版記念パーティーに行ってきた。この本は村田さんがartscapeという、大日本印刷がweb上で展開している、日本最大のアート関係のサイトで1999年~2009年の10年間書かれていた展覧会のレビューをまとめたもの。紙数の関係もあるので全レビューはさすがに載ってないのだけど、それでも1300以上のレビュー、500ページを超える大著!こんな本を出版してしまうBankARTもすごい。最初に『船、山にのぼる』のことを書いてくださったのも村田さんで、本書にも収録されております。パーティーの前に森司さんとの対談があり、村田さんのレビューの姿勢など面白い話が聞けた。ちなみに、「アートのみかた」という書名には「見方」と「味方」がかけ言葉になっているのだ。僕自身、熱心にartscapeのレビューを読んでいる読者とは言えないが、時々、面白い展覧会がないかなあ、と思って読んでみたり、自分が見た展覧会を村田さんら(他の方も書いているので)がどう見たのだろう、と思って読んだりしてきた。対談中にパラパラ中を読んでいると、時々にほぼリアルタイムに書かれてきたレビューなので短い文章が妙に生っぽい。また、変に大上段に「美術論」を展開するような小難しい感じはないので、僕のような者でもとっつきやすい。もうひとつ、これから読む楽しみは、まさに最近何かと話題になる「ゼロ年代」に書かれたレビューなので、500ページ読み終わった時には一つの「クロニクル」(年代記)になっているような予感がしている。さらに言うと、とても持ち運ぶには分厚い本なので、枕元にでも置いて、千夜一夜物語のように、寝る前にぽつぽつ読むのも楽しいかもしれない。楽しみが一つ増えました。パーティーではいろんな方と楽しく歓談。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:42:42

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