「居住の貧困」
またまた最近読んだ本を。「居住の貧困」本間義人著を読んだ。現在、派遣切りなどで住む場所を強制的に追い出される実体から始まり、なぜ、こんなに住む所がないのかを歴史を俯瞰して解き明かしている。特に、本来、公共住宅を充実しなければならないはずの公団や自治体がこぞって、自由主義経済に雪崩をうって金儲けに走っている実態を批判的に検証している部分は迫力がある。最近、憲法25条の生存権が取り上げられることが多いわけですが、衣食住の住、住む所は生存権でも重要な部分のはずです。もっともっと語られるべきだと前々から思っています。そういう意味でも新書という分量で簡潔に分かりやすく問題を指摘した本書は好著だと思う。
僕は『ニュータウン物語』を作る時に、それなりに日本の住宅政策を調べました。ニュータウンといういびつな街の成り立ちは、こうした住宅政策と関係が深いからです。ただし、映画はそうした批判的な視点からではなく、それでもそこで生きてきた人びとの思いを重視しました。ニュータウンや郊外を切って捨てるような言い方に違和感があったからです。
次に作りたい映画は、「居住の貧困」に関係はあるのですが、もう少し違った視点から、根源的な視点から見てみたい、と思っています。