映画の本2冊
映画関係の本を2冊読んだ。まずは、「勝つために戦え!監督編」押井守著。同じタイトルの前作はサッカーを中心としたスポーツでの勝負論で、僕にはよく分からない本でしたが、本作は「監督編」とあるように、様々な映画監督を俎上に挙げて、押井さん独特の視点から勝負論が語られる。面白いのは、ジェームズ・キャメロン、宮崎駿、タルコフスキー、北野武、ゴダールなどなどの映画論にもなっている。もっとも、いわゆるアカデミックな映画論ともまた違う。アニメと実写を行き来しながら作品を作っている、実作者ならではの視点が独特だ。所々暴論も飛び出すので、怒る人もいるだろう。勝負の分かれ目は、「自分が作りたい映画を作り続ける」ことだそうだ。「自分には大ヒット映画がない」から映画を作り続けることが出来る、とどこか自虐的に語るのは、押井守さんの本心かどうか分からないけど。いろんな意味で面白い本だった。
次に読んだのは、「ザ・シネマハスラー」宇多丸著。僕はよく知らないのですが、宇多丸という人はヒップホップの人で、この本はTBSラジオの放送をまとめたものだそうだ。面白いのは、好きな映画を語っているだけじゃなくて、毎週、次に見る映画をサイコロで決めているそうで、中にはあまり見たくもない映画もありそうだ。けど、放送だから「つまらない」の一言で済ますわけにもいかず、なぜつまらないのかにも説得力がある。元の語りをいかしつつ、かなりちゃんと映画を見ているのがすぐ分かって、うなずける部分多し。(あ、そう言えば、上の押井さんの本もインタビュー形式で、語り本だった。)難しい用語をこねくり回したような映画論はあまり好きではないので、こういう本なら楽しく読める。