2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2010/3/7 日曜日

アース・ビジョン 第18回地球環境映像祭 三日目

今日もアース・ビジョン地球環境映像祭へ。すでに見たことがある作品が2本あったので、今日見たのは2本。1本目は『国境のない鳥』。内容をコピペすると、アジアの湿地に生息するクロツラヘラサギは、 台湾から中国、韓国から北朝鮮へと渡る。 この絶滅の危機に瀕する鳥を守るため、国境を越えて、人々の協力が生まれていく、というもの。台湾の作品。ディーン・ジョンソン監督。最初の方からいかにもテレビ的な作りに少々、がっかりしていたのだが、見続けるにつれ段々引き込まれた。上記の内容に書いたように、クロツラヘラサギが北にわたるのを追っていくのだが、驚いたのは南北朝鮮の非武装地帯が営巣地になっていること。人間がいないからこそ、鳥が住める、というこの矛盾。同時に、この鳥を守るため、人間もなんとか国境を越えて様々な活動をしている姿も描かれる。映画を見ながら、そうか、これは平和の鳥なんだ、と思っていた。プロデューサーもトークで同じことを言われていて深くうなずく。いい作品でした。2本目は『雨の物語―大台ケ原 日本一の大雨を撮る』。内容をこれまたコピペすると、ハイスピードカメラや気象観測用のジェット機など 最新技術を駆使して撮影された、神秘的な雨の姿。 雨が育む豊かな自然を瑞々しい映像で綴る、というもの。NHK作品。 内浦崇監督。この作品がアース・ビジョン大賞。NHKらしく物量作戦で大台ケ原の自然を描く。確かに、よく撮ったなあ、とは思ったが、僕の中ではそれ以上のものを感じられなかった。

未分類 — text by 本田孝義 @ 21:44:28

アース・ビジョン 第18回地球環境映像祭 ニ日目

少し遠回りな話から。2月末、『船、山にのぼる』の撮影を手伝ってくださった、林憲志さんが地元広島の神石高原町で上映会をされた。1本は『記憶と記録の間で』。もう1本が先の映画で監督・構成をされている、鈴木敏明さんが同じく構成をされている『食卓と海』だった。僕が関わっているVIDEO ACT!でもこの作品の販売をしているのに、見ていなくて、見たいなあ、と思っていた。そう思っていたら、同作品が今年のアース・ビジョン賞をとっていて、今日、上映されたのだった。だから、見に行った。前半、具体的なデータをたっぷり紹介しながら、日本の漁業がいかに衰退していったかが語られる。なかなかにジャーナリスティックな作り。後半、そうした現在の日本でもいろんな工夫を重ねながら、漁業を守っている人たちの姿が描かれる。思わず胸が熱くなる。35分という短い時間に関わらずいろんなことを考えさせてくれる、充実した作品だった。上映後、鈴木さんにご挨拶。次に見たのは、『ミツバチのブルース』。オーストラリアの作品。ステファン・ムーア監督。最近話題となった、ミツバチの大量死。本作はその原因を追う。特にミツバチに寄生するダニに焦点を当てている。欧米のドキュメンタリーによく見られるようなアップテンポで語られる。原因究明や外来種(ここではアジアミツバチ)の侵入阻止活動などまるでミッション・イン・ポッシブルのような趣。全作品上映後、銀座ミツバチプロジェクト副理事長・田中淳夫さんの講演。銀座のビルの屋上で養蜂をしている、という話題は聞いたことがあったのだが、具体的な話を聞くと、目からうろこが落ちるようなことばかり。特に興味深かったのは、銀座周辺には緑がかなりあって(例:皇居)、ミツバチが受粉する環境があるのだとか。そして、このプロジェクトが始まって4年、いろんな形で波及、大きな夢が広がっていることも語られていた。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:51:16