昨年はどうしたわけか見逃した恵比寿映像祭。先週から第2回が開催中でうっかり忘れていた。今年も見逃すとこだった・・・。というわけで、今日、見に行ってきた。感想を書く前に、いくつかの疑問。この映像祭も大きく言って展示と上映から成り立っている。上映の方は上映プログラムとして開始時間・作品の時間がチラシなどに明記しているので、見る上では、まあ、混乱はないだろう。問題は展示である。近年、美術展でも映像作品が増えて、「展示」される映像が多いのだが、チラシなどには作家名は大きく出ていても、その作品がどれぐらいの上映時間なのかが明記されていない。もちろん、絵画と同列に扱うなら時間は不要な情報かもしれないが、映像作品の場合は(写真をのぞく)どうしても時間芸術という側面もあるので、たっぷり全部見た場合、トータルでどれぐらい時間がかかるのか、おおよそでも知りたかったりする。僕も、ある作品を全部見ずにぱっと見て済ませることも多いのだが、それはついつい全部見てると時間がないや、という意識が働くせいでもある。大体は、作品のキャプションに時間が明記されていて、見るときの目安にする。こうした鑑賞態度は、いかにも「映画」に毒された鑑賞態度、とも言えなくはないが、もう少し見る前の情報があってもいいのではないだろうか。例えば、今日、見た(というか聞いた)多数のアーティストが参加した、音声によるインスタレーション作品は、興味深いアーティストが多数いるのだけど、その場で配られた資料を見ると、91分とあった。初めから知ってれば、もっと時間に余裕を持って来たのに、と悔みながら、触りだけを聞いてその部屋は出た。で、展示だけですが、全体のテーマ「歌をさがして」というのが、どうもよく分からない。心に響くものが少ないというか。とは言え、何人も面白い作家がいるにはいたのですが。以前から面白い作家だなあ、と思っている山城知佳子は、この映像祭で見た作品もとてもよかった。テーマを笑えるほど(実際に見ていた方は爆笑していた)愚直に提示した都築響一は、さすがと言うか何と言うか。かつてのレーザーカラオケの映像があんなにおかしかったなんて。(でも、今より趣はあるかも。)もう一つの不満は、ジョン・ケージのパフォーマンス映像。他の作品がヘッドフォーンで音声を聞けるようになっているものが多いのに、なぜかこの作品は小さな音がモニターから出ているだけ。エレクトロニクスを使った、元祖ノイズ音楽とも言えそうなパフォーマンスだけに、音がよく聞こえないのは致命的。耳をモニターにつけて聞いて、映像を見た感じではめちゃくちゃかっこよさそうだった。吹き抜けのカフェでも映像を流していて、上映プログラムを見ると、7分だけですが、『77BOADRUM』が。2008年に見た映画のこれが僕のベスト1。つい、今日も見て震える。その後、外に出て、センター広場の<Time Lapse Plant/偽加速器2010>を見る。素晴らしい。さらに、19:30からのパフォーマンスも見る。LED照明は、これまでの照明と違って、一つのたま(というかセット)でいろんな色が出せて、グラデーションっぽい色も出せるし、瞬間的に色も変えられるしかなり自由度が高い、と思う。舞台やライブの照明も変わっていくんだろうなあ、なんてことも思ったり。今日のパフォーマンスでは照明と同期したサウンドの効果もあって、スペーシーでLED照明そのものが生きているかのような錯覚も覚える。影に色が付いてぐるぐる回っているのも面白い。上映の方は、行けなさそう。