2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2010/2/16 火曜日

「幽霊を捕まえようとした科学者たち」/「トンデモ超能力入門」

書名が気になっていた本が文庫化されたのを見つけたので読んでみた。その本は「幽霊を捕まえようとした科学者たち」。(デボラ・ブラム著)僕は読む前は、てっきり懐疑論的立場から心霊研究に取りつかれた科学者を揶揄する本かと思っていたら、随分違った。登場人物が多かったり、流れが悪かったりで、少々、読みにくかったのだが、貴重な本かもしれない。時代は19世紀終わりごろから20世紀初頭、科学が発展する中で降霊術もブームになる。本書は心霊現象を真面目に研究しようとした学者(哲学者などもいるので、邦題の科学者は正しくないと思う。原題は「GOHST  HUNTERS」)の群像劇、歴史になっている。正当な科学史ではほとんど触れられない歴史であると思う。同時に幽霊の実在を証明するという徒労も感じる。少し前に「トンデモ超能力入門」(皆神龍太郎、石井幹人著)を読んだが、こちらは対談本なのですぐ読める。この本が面白いのは、懐疑論者の皆神氏と超心理学(超能力の研究)の研究者・石井氏の対談になっているところ。いがみ合うのではなく、超心理学がどのように科学的方法にのっとって超能力の研究をしていて、現在、何が分かっているのかが語られていること。先の本と時代は違うが、心霊・超能力は胡散臭いものとして科学者からは馬鹿にされ、研究する人自体が少ないことが分かる。もっとも、無前提に信じ切っている自称・研究者は多いわけだけど。個人的には急速に進みつつある脳の研究が心霊にしろ超能力にしろ、新たな地平を拓いてくれるのかもしれない、とも思う。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:42:38