2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2009/11/20 金曜日

『行旅死亡人』

『行旅死亡人』を見た。監督は井土紀州。彼の活躍ぶりは今更書くまでもないが、大学の後輩で一緒に自主上映をしていた。(何度か書いた記憶もあるが彼が一躍有名になった、学生時代に作った『第一アパート』に僕は役者として出演している。時たま今でも上映されていて、意外なところで見た人に会ったりすると不思議な気がする。)そんなこともあって、今はかなり違うフィールドで活動しているが、気になる存在ではあるのだ。さて、今回の作品。なんとも感想が書きにくい。一つ思ったのは、湿度が少し足りないような気がした。撮影・照明の伊藤さんは(彼も学生時代から知っている)は、少ない予算の中で頑張っているのだが、最後の仕上げのせいか、どうも画面が固い。そのことに目が行ったせいばかりではないだろうが、井土特有の粘っこさが今回薄いように思うのだ。ある意味古臭い昭和のサスペンステイストを意図的に取り入れていると思うのだが、情念みたいなものがもっとあってもよかったのではないか。逆説めいて聞こえるかもしれないが、普通にちゃんと見れてしまったことが少し物足りなかった。僕の勝手な希望を書けば、井土にはいつかハチャメチャなコメディーを撮ってもらいたい、と思っている。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:21:18

2009/11/18 水曜日

打ち合わせ(相談?)/ジュンク堂

ある映画についてのご相談。(まぁ、まだ不確かなことが多いから題名は伏せておきます。)僕は今年の夏に見たドキュメンタリー映画なのだけど、なんとか(東京で)劇場公開したいとのことで、僕と某氏で分かる範囲で劇場公開までのあれこれをお話しする。どこまで役に立ったか分からないけれど、ぜひ、劇場公開を実現してほしい、と思う。

その後、時間が中途半端になって、まっすぐ帰ろうかな、と思いつつ、何か忘れてたことがあるなあ、と引っかかっていて、思い出した。ジュンク堂新宿店で坂口恭平さんのブックフェアをやっていたのだった。坂口さんの本だけではなく、小説の中の空間をドローイングで描いた「立体読書」、坂口さんが影響を受けたと思しき本などが展示されていて面白かった。坂口さんと言えば、現在、熊本市現代美術館で個展をやられているようで、ホームページの写真がめちゃくちゃかっこよく、見たい、けど遠いなあ、とジレンマに。久しぶりにうなった写真でした。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:07:12

2009/11/17 火曜日

会報印刷・発送

バイオハザード予防市民センターの会報を某公共施設で印刷し、事務所にて封筒詰め。メール便にて発送。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:20:06

会報編集/ヨコハマ国際映像祭

日中、2か月に一度のバイオハザード予防市民センターの会報編集。いつも編集してみないと何ページになるか分からないので、皆さんからいただいた原稿を並べてみると、自分が書いた原稿がどうしても入らす、編集長自ら没にする。まあ、そんなもの。

少しだけ事務所に行って、ある荷物を受け渡ししてから、夜、横浜・BankARTへ。昨晩、BankARTのメールニュースで、急遽、ヨコハマ国際映像祭応援ミーティングをやりますとあったので、気になって行ってみた。ほとんどバーベキュー&鍋会みたいなものでしたが、しっかりチケットは買って帰りました。

もう何度かヨコハマ国際映像祭のことはブログに書いたけど、また書きます。どうも僕の印象では、見に行っている人・応援団は美術(アート)関係の人が多い印象。映画関係(作っている人・評論家など)の人達の反応が鈍いんじゃないか、という気がする。(土日にやっている、東京芸大馬車道校での上映のことを知らない人もいるのでは。)確かに、映像の「展示」と聞くと、映画好きの人も戸惑うだろう。映画はやっぱり暗闇でイスに座って、というのが普通だから。それでも、映画好きの人にこそ見てもらいたい作品もあって、例えばクリスチャン・マークレイの4面マルチの作品は映画のいろんなシーンから出来ている作品で、映画好きならいろんな映画の題名を当てるのも面白いだろうし、映画のリミックスについても考えられるだろう。(山形映画祭でも映画のリミックスが話題になったりしていたことだし。)あるいは、著名な映画監督・シャンタル・アケルマンは自らの映画を解体/再構成している。また、アピチャッポン・ウィーラセタクンは国際映画祭の常連だし、日本の映画祭でも作品が上映されたり、特集が組まれたりしている。彼は同時に数々の美術展で映像作品を発表していて、映画ー美術を横断的に作品を作る作家が日本では少ないから、映画は見ていても、展示映像を見ていない人も多いに違いない。僕がおととい見た、『HEAVENHELL』なら最近はやりの映画のリメイクとはどういうことか考えるヒントになるかもしれない。映画だけではなく、写真をやっている人にもぜひ見てほしい作品があって、アルフレッド・ジャーの作品は、ぜひ、フォトジャーナリストの方々、目指している人にも見てほしい作品だ。この作品は、1994年に飢餓の少女とハゲワシの写真でピュリツァー賞をとりながら批判を浴び、自殺した南アフリカの報道写真家・ケビン・カーターの生涯を描いている。(映像は8分ほど。英語版と日本語版が交互に上映されている。英語に堪能でない方は、日本語版をお勧めする。近くの係員に聞けば、いまどちらか多分、教えてもらえるはず。)また、志賀理恵子の作品も写真と映像の関係を強烈に考えさせてくれるだろう。(『HEAVE~』以外、BankART会場。)新港ピアは、これから何か映像作品を作ってみたいなあ、と漠然と思っている人にお勧めだ。上記の作品は、洗練された表現だけど、映像はそれだけでは面白くない。今や携帯でも映像が撮れる時代。小学生からお年寄りまで、誰だって映像は作れる。多分、そんなヒントがあるはずだ。(はず、と書いたのはこの会場は日々成長しているので、内覧会以後見ていないのでわからないから。)(少し付け加えると、どうも会場の雰囲気は「若者向き」な感じはする。高齢者で立派な映像作家はいっぱいいるから、そうした人も参加すれば幅が広がっただろう。)そんなこんなで、残る会期は2週間。お見逃しなく。

(もう一つ蛇足。僕は最近、美術展に呼ばれないけど、10年ぐらいアートと映画を平気で行き来してきた。そういう人はあまりいないかもしれない。もっとも、最近の若い監督は器用で、音楽のPVを作ったりドキュメンタリーを作ったり、という人も結構いたりする。)

未分類 — text by 本田孝義 @ 1:12:29

2009/11/15 日曜日

『ワーナー映画の歴史』

正確には(原題は全然違うが)『クリントイーストウッドが語るワーナー映画の歴史』というDVDを見た。2枚組。約5時間。イーストウッドが語るとあるが、基本的にはナレーションと製作総指揮。もちろん、自分の作品ではインタビューが出てくる。ワーナー85周年記念だそうな。アメリカではテレビ放送されたもののようだ。(だから時代を区切って、1時間×5本、という構成。)ギャング映画を筆頭に、どこか陰のある映画が多いことに気づく。(最近はハリー・ポッターなどもあるわけだけど。)ある映画が入っているかなあ、と思っていたけど、よく考えたらワーナーがメインの製作ではないので入ってないのは当然か。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:26:03

はしご

はしご、と言ってもお酒ではない。(そもそも僕はあまり飲めないし・・。)今日は気になる上映が横浜で連続していて、4つほど回ってきたしだい。

まず、YCC(昨年までBankART1929だったところ)に行って、横浜キネマ倶楽部主催の『マリアカラスの真実』を見る。見逃していた作品だ。横浜キネマ倶楽部は将来的に映画館を作りたい、という希望を持って自主上映を続けている団体。以前、イセザキ映像祭をやった時にお世話になった。今回は、ヨコハマ国際映像祭との連動上映。天井が高く、古い建築を再現した館内にマリアカラスの映画を選ぶセンスがいいなあ、と思った。見たのは12時の回だったのだが、満席。(こういう時こそヨコハマ国際映像祭のチラシを配ればいいのに、とも思った。)映画はマリアカラスの声、存在感に釘づけになるものの、良くも悪くもオーソドックス。亡くなった人の人物史を描こうとすると、昔の映像・写真、現在の風景、ナレーションで構成するしかないかもしれないが。(もっと、冒険的な方法もあるだろうけど。)

次に、ヨコハマ国際映像祭で上映された『SANLIBUTAN』を見た。ミヤセサチコ監督がフィリピンの施設で暮らす障害者たちを撮ったドキュメンタリー。子供たちの生き生きとした表情、愛らしさ、庭の光の美しさなど面白かったが、少々物足りず。僕が鈍いせいか、この施設がどういう施設なのかよく分からなかった。(描きたい主眼はそこではないことは分かるのだけど。)

その後、久しぶりに伊勢佐木商店街を通って、シネマ・ジャック&ベティへ。今日は野毛で撮影された『俺にさわるな!』の初日。知った方がいるので、せめてご挨拶だけでもと思った次第。ヨコハマ国際映像祭の柱の一つに、「自分も映像で発信」というのがあるが、この映画は横浜という地からの映像発信の好例。映像祭の多くの作品のように洗練された作品ではないかもしれないが、泥臭い映画も必要だ。2週間、1日1回上映。多分、横浜市民もまだまだ知らないだろうなあ。残念。

せっかく近くまで来たので、黄金町界隈の展示を見に行く。1の1スタジオで見た『HEAVENHELL』(ビデオインスタレーション)が力作だった。タイトルは黒澤明監督の『天国と地獄』から来ている。『天国と地獄』ではご存知のように、地獄側として横浜の黄金町が想定されている。僕は詳しくは知らなかったのだが、展示のキャプションを読むと、実際には黄金町では撮影出来ず、セットを組んだそうだ。そこで、マレーシアのクリス・チョン・チャン・フイと日本の森永泰宏は今の実際の黄金町で撮影することを考えたようだ。展示場所の2階に上がると、6面のスクリーンがあって、3つにしか映像が映っていないから、「他の3つは故障か?」と思ったがプロジェクターはついていたのではじめはなぞだった。部屋半分の3面(正面と左右)の映像はモノクロで、何やらとがった人たちがドリーで撮影されている。3面は同じ人だが、撮っている方向、アップなど見え方が違う。確かに、『天国と地獄』でこんなシーンがあったっけぇ、なんて思いながらなんか妙だなあ、と思ったら僕が映像をちゃんと見ていなかったことに後で気づいた。この3面が終わったか、と思ったら、次には映っていなかった3面に映像が。先の映像と撮影方法は同じなのだけど、人物の服装、店の雰囲気が違う。ああ、そうか、こちらの映像は『天国と地獄』が撮影された頃の雰囲気を再現し、先ほどの映像は現在のファッションになっていたのであった。見応え充分。もっとも、最近、現代美術で多い、映画からの引用は元の映画を知っているか、知らないかで面白さが違ってきたりする。この作品の場合、どうだろうか。それでも、ヨコハマ国際映像祭に行かれる方はここまで足を延ばして見ることを強くお勧めする。他にもいくつか展示を見てから帰宅。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:46:57

2009/11/13 金曜日

事務作業

今日は自宅で諸々の事務作業、あるいは原稿書き。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:45:08

2009/11/12 木曜日

事業仕分けと日本芸術文化振興会

昨日から政府の行政刷新会議による「事業仕分け」が始まった。ネット中継などもあって(僕は今日、ちょっと見ただけだけど)予算編成に透明性を高めようとする姿勢は意義があると思う。その中で、昨日は独立行政法人日本芸術文化振興会についても議論されたようだ。コメントがさっそく読めるようになっている。(ここにあります。)ワーキンググループの結論だけを書くと「縮減」となっている。「ああ、やっぱりなあ」と思った。日本芸術文化振興会と言っても、国立劇場、国立能楽堂など範囲は幅広いが、縮減の中に芸術文化振興基金が含まれている。「基金」となっているように、政府の支出と民間の寄付で運営されている。助成対象は舞台芸術から美術展、文化財・工芸と幅広いが、(2009年度の助成対象はここ)僕が関わる部分では映画の製作(2009年度の助成対象はここ)、映画祭・映画上映への助成がある。文化政策への考え方として、「商業的に成立しないものは文化ではなく、公的助成は不要」という考え方から「商業的に成立しないものには公的助成が必要」という考え方までいろいろありうると思う。文化・芸術と助成の関係は、貴族や武士がパトロンだった時代から複雑で難しいものではある。また、財政事情が厳しい国・自治体にとって、文化政策は真っ先に切りやすい。(地方においては、すでに構造改革路線の中で文化予算は大幅に削られてきた。)残念ながら、意欲的な映画やドキュメンタリー映画の中には企業などから製作費を集めるのが難しい企画が確かに存在する。各地の映画祭も観客の入場料収入だけでは成立しないものが確かにある。僕の場合を言えば、芸術文化振興基金ではなかったが『ニュータウン物語』も『船、山にのぼる』も文化庁の助成を受けており、助成がなければ映画を完成できなかったかもしれない。文化予算が多いか、少ないかというのもいろいろ議論があって、役に立たないものに金を使うな、という考えから、諸外国と比較して予算が少ないという声もある。僕もいろいろ考えてきたけれど、何が理想かという答えはなかなか出ない。また、今の助成方法がすべて正しいとも思わない。ただ一つ言えるのは、この事業仕分けの評価が実際に予算編成に反映されれば、多くの文化・芸術活動が影響を受けることだけは間違いない。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:49:13

2009/11/11 水曜日

『頭脳警察』

今日は一日かけて、ドキュメンタリー映画『頭脳警察』を見に行った。一日、というのは映画は3部からなっていて、全3部を見ると合計5時間を超えるのだ。『沈まぬ太陽』が3時間半で話題になっているけど、それよりはるかに長い!が、その5時間はまったく長くなく、あっという間だった。見る前はしんどいか、と思っていたけどそんなことはない。さて、映画の話の前に、僕は頭脳警察のコアなファンではない。けれど、幸運なことに学生時代、2度、ライブを見ている。ちょうど、今回の再結成の前の前の再結成、1990年の再結成の時だ。パンフレットにも記載があるが、1度目は法政大学(僕の出身校)の自主法政祭のオールナイトロック。たくさんのバンドが出演する、オールナイトのライブだけど、その中でもとにかくかっこよかった頭脳警察を強烈に覚えている。次は同じ時期の、同じく法政大学学生会館大ホールで行われた江戸アケミ(じゃがたら)一周忌公演。確かラストが頭脳警察だった。僕の記憶に間違いがなければ、演奏のバックに僕がスライドの映写をしたはずだ。(蛇足だが、このライブで遠藤賢司+Toshiで聞いた「輪島の瞳」も忘れ難い。)・・・というような昔の思い出がある。さて、映画である。傑作だった。監督は瀬々敬久。瀬々さんが監督だというのもあって、見たかったのだ。最近はアーティストのドキュメンタリー映画も多いけど、満足出来ることはそれほど多くない。この映画がいいなぁと思ったのは、とかく頭脳警察というと「伝説のバンド」と言われてしまいがちだけど、そうした伝説に焦点を合わせるのではなく、現在進行形でかっこいいバンドであることを描いている点だ。また、音楽ドキュメンタリーを見て難しいなあ、と思うのは、意外とライブシーンの見せ方だったりする。それは単に撮り方ということではなく、どのぐらい曲を聞かせるか、ということ。ライブばっかりなら、ライブDVDでも見ればいいわけだし、ドキュメンタリーだからと言ってバックステージばかり見せられても曲が聞きたくなってくる。この辺のさじ加減は難しい。『頭脳警察』ではその辺の見せ方が抜群でしっかり曲が聞けるシーンがあるかと思えば、思わぬところでバサッと切って次のシーンにいったりする。また、全3部の構成も素晴らしく、1部の冒頭で再結成のライブを少し見せて興味を引きながら、最終的には3部のラストでたっぷりそのライブを見せてくれる。(ラストシーンは京大西部講堂。)時制をところどころ入れ替えつつ、映画としての大きなうねりを作り出してく。再結成と一言でいっても、一足飛びにそこに行くわけではなく、PNATAのバンド・陽炎、響の活動があり、Toshiの活動があり、PANTAの母への思い(1部で葬儀のシーンもある)、重信房子への思い(往復書簡から曲を作る)などがいくつもからまっていきながら、頭脳警察が姿を現してくるのが感動的なのだ。映画としては一応、1部・2部・3部単独でも成立するようになってはいるが、できることなら3部一気に見ることをお勧めする。(東京では一気に見るのは今週だけなのだけど。)

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:47:18

2009/11/10 火曜日

最近読んだ本

最近読んだ本。『双調平家物語4』(まだ追いつかず・・・。)『凶悪』『アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか』『日本トンデモ人物伝』など。特に脈略はなし・・・。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:27:25

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