「双調 平家物語3」
昨日、狂言のことを書いた。何度か書いているように、僕は大学の卒論が能だった。少しかじってみて、やっぱり能は難しかった。まずは独特の語り口のこともあって、慣れないと耳で言葉を理解することすら難しい。そのうえ、多くの謡曲が登場人物を含め、なにがしかの物語・事件などを背景に持っていることが多く、謡曲が出来た時には「教養」としてよく知られた話であっても、今の僕らにはよくわからない話、ということもままあるからだ。特に多いなあ、という印象だったのが「平家物語」を下敷きにした話だった。
数日前、橋本治著「双調 平家物語3」を読み終わった。1,2を読んでしばらく読んでいなかった。もちろん、この本は古典の「平家物語」の現代語訳ではない。まして、しばらく平家すら出てこない。この巻では壬申の乱前後の複雑な皇位継承を固い文体で描いている。登場人物を整理するだけで骨が折れるが、なぜか飽きずに読めてしまう。不思議。