VIDEO ACT!会議
夕方からVIDEO ACT!会議。今日は、ビデオカタログを今までビデオ買ってくださった方々への発送作業。約300。2年に一度の作業。その後、通常の会議。今後の上映会のことなど。
2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。
夕方からVIDEO ACT!会議。今日は、ビデオカタログを今までビデオ買ってくださった方々への発送作業。約300。2年に一度の作業。その後、通常の会議。今後の上映会のことなど。
午後から横浜へ。横浜国際映像祭の内覧会。とその前に、僕にとって重要だったのは、同映像祭の会場にもなっているBankARTのショップで、『船、山にのぼる』のDVDがついに販売開始になったこと。昨日の時点で、無事、DVDがプレス工場から届いたことは確認していたのですが、実物を見るまで安心できなかった。BankARTに行ってみると、確かにありました!感無量。と同時にほっとした。間に合ってほっとした、こともあるし、撮影を始めたのが2003年のことですから、とりあえず、足かけ6年、大きな一区切りでもあります。(本当はこれから売らなきゃいけないわけですが。)販売詳細は近々、ホームページに掲載します。
さて、映像祭を見る前に、BankARTが同時期に開催する、「うちにもって帰ろう!映像アンデパンダン展」を見る。この展覧会、何かと言いますと、簡単にいえば、映像見本市。DVDは本と違って、立ち見はなかなか出来ませんが、この展覧会では大手のショップではなかなか流通していない、アート系の映像作品を中心にたくさんの映像を見ることが出来、気に入った作品はその場で買える、というもの。これが楽しかった!作品を見るのも楽しいのですが、どれを買おうかと考えながら見ていたら、ワクワクしてきました。横浜国際映像祭に行かれる方は、ぜひ、懐を少し暖かくしてこちらにも寄ってみることをお勧めします。もちろん、『船、山にのぼる』のDVD(¥2500)もよろしくお願いします。
そしてやっと映像祭の作品を見て回る。映像系の展示で見る前に予備情報として困るのが、見るのに一体どれだけ時間がかかるか分からない、ということがあります。チラシにも作品の時間は書いていませんし。(映画上映はのぞく。)ですので、今日は、かなり余裕を持って、内覧会に行きました。BankART会場をじっくり見て回ったら、見入った作品が多かったこともあり、1時間半ほどかかりました。これでも、途中、かなり端折ったので、もっとじっくり見ればもっと時間がかかるでしょう。個々の作品の感想は長くなるので、割愛しますが、気になった作家としては、アピチャッポン・ウィーラセタクン、シャンタル・アケルマン、アルフレッド・ジャー、志賀理恵子、スン・シュン。アルフレッド・ジャーの作品は、8分ほどの作品なのですが、はじめテキストが延々流れて、つまらないかなあ、と思っていたら(人物名を知っていれば引きつけられるでしょう。僕は途中で思い出しました。)たった一つの写真をめぐって、悲痛な作品でした。その後、新港ピア会場へ。こちらはどちらかと言うと、インタラクティブ的だったり、動きがあったり、これからワークショップがあったりと動的な印象。中でも、グラフィティリサーチラボは、前から存在を聞いていて見れてよかった。レセプション中にも会場に光線のグラフィティを実演していて楽しかった。そのレセプションでは幾人かの知った方にご挨拶。こうして内覧会は終わりました。全体としては「映像って何だろう」とふと考えさせるものが多いような気がしました。映像祭という名前は分かりにくい点があるのも事実だと思います。映画祭でもないし、横浜トリエンナーレのような美術展でもないし、メディアアートの展覧会でもない。(昨年のトリエンナーレはとりわけ映像系の作品が多かった。)そのどちらでもない、ところが面白いのは確かなのだけど、一般的にイメージしにくいのも確か。明日からどういうふうに見られていくのか、その点も興味深い。(映画上映のプログラムではいくつか見たい作品があるのだが・・・。)
・・・とタイトルを書いてみたが、いまだに「東京スカイツリー」と書くのは慣れないし、ちょっと恥ずかしかったりする。公募で決まった名前だけど、巨大な人工物に、ツリーはないだろう、と思ったり。まあ、その東京スカイツリーが自宅近くに建設中で、かなりその威容が目につくようになってきた。現在の高さは183m。完成時は600mを超える。以前からずっと気になっていて、今日も近くまで行ってみた。自転車で近づきながらあらためて思ったのは、あれだけ大きな建造物になると、街のパースペクティブが狂ってしまう。近づけど近づけど、塔の大きさは変わらず、周囲の景色だけが変わっていく。変な感じ。それでも近づいてみて、がっかりしたのは、どうもデザインとして無骨な感じがする。遠目で見ていた時は、白い鉄骨の骨組みは、建設用の補強かな、などと思っていたのが、完成図とてらしてみると、今見えている骨組みのようなものが基本構造になっている。近くで見るとごつごつした印象。威圧的。また、今の東京タワーがある所は芝公園があるので敷地的にも余裕がある感じがするが、東京スカイツリーの建設地はあまり余裕がなく、突然、ぬぼっと建っている感じだ。自分の偏見を含めて、やっぱりどうも好きになれない。好きになる日はくるのだろうか・・。
7年前、僕が育った岡山県の山陽団地で「ニュータウン アートタウン」展という美術展を開催した。この美術展の出発点は僕が『ニュータウン物語』というドキュメンタリー映画を撮っていたことにあり、そういう意味では成り立ちからして少しいびつな展覧会でもあった。18名のアーティストに参加してもらったのだが、その中に、当時岡山に住んでいた鷹取雅一さんがいた。(現在は京都在住らしい。)その鷹取さんが東京で初めての個展をやっている、と聞いていたのだが、ついついまだ見に行けておらず、いつまでだったっけ、と調べたところ、もう数日で終わると知って、慌てて行ってきた。展覧会のタイトルは「ドローイングドローム」。ギャラリーに行くと、いやがうえでも天井から垂れさがった多くのドローイングが目に留まる。腰をかがめたり、背を伸ばしたりしながらゆらゆらする絵を見て歩く。奥のほうでは秘密基地のような、鷹取さんのひそかなコレクション(?)を並べた空間が。(ここにあった、女性の足にこだわった盗撮すれすれの写真帳がすごい。)僕は最近の鷹取さんの展覧会を見ていないので、安易なことは言えないけれど、以前見た時の印象からの変化を感じた。根底にある、エロい妄想は変わらないと思うのだけど、あえて例えるなら、以前はその妄想がロケットに乗って成層圏を突き抜けようとしていた感じがあったが、今日見た展示ではその妄想が宇宙空間を漂っているような感じがした。(わかりにくい例えだけど。)どこか静謐な感じを受けたのだ。以前は雑誌の切り抜きなどかなり直接的なものがあったけど、モノクロのドローイングが増えたことがそういう印象を与えたのかも知れない。いずれにしても、とても才能がある人だということをあらためて思った。
ここのところ読んでいた「倒壊する巨塔ーアルカイダと「911」への道」を読了。いろんな書評で取り上げられていて、とても読みたいと思ったのだが、書店でなかなか見つけられなかったが、某書店でやっと見つけて買った。本の場合、どうしてもちょっと立ち読みしてから買うたちで、時々、探す本があったりする。9・11はいろんな意味で大きな事件だが、なぜあんなことが起きたのかを解き明かしてくれる本は意外と少ない。思想的なことだけではあまりにも学問的だし、政治だけでは分からないこともある。本書は、9・11を起こした側とアメリカの捜査官双方の人間を丁寧に掘り下げていて読み応えがある。ちょっと驚いたのは、ウサマ・ビンラディンと言えば、サウジアラビアの富豪、というイメージだったが、ある時点でサウジアラビアを追放されて、金銭的にも困窮していた時期があること。あるいは意外と病弱だったり、思想的にもそれほど深みがないことなどが語られる。同時に、FBI捜査官・オニールは、私生活に難がありつつ、かなりアルカイダに迫っていたにも関わらず、彼の警告が結局生かされず、不幸な巡り合わせによって、倒壊したWTCで亡くなってしまうのは、なんともやりきれない。作者もあとがきで書いているように、本人への取材がかなわない中で周辺への徹底した取材によって浮かび上がらせた話は、間違いがあるのかもしれないが迫力がある。
夜、プロデューサーの大澤さんに誘われて、小谷忠典監督のドキュメンタリー映画『LINE』の試写に行く。監督本人が登場し、モノローグを語る、いわゆるセルフ・ドキュメンタリー。父親との齟齬、思春期の心の傷、そして沖縄の娼婦たちを見つめる。昨年、特集などで上映されて評価が高いようだが、僕は個人的に苦手な映画だった。その理由はうまく整理できていないので、今日は書けない。来春公開予定とのこと。
10月24日に灰塚で開催されました、”えみき伝承祭”の様子をyoutubeにアップしました。よかったら、見てみてください。
昨日、朝一番の飛行機で広島へ。一番の目的、えみき伝承祭は夕方からだから、時間はたっぷりある。そこで、PHスタジオの方々と灰塚ダム周辺をじっくり見て回ることにした。ここ数年、灰塚に来ても、上映でドタバタしていたりしてなかなかゆっくり見て回ることが出来ていなかったので、いいチャンスになった。特に、ダムができてからも周辺環境の整備、アースワークプロジェクトの最終成果などが進んでいたのだが、見ていない箇所があったのだ。お勧めは”ウェットランド”。ダムに水が溜まると言っても、通常の水位と100年に一度の洪水を想定しての水位ではかなり違いがある。このウェットランドは、通常は水がたまらないが、洪水時には水が入る可能性があるような場所。そこを整備して、鳥などが生息し観察できる場所にしたところ。きれいな水辺、鳥たちを見ていたら、ここがダムエリアの中にあることを一瞬、忘れてしまう。全国でもここ灰塚ほど大規模に整備されたところはないそうだ。そして、当然、船の様子も見る。前方が以前よりさらに落ちかけていて、木の強度も含めて崩壊が進んでいる印象。もっとも、自然に朽ちていけば、という考えもあってそのままにしていることでもあるので、自然に進めばいいのだが、と思う。船がのった山には木が大きくなり、草もかなり生えてきていた。こうして、いくつかの場所を見て回っていると、いつの間にか夕方に。
午後5時半からいよいよえみき伝承祭。神事に始まり、御詠歌、パネルディスカッション、イルミネーションの点灯式、ビデオ上映、詩の朗読、えみき音頭(正式名称は失念)、コンサートと盛りだくさん。えみき爺さんをみんなで移植したことを思い出しつつ、根づかなかったことは悲しいことではあるのですが、これから先に進んでいく、前向きな気持ちが随所に感じられました。広島県の北東ですので、夜はかなり冷え込み、うっかりあまり厚着をしていなかった僕は、途中からかなり寒かったのですが、心はほっと暖かかったです。聞くところによると、えみき爺さんはそのままにして、自然に枯れるのを待つ、とのこと。えみき爺さんの周りには、えみき2世が植えられていました。(僕はてっきり、この伝承祭でえみき爺さんを倒して、新しい2世を植えると勘違いしていたのですが、2世はしばらく前から植えられていたようです。)伝承祭は9時頃終わり、大杉さんの家に行って、宴会。皆さん気分が高揚していて、いろんな話題が出るわ、出るわ。僕個人としては、DVDを発売することが報告できてよかった。いろんなことがあったと思うけど、とにかく前向きに生きていく力があふれていて、僕も皆さんから元気をもらった気がします。日にちをまたいだあたりで、お開き。
翌日(今日)、9時から大谷という場所で白いガードレールに色を塗る、ということを地元の方々、高校生がやられると聞いてPHスタジオの方々と顔を出す。(ちなみに、ここ灰塚ダムではアースワークプロジェクトの成果として、ダム周辺のガードレールは白ではなく、緑っぽい自然環境と馴染む色に塗られている。なぜだか、今日見た一部分だけ白かった。)帰りの飛行機の時間があるので、少しだけガードレールのやすりがけをしただけで、皆さんとお別れ。飛行機で帰京。
その後、バイオハザード予防市民センターの幹事会。
『船、山にのぼる』を見た方からよく聞かれるのは、「船は今どうなっていますか?」ということと「移植した巨木・えみきは根付きましたか?」ということ。特に、えみきの場合は、映画の中では移植のためのイベントをやったところまでしか描いていないので、気になる方が多いのだろう。マスコミ試写をやっていた時は、「どうなったか描かないと駄目だ」と怒っている方もいた。そうは言っても、あれだけの巨木、本当に根付いたかどうか、3~5年経たないと分からない、と灰塚の方も言っておられて、僕も昨年、多くの場所で上映した後には、新しい葉も出ていましたが、(余力でしばらくは新しい葉も出るそうだ)まだ根付いたかどうか分かりません、と答えてきた。それが、今年の春、ついに新しい葉が出なかった、と人づてに聞いた。どうも根づかなかったようだ、と。僕は当然悲しく、残念な気持ちがしたけれど、ああやってえみきを移植したことは決して無駄ではなかった、と思った。見捨てなかったことに意味はある、と思っている。だから今年上映したところでは、そのように話してきた。そして、明日はえみきの2世を植える、えみき伝承祭。僕は、お別れ会みたいな名前だったら嫌だなあ、と思っていたら、「伝承祭」というのはとてもいいなあ、と思った。何かを次に伝えていくこと。ドキュメンタリー映画だって同じこと。僕は明日、参加します。PHスタジオの方々と灰塚に行ってきます。
僕が初めてドキュメンタリー映画『科学者として』を映画館で公開したとき、ちょっとした縁で森崎偏陸さんにチラシ・ポスターのデザインをしていただいた。自分で言うのも変だが、とても地味な映画にかかわらず、数多くの場面をレイアウトしたカッコいいチラシになって本当にありがたかった。その時はとにかく初めてのことで、森崎さんのこともよく知らず、図々しくもお願いしたのだった。『へんりっく 寺山修司の弟』という、森崎さんを描いたドキュメンタリー映画の存在を知って、見なければ、と思っていて今日、やっと見ることができた。タイトルにあるように森崎さんは寺山修司が亡くなった後、寺山修司のお母さんに請われて寺山家に入って、戸籍上、寺山修司の弟となった。映画は1974年に寺山修司が作った短編『ローラ』のシーンから始まる。この映画は客席から森崎さんがスクリーンに飛び込み、出てくる映画として有名で現在も上映され森崎さんが生で演じている。僕がまず驚いたのはこの特殊なスクリーンを森崎さん自身が作っていたことだった。この「作る」というのが本作のキーワードかもしれない。とにかく森崎さんは多彩な方で、アラーキーの写真集のブックデザインを手掛けているし、松村禎三の音楽助手を務めているし(本作では黒木和雄監督作『父と暮らせば』の収録シーンが出てくる)、数多くの映画で助監督をされているし、舞台の演出もされている。ぎょろっとした目の森崎さんが活動している様子を見ていて不思議なのは、どの仕事も大変なはずなのにどこか飄々として見えることだ。また、かつての天井桟敷の仲間や、自宅で一緒に住む山ちゃんなどと宴会をしている場面では子供のようでもある。どこか場の空気がふっと軽くなるような不思議な存在感。7年間撮影していたというこのドキュメンタリー映画はそうした瞬間をいくつもとらえていて映画自体も不思議な映画になっている。ただ、少し残念だったのは、手持ちで撮影されたシーンが多く、大きなスクリーンで見ていたら目が疲れたことだった。
僕が関わっている、バイオハザード予防市民センターでは、10月6日に「新型インフルエンザに関する見解」を発表した。要は「ワクチン、タミフルばっかりの対策じゃなくて、もっと必要なことがあるんじゃないの?」ということなのだが、この見解をもっと知ってもらいたいと思って、国会議員に向けたロビー活動。(というほど大げさでもないか・・・。)何せ、会の活動としても初めてのことだったので、準備にどのくらい時間と手間がかかるか分からず、ああだ、こうだやっていましたが、実際作業を始めてみると、意外とスムーズに完了。大変は大変だったのですが、無事終了。(効果は・・・分かりません。)