9.58の衝撃
子供のころはテレビでスポーツ中継を見ることはほとんどなく、嫌いだった。それがいつ頃か分からないが、10年近く前から時々スポーツ中継を見るようになった。中でも世界陸上は見てきたような気がする。(自分でスポーツをやらないものだから、この競技は見る!というようなこだわりがない。)やっぱり走って飛んで、という単純さが好きなのかも知れない。だから、男子100m決勝を生放送で見ていた。ウサイン・ボルトの走りは衝撃だった。何かとてつもないものを見てしまった・・という感覚だった。・・というのが生で見た時の感想だったのだけど、一日たってつらつら思うに、一体僕が本当に衝撃を受けたのは、本当に彼の走りだったのか、曖昧な気がしてきた。9秒58というのは、まぎれもなく彼の記録だけど、たとえ生放送の中継とは言え、僕みたいな走りに詳しくないど素人にとっては、コンマ何秒の違いなど知覚できるわけがない。(誰が勝った、負けたは分かるけど。)こうしたスポーツは記録あってのことだけど、走り終えた時に表示された9.58という数字に衝撃を受けたことは確かなのだ。じゃあ、僕が受けた衝撃は数字なのか、走りなのか・・・。(そんなの両方に決まってる、と言われておしまいだけど。)