『嗚呼 満蒙開拓団』
またもや今日も映画を見に行った。見たのは『嗚呼 満蒙開拓団』というドキュメンタリー映画。ドキュメンタリー映画が数多く映画館で公開されるようになってはいるが、ここ日本ではドキュメンタリー映画を作る状況はそう好転しているわけではない。そんな中、この映画の監督・羽田澄子さんは最も精力的に作品を作り続けている一人だろう。あまり年齢のことを言うのはよくないかもしれないが、すでに80歳を超えられていることも驚きだ。ご本人は全くそんなふうに見えないけれど。前置きが長くなったが、今作は満州に入植して、敗戦の混乱によって過酷な人生を送った人々を描いている。映画の冒頭、羽田さん自身も満洲(大連)から引き揚げてきた一人であることが語られる。そういう意味でも、どうしても撮らなければいけない作品であったことが伝わってくる。描き方はオーソドックスではあるのだが、同時に安心感もある。満州奥地から逃げてきた人々が語る体験はある人が映画で言っているように「生き地獄」そのもの。目の前で母が亡くなったり、兄弟が亡くなったり、自らの子供を手に掛ける場面を見たり、自決する人を見たり。こうした話を聞きながら、民間人(特に女性、子供、老人)を見捨てて逃げ出した軍隊とは何だったのか、怒りも湧いてくる。また、戦後も日本から見捨てられた。と同時に、命からがら逃げてきた人々の面倒をみた多くの中国人がいたことを決して忘れてはいけないだろう。そうした象徴が映画に出てくる、中国人が建立した「日本人公墓」なのだろう。
この映画を見た方は、来週まで上映されている『花の夢』もぜひ見てほしい。この映画では栗原貞子さんという一人の女性に絞って描いている。アプローチの仕方も全く違う。共通するのは、両作とも女性の映画監督であることだ。(そういえば昨日見た『台湾人生』も女性の監督だった。)