イセザキ映像祭のチラシが届いたので、さっそく、渋谷の映画館などに撒きに行く。効果のほどは分からないが、少しでも目を留めてくれる人がいることを願う。
その足で、試写会へ。見たのは「ロシア革命アニメーション1924-1979」という、聞いただけでマニアックな感じがしてくる特集。話は少しそれますが、僕は学生時代、ひょんなことからソビエト時代の娯楽映画を大量に見たことがある。ちょうどペレストイカが始まった頃で、それまで日本には入ってきていなかった映画が日本に上陸しようとしていた。その魁として、ソビエトSF映画祭で公開されたのが、今でも人気の高い『不思議惑星キン・ザ・ザ』だったりする。この時見たソビエト映画で分かったのは、ハリウッドで作られた映画のパクリ映画が大量にあることだった。例えば、『エアポート』シリーズがヒットすれば、航空パニックものが、『ランボー』がヒットすれば、逆にグリーン・ベレーがやられる映画など、変な映画がいっぱいあるらしい、ということが分かった。同時に、どこの国でも娯楽映画というものはあるもんだ、ということも分かった。
さて、今日、見たのはかつてプロパガンダとして作られた短編・中篇アニメ8本。各々の制作年代の違いもあって、手法も様々でひとくくりにするのは難しい。ちょっと奇妙な感覚を覚えたのは、かのジガ・ヴェルトフ監督の『ソヴィエトのおもちゃ』だった。まさに資本主義国の資本家=太った豚を批判する、揶揄するアニメなのだけど、当時のソビエトの思惑を80年の時を越えて今見てみれば、強欲資本主義でバブルがはじけた今の世界の状況をシニカルに描いた作品にも思えてくるのだ。かつてのソビエトの社会主義の理想がそうではなかったことが、もうばれているわけですが、それでも現在ロシアですら格差社会となり、日本でもそうなわけで、「強欲な資本家」像というのは意外と今だからこそ通じる部分があったりして、なんだか亡霊が蘇えったような、妙な感触を持ちました。このシリーズ、ロシアアヴァンギャルドやアニメの技法などから見るのも面白いとは思うのですが、時空を越えて今に通じる要素を探すと面白いかもしれません。5月公開。