「チャイルド44」
世間的には評判のいい、「チャイルド44」を読み終わった。風邪をひいてぼうっとした頭で読むような本ではなかったかもしれないが、そういう時だから余計、不安定な心理状況で読めたかもしれない。簡単に言うと、旧ソビエトの連続殺人鬼を追うミステリー。とくれば、実在の殺人鬼・チカチーロの事件をヒントに書かれた小説。ただし、時代設定を50年代に移している。で、僕は世間で話題になっているほど面白いとは思わなかった。確かに、旧ソビエトの寒々しい警察国家(ゆえに「犯罪は存在しない」という建前!)の描写は興味深いものの、どこかご都合主義な感じもする。二転三転して、ついに殺人鬼の正体が分かるラストには、それはないだろう、という感想。リドリー・スコットによって映画化されるらしいけど、まあ、本当に映画にこぎつけるかどうかは分からない。(原作のオプションが買われても映画にならないことは多いから。『ブレード・ランナー』だって、オプションを買ってから映画化までには随分時間がかかってますからね。)