2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2008/12/29 月曜日

40歳

ついに今日で40歳。もう十分、中年のおっさんだ。特段の感慨もないのだけど、30歳になった時とは明らかに違う。30歳になった時は、10年間はがんばってみよう、と思ったものだが、そういう気概もない。諸事情で、お祝い気分もないし。40歳といえば、「不惑」=惑わず、なんて言葉もあって、これから確固たるものをもって歩む、という意味なのだろうけど、僕の実感としては、迷いがあるということではなくて、もう迷ってられない、という感覚に近いと思う。何か他の事をする「逃げ道」みたいなものはあったと思うのだけど、逃げ道ももうない、という感じでしょうか。そうは言っても、目標を掲げる、なんて立派なものもなく・・・。相変わらず、なるようにしかならないだろう、と思ってます。

未分類 — text by 本田孝義 @ 21:41:31

「石田徹也」展/『ワールド・オブ・ライズ』

今日が展覧会最終日ということで、練馬区立美術館に行って、「石田徹也‐僕たちの自画像」展を見た。2005年に31歳という若さで亡くなり、没後も遺作集が出版され、評判になっていることは知っていた。僕も本屋で遺作集を手にとって、なんとも言えない引っ掛かりを感じていたので、実物をどうしても見たかったのだ。約70点が展示されていたのだが、これだけの規模の個展は初めてだとか。展示はほぼ制作年代順になっていて、1995年~99年の90年代の作品が目に飛び込んでくる。一言で言うなら、シュールレアリズムの自画像、ということになるのかもしれないが、機械や物と合体した絵は、どこかレトロ、懐かしさも感じるものなのだ。ちょっと面白くて、ちょっと不気味、そういう感覚が強烈だ。がんじがらめの社会に傷つく姿、と言ってしまうと分かり易すぎる。かなり精緻に描かれていることにも気付く。こうしたことはやはり実物を見ないと分からない。2000年代に入ってからの絵は、趣が変わる。青が印象的だったり、痛々しさがより強くなっているように思える。久々に絵を見て心が震えてしまった。

その後、事務所に行く。明日が最後のゴミ収集日だから、ただ単に集積所に出すだけだけど。

一回家に帰って、夜、『ワールド・オブ・ライズ』を見る。監督のリドリー・スコットファンとしては見ないわけにはいかない。あまり芳しい評判は聞こえてこなかったので、不安はあったのだが。大雑把に言うと、ほとんどリドリー・スコットらしさを感じられず、映画としてもどうもよろしくない。予告編はいかにもアクション映画風に作ってあるが、本当はポリティカル・スリラーというほうが正しいだろう。見ていてどうも乗れないのは、やたら携帯電話のシーンが多く、サスペンスも盛り上がらず。ディカプリオとクロウの駆け引きも、それほど面白くない。ただ、ラッセル・クロウの嫌な感じは興味深かったが。ちょっと物足りないなあ、というのが正直な感想。残念。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:21:17