2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2008/10/31 金曜日

ドキュメンタリー映画100本!

shimizu4310さんのブログによりますと、今年映画館で公開されたドキュメンタリー映画がついに100本を越えるそうだ。(調べたshimzuさんもえらい・・。)ここ5年ぐらい、増えたなあ、という印象があったのだけど、ついに100本、というのは感慨深いものがある。正確に言うと、これから年内に公開されるものも多い。また、山形映画祭の特集上映(何せ100本以上上映している)などの特集上映は含んでいない数字だ。僕も出来るだけ見たいとは思っているのだけど、もう、追いつかない。どれぐらい見たかな、と数えてみたら大体、40本ぐらいでした。(それでも見たなあ、という気もしますが。)100本というと、もう、当たり前のようにドキュメンタリー映画が上映されているわけで、僕が学生だった頃、ドキュメンタリー映画が映画館で公開されることが稀だったことを思えば、時代の違いを感じます。僕が見たものでも玉石混交。それは劇映画でも同じこと。背景にはいろんなことがありますが、僕は無条件に歓迎している。ドキュメンタリー映画を敬遠する人が減っているなら、それはそれでいいことだと思うのだ。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:20:58

沖縄・プリズム 1872‐2008

今日は夜、東京国立近代美術館に行って、「沖縄・プリズム 1872-2008」展の開会式・内覧会に参加した。出品作家の一人である、写真家の石川真生さんさんからご招待いただき、参加したのだ。

石川さんとは4年前、沖縄の佐喜真美術館で「沖縄ソウル 石川真生×本田孝義」という展覧会をやった。この展覧会は僕にとって、とてもチャレンジングなものになり、いろんな試行錯誤もあった。幸い多くの方に好評いただいたし、僕にとっても充実した展覧会になったと思っている。石川さんとご一緒できたことで、僕自身大きな刺激を受けた。

その石川さんと久しぶりにお会いした。上記展覧会を企画した、三浦さんとも久しぶりに会った。他にも、山形国際ドキュメンタリー映画祭東京事務局の方々も来られてました。

開会式の後、展示を見た。いいと思った作品もそれなりにあったのだけど、僕には少々物足りなかった。なんとなく、全体を見た印象としては、「薄いなあ」とはじめに感じてしまったのです。政治的であれ、とは言わないのですが、例えば基地の存在とかが意図的に脱色(これも政治性です)されているような印象を持ったのです。いや、そうではなくても、もっと「濃い」表現があるはずだ、という気がするのです。ただ、いくつか上映されているドキュメンタリー映画をちゃんと見れば印象は変わるはずですが。(いかんせん、こういう「展示」ではなかなか落ち着いて映画を見る気がしないということもあります。)「薄い」と思ったのは、もしかすると、石川さんの写真を見てきたせいかもしれません。そうは言っても、こうした形で「沖縄」をまとめて見れる機会はそうそうあることではないので、意義はあるはずです。

石川さんと久しぶりに会って、また元気をもらいました。(本が出版されることを期待したいです。今度の写真も面白そう。)

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:46:13

2008/10/29 水曜日

『消えたフェルメールを探して』/打ち合わせ

今日は『消えたフェルメールを探して』というドキュメンタリー映画を見た。この映画はフェルメール作の「合奏」という作品が、美術館から盗まれて、その行方を追う”絵画探偵”ハロルド・スミスの捜索を描いたもの。展開が早く、ややテレビ的ではあるのだけど、十分面白かった。ハロルド・スミスの強烈なキャラクター(黒のアイパッチ!)が縦糸なのだけど、かのフェルメール作品が展示されていた素晴らしい個人美術館を建てた、イザベラ・スチュワート・ガードナーの生涯が横糸となっている。同時に、元美術泥棒などなど怪しい人が大勢出てくる。そもそも、こんなに有名な作品は盗んだところで大っぴらにお金に換えることは難しいわけで、裏世界が複雑に絡んでくる話も興味深い。かつてあったように、IRAなど政治がらみの話もあって、魑魅魍魎が跋扈する世界が少しのぞける。面白いのはこうしたどろどろした話と静謐なフェルメールの絵が遠いことだろうか。いまだに絵は見つかっていないし、ハロルド・スミスも亡くなってしまった。

映画を見た後、鎌田さんとVIDEO ACT!ドキュメンタリー祭について打ち合わせ。主に物販物についてなど。他にも色々。まだこれから細かい話も出てくるだろうなあ。気になるのは、今のところマスコミの反応が鈍いところ。こちらからの再度のアプローチも必要だろう。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:51:16

2008/10/28 火曜日

作業は続くよ・・・

なんだかえらく時間がかかってしまったコンサートのDVD。今日もひたすらDVDのコピー。枚数が多い分は業者に出すことにした。

VIDEO ACT!ドキュメンタリー祭までちょうど1ヶ月になったと思ったら、少しずつ細かいやるべきことが出てきた。予告編を受け取ったり(僕は作ってません)、上映用のテープが送られてきたら確認したり・・・。まあ、上映まで一つ一つやっていくしかないでしょう。今のところ、反応はよく分からない。人を集めるのは大変だ・・・。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:49:21

2008/10/27 月曜日

横浜トリエンナーレ&BankART LifeⅡ

今週はアート週間です。たまたまいくつか重なっただけなのですが。

今日はやっと横浜トリエンナーレに行ってきました。始まって1ヶ月以上たつのに、なかなか踏ん切りがつかず、今日になりました。土日は混みそうだから土日を避けました。

横浜・馬車道に着いて、一番遠い会場(バスで25分)、三渓園という日本庭園に行った。5人の作家の展示。庭を見ながら展示を見る。ホルヘ・マキとエドガルド・ルドニッキーだけは上演時間が決まっていたので、うまく時間が合わず、その間に昼食。三渓麺という麺が美味。ここでは中谷さんの「雨月物語」という霧を作り出す作品がよかった。庭を散策しつつ、ある決定的な光景に出くわしたのだが、それは後述。

バスで馬車道に戻ろうとしたら、えらく待ち時間が長かった。今日、他の会場を廻れるか、不安になる。

馬車道ではなく、桜木町に着いて、BankART LifeⅡの展示である、「心ある機械たち」がぴおシティーというデパートの地下で展示されていて見る。機械も面白いが(以前見たものがほとんどでしたが)展示空間がデパートの空き店舗、というロケーションがいい。そこから歩いて、BankART1929へ。ここで「心ある機械たち」を見る。面白い作品が目白押し。北海道でお世話になった、磯崎さんの作品、機械室まで進出した高橋啓祐さんの作品、一連の牛島さんの機械たち、久しぶりに見たヤノベさんの作品などなど。

次に、池田さんが香川県から来られた方を案内しているのに便乗して横浜市庁舎へ。ここもロビーで展示しているのだ。こうやって、街に開いていく展示は素晴らしい。

ここから再び、横浜トリエンナーレ会場へ。一つ目、赤レンガ倉庫。30年ぐらい前のパフォーマンスの記録映像も興味深かったのだが、あまり時間が無いため、じっくりは見れなかった。本来であれば、じっくり上映会で見たいところ。灰野敬二さんの映像もあったが、生のすごさを知っている身としては(大学の時、いっぱい見たなあ)ちょっと見てやめる。全体としてあまり印象に残らず。

次に、新港ピアという港にある会場へ。いくつか気になる作品もあったが、約30人も作家がいながらぐっとくる作品はなかった。同時に、会場構成が非常に分かりづらい。

最後が、BankART NYKへ。ここはグロさも含めて強烈な作品多し。好き嫌いで言えば、嫌いなものも。最後に見たマシュー・バーニーもやはり嫌いなのだけど、ぐっと見せてしまうのはさすが、といった感じか。

本当の最後は、屋上で展開している、「ルーフトップパラダイス」。(同じ建物だけどこちらはBankARTの展示。ややこしい。)屋上に建築家も含めたいろんな作家がいろんな物体(?)を展示。これがわくわくする楽しさ!かつてのデパートの屋上にあった、遊園地を髣髴とさせる。この展示、奥が深くて、以前、池田さんが(岡山で展覧会をやった時に)言われていた、「日本の都市は屋上が貧しい」ということに対する提示になっているんだと思う。展示はクレーンで屋上にものを上げて大変だったみたいだけど。

こうして一日がかりで展覧会を廻りました。これから行かれる人は時間を作って、BankARTの展示も見て欲しい、と思います。で、横浜トリエンナーレは、全体として映像作品が多く、その映像作品もあまり満足できませんでした。僕自身、今までに美術展で映像作品を発表してきたので、展示の難しさも知っているつもりです。それでも、もっといい映像作品もあるはずだ、という気もするのです。(ちなみに、今回日本の作家はきわめて少ない。)特に考えてしまったのは、身体表現と映像の関係でした。

僕が今回一番印象深かったのは、実は、三渓園で見た、ある光景でした。展望台があったので、ずんずんのぼっていくと、庭が見渡せるのかと思っていたら、さにあらず。目の前に広がったのは、横浜の工業地帯、その手前に高速道路が走る風景でした。今まで見ていた、日本庭園とのこの落差。これこそが、横浜トリエンナーレのテーマである”タイムクレバス”(=時間の裂け目)じゃないか、と一人興奮していたのです。その後見た作品は、この光景のインパクトにはかないませんでした。そんな光景を気にしながら見ていた僕がいけないのかもしれませんが。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:10:24

2008/10/26 日曜日

作業

今日は某所に出かけようと思っていたのだが、気が変わった。だからというわけではないが、事務所で諸々の作業。作業と書くと大げさですが、DVDを作ったりしていました。

パソコンで映像編集を始めた頃は、「デジタルだ!」って喜んでいましたが、テープに書き出したり、DVDを焼いたりするには変換作業があったりして意外と時間がかかるので驚いたもんです。ですので、じーっと待っている時間も長くて、そんな時はぼうっと本を読んでいたり・・・。今日もなんだか時間を消耗した気がします。

未分類 — text by 本田孝義 @ 20:55:11

「労働再規制」

最近、土日には出不精になる。本当はこういう日こそ、いろんなものを見に出かけるべきなのだけど・・・。

「労働再規制」という新書を読む。派遣に見られるように、規制緩和の掛け声で労働の現場がずたずたになったのは多くの人が伝えている通り。この本は2006年から反転がおき、再度規制を強める動きが出てきたことを丁寧に紐解いている。特に、政府内の諮問機関の答申や議事録を紹介しているのが面白い。この反転の動きがはたして本物になるのかが今後注目されるところだろう。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:13:22

2008/10/25 土曜日

「強欲資本主義 ウォール街の自爆」

「強欲資本主義 ウォール街の自爆」という新書を読んだ。現在進行中の「世界恐慌か?」という状況がアメリカの金融危機から発していることが連日ニュースで報道されていて、「なんでこうなった?」という興味がありました。多分、少し前の自分では景気が悪くなることなどからの関心だったと思うのですが、一生縁がないと思っていた「証券」をひょんなことから持つことになって(前にも書きましたように亡くなった父の遺産相続の関係です)、おもいっきり「金融危機」と直結することになってしまったわけです。で、どうしてこうなったのかをウォール街に働く著者が分かり易く解説したのが本書。分かり易く、ではあるのですが経済問題に疎い私はそれでもところどころ分からないことあり。それでも、ウォール街がいかに無茶苦茶な論理で動いていたかはよく分かった。それを日本も真似したものだから、末端の僕のようなものもまんまとその網にかかってしまったわけです。多分、アメリカではテレビなどでいろんな特集をやっているのでしょうが、いつか面白いドキュメンタリー映画を見ることは出来るでしょうか。少し前に『ザ・コーポレーション』という、企業そのものを分析したドキュメンタリー映画がありましたが、この本を読むと、悪い企業もまだ可愛く思えるほど。はたして、金融工学なるギャンブル経済を作り、世界中に広めた連中の悪さは映画にすることが出来るのでしょうか・・。あんまり面白そうではありませんが、いつか見て見たい。自分の経験はVIDEO ACT!の3分ビデオにするつもりですが。(早く作らねば。)

ちなみに横浜のBankART1929の「1929」というのは、使っている元銀行の建物が1929年に建てられたところから来ていて、1929年というのは言わずと知れた世界恐慌が起きた年。この名前をつけた時、「なんでわざわざ世界恐慌を想起させる数字を・・」なんて思ったものですが、今この時点になると、さすが先見の明があった、ということになってしまいましたね。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:25:34

2008/10/24 金曜日

『ヘヴィーメタル・イン・ザ・カントリー』

今日はレイトショーで『ヘヴィーメタル・イン・ザ・カントリー』を見に行った。予告編を見た時に面白そうだなあ、と思ったのだ。簡単に言うと、ドイツのドンツドルフという村に”ニュークリアー・ブラスト”というヘヴィーメタルのレーベルがある、というドキュメンタリー。この村というのが、いかにもドイツの村っていう感じの森と家が美しい村。おばさんたちを含む村人がこのレーベルで働いているのが微笑ましくも可笑しい。年寄り連中は嫌がりつつも、共存している模様。・・・と前半は面白く見ていたのだが、後半失速。結構、構成が散漫で今ひとつ焦点が結ばない。ちょっと残念。

それにしても、音楽ドキュメンタリーはクラシックからロックまでもういっぱい公開されていて追いつかない。最近は、見るのも諦めた。でも、気になるものはあるんだよなあ。

ところで、この映画の後、メタルバンドのプロモーションビデオが4本上映されてるのだけど(僕は詳しくないのでどういうバンドなのかさっぱりわからん)4本のうち3本がレンガっぽい倉庫での演奏、というのが妙に可笑しかった。何かメタルの美学と倉庫は相性がいいのでしょうか・・・。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:55:14

2008/10/22 水曜日

『オオカミの護符』/マスコミ

今日は午前中、ポレポレ東中野で『オオカミの護符』というドキュメンタリー映画を見た。オオカミが描かれた護符に導かれて、関東地方の山々の民俗・信仰を描く作品。実に丁寧に撮影されていた。ただ、少し気になったことがあった。五臓六腑、という言葉があるように、腑に落ちるという言葉もある。この映画はナレーションが懇切丁寧で、頭で理解するにはいいのだが、少し過剰で映像からいろんなものを「感じる」余裕が無い。だから、腑に落ちない。学術的には省けない話もあるとは思うのだが、僕はもっと山の霊性を感じたかった。ドキュメンタリーは難しい。

その後、久しぶりに原田さんに会って、VIDEO ACT!ドキュメンタリー祭のマスコミ広報について相談にのってもらう。ある程度新聞記者などに絞って、案内を出すことにする。

で、事務所に行ってマスコミに案内を送る。少しでも興味を持ってもらえればいいのだけど・・。報道される・されないでは大きな違いがあるから。(実利的には観客動員が切実だけど、それだけではなく、とにもかくにもVIDEO ACT!が10年続いていることを多くの人に知って欲しい、ということがあるわけだ。)

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:25:49

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