2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2008/8/11 月曜日

お盆/『恋や恋なすな恋』

僕の周辺でも多くの人が休みをとったり、故郷に帰ったりしているようだ。僕も少しだけ故郷に帰ることを考えたのだけど、実家に帰ったって誰もいないし、4月には父の墓参りもしたし、母にも会ったし、まあ、帰らなくてもいいかな、と思い、お盆だからといって故郷に帰るのはやめにした。どこかに旅行に・・・という気もおきなかったし。

おまけに東京では再上映中だから、目覚めはよくない。具体的な数字は聞いていないのだけど、初日の感じでは苦戦しているのではないか、と。

けど、まあ、しばらくのんびりしよう。

夕方、シネマヴェーラに行って、『恋や恋なすな恋』。監督は僕が大好きな内田吐夢。今年生誕110年とかで特集上映をやっている。好きだ、と言いながら見ていない作品もある。で、今日見たこの作品は「実験的」なんて書かれていることが多いので、ずっと気になっていたけど見逃していたのだ。確かに途中、アニメや舞台劇などが入ってくるのだけど、奇をてらった、という感じはしない。内田吐夢って、不思議な監督で、物を「語る」ために必要だと思ったら平気で大胆なことをやる人なのだ。だけれども、基本的には東映でずっと撮っていたから、そこは東映カラーの正当で時々ふっとはみ出す、その感じがたまらない。それにしても、色調が独特で僕はそこも好き。今作で言えば、黄色の花畑(それも廻る!)で大川橋蔵が舞う、そのまがまがしさと美しさ。

明日も通うような気がする・・・。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:12:13

2008/8/10 日曜日

スポーツ中継

世の中はお盆と同時に北京オリンピックと高校野球とスポーツ中継が目白押し。僕も自分ではまるでスポーツをやらないが、中継は結構好きだったりする。

でも、高校野球はそんなに見る気がしない。(中には見る試合もあるけど。)なぜかと言うと、野球自体は見たいのだけど、あの応援がどうも好きになれないのだ。僕も地方の予選とは言え、高校生の時、吹奏楽部の部員として、何度か応援に駆り出されたものだが、スタンドは暑いは、楽器には悪いは、応援団の言うことを聞かなきゃいけないはで、いい思い出が無い。だから、テレビからうるさい応援が聞こえてくるのは、あまりいい気がしない。それなのに、最近、「ブラバン甲子園」なるCDがヒットしたりして、僕には分からない世界だ。応援に関しては、メジャーリーグみたいなのがいい、と思うのだけど。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:15:00

2008/8/9 土曜日

厳しい・・・か・・・

今日も朝から暑い。渋谷まで出かけて、10時半頃、UPLINKに着く。アンコール上映の初日。上映時間が近づいても混み合う、ということはない。3分前ぐらいまではそれでも「人が来てくれ」と祈るような気持ちだったのだが、すーっと汗が引くように、過大な期待も引いていく。そりゃあ、上映するからにはいつだって満席のほうがいいに決まってる。けど、世の中そんなに甘くない。満席には程遠い状態でしたが、この暑いさなか来ていただいた方々には感謝の気持ちで一杯だ。

上映後、簡単な舞台挨拶。少しばかり現状をご報告。三次市出身の方が声を掛けてくださり、熱心な質問をしてくれた。

3週間上映があるので、何か追加の宣伝を出来ればいいが、世間的にはお盆休みになっているところも多く、何が出来るかすぐには思いつかない。

暑さのせいばかりではないと思うが、これと言って何かをする元気も起きず、帰宅。

未分類 — text by 本田孝義 @ 21:28:50

2008/8/8 金曜日

横川シネマ/『77BOA DRUM』

東京の再上映は明日からだけど、広島では来週土曜日から再上映。今日、その映画館、横川シネマに上映用テープやパンフレットなどを送った。横川シネマの支配人・溝口さんはプログラムからもぎりから映写までほとんど一人でこなす、すごい方。ミニシアターってここ10年で全国に増えたけど、僕と同年代か若い支配人は意外と少ない。溝口さんはそんな数少ない方の一人。

今日から北京オリンピック。チャン・イーモウ演出の開会式、なんてのも気になったが、ここ数日、もっと気になる映画があったので、そちらを見に行った。見たのは『77BOA DRUM』。今日、2008年8月8日が8並びで北京オリンピックなら(ちなみに、偶然ですが『船、山にのぼる』は88分。)2007年7月7日、ニューヨークのブルックリン橋の袂に、ボアダムスのコンセプトの下に77台のドラム(7並び!)を渦巻状に並べて演奏が行なわれた、そのライブドキュメンタリー。これは傑作だった!僕はまだ結成してそれほど間が経っていない頃、法政の学生会館でボアダムスを見たことがあるし、メジャーデビューした頃のCDも聞いたけど、それほどピンとこなかった。だから、ファンでもない。けど、この77台のドラム、というコンセプト、予告編に惹かれて見に行ったのだ。映画館で公開される音楽ドキュメンタリーは本当に増えて、まあ、さすがに全部追いかけることはないのだけど、気になるものもある。で、時々、がっかりする。大体がバックステージとライブシーンで構成されているものが多いわけだけど、意外とライブシーンが少なくて「もっと聞かせてくれ」と思うこともしばしば。その点、この『77BOA DRUM』はその辺のバランスも絶妙、編集も絶妙。これだけのイベントだから裏側も確かに気になるので、リハの風景も含めて、ライブの途中に見せてくれるのだけど、物切れ感も感じず、いい具合。僕は極端な広角レンズって嫌いなのだけど、この映画の場合は許せた。そして、「世紀のパフォーマンス」なんて常套句としてよく使われるわけだけど、確かにもっと規模がでかい演奏なんていくらもあるけど(何せフルオーケストラの方が人だけなら多いし)、この77 BOA DRUMのパフォーマンスは圧巻!基本的にはヤマタカEYEの合図で演奏を変化させていくのだが、トランスというかスペイシーというかノイジーというか(僕もその辺は詳しくないので分かりません)、とにかくそういう音と77台のドラムの音圧が意識を遠くへ連れて行ってくれる。確かにこういう奇跡的なイベントは記録されなければいけない。もう一つ面白いのは、You tubeの映像も積極的に使っていること。この映画では画像の粗さも良さになっている。僕は時々、プリミティブな衝動を覚える場面に出くわすと自然と涙が出るのだけど(ダンスだったり、アクションだったり)この映画では何度か涙が出た。こういう音が嫌いな人には無理には勧めませんが。今のところ、今年見た(劇もドキュメンタリーも含めて)映画で一番良かった!(後で調べたら、今年はなんと8並びということで、88台で今日、やったらしい。恐るべし・・。)

それにしても、昨日と今日のこの違いはいったい・・・。それも映画の面白さ。

さて、明日から東京アンコール上映。『船、山にのぼる』はどう受け止められるのだろう。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:51:33

2008/8/7 木曜日

散髪/『GATE』

それほど髪が長くなったわけではないが、暑い日が続くので少しうっとうしくなり、散髪した。気分転換、というほどでもない。

夜、なんだか怪しい匂いがぷんぷんしている、ドキュメンタリー映画『GATE』を見た。内容が怪しい、わけでは決して無い。(いや、見てみると怪しい部分もあるのだが・・・後述。)何せ、日劇という大きな映画館で公開していながら、チラシすら見かけない。こんな興行はまず考えられない。にしても、日劇でドキュメンタリー映画をやった記憶がないので、どういうことなのか、興味はわく。明日までの上映のようなので、見ておこうか、と思った次第。600席以上ある劇場で30人ほどの観客。なんなのだこれは?

で、映画を見始めてまたまたびっくり。画像が粗い。ビデオ撮影のキネコ(35mm)だからしょうがないのだけど、もう少しきれいなキネコが出来るはず。マーティン・シーンが出てきて何やら喋るのだけど、特に出てくる意味はなし。そして、冒頭、再現ドラマが始まった時、頭の中で「トンデモ・ドキュメンタリー」という言葉が頭をよぎった。何せ、監督であるマット・テイラー氏が出てきて、原爆の火をトリニティーサイトへ返す提案をするのだけど、ドリーを使って、2人の会話を見せるのだけど(本人が演じる再現ドラマ)、もうカメラの動きとカット割りがめちゃくちゃで見難いことこの上ない。加えて、その後もそうなのだけど、説明過多のナレーションと大げさな音楽が鳴りっぱなし。途中にはロックから日本の歌までこれでもかと。松嶋菜々子のナレーションも少し耳障り。確かに、広大なアメリカを2500kmを行脚する僧侶は興味深いし、感動的だとは思う。だが、その「感動」はこうして厚化粧しなくても十分伝わるはず。加えて、映画を深くするはずのシーンはほとんどなく、おまけに編集も構成も変。そして、最後、トリニティーサイトのゲイトが「初めて」民間人に開かれたかのように語られるのだけど、テレビも映画でも何度も見てきたけど、「初めて」ということはなかろう。(ナレーションではホワイトハウスの影響すら示唆。)ラストの字幕では「核兵器解体」が地球温暖化問題を解決するかのように言っているが、先の洞爺湖サミットの裏テーマが「原発推進」だったように、僕はその点は納得できない。製作母体の核兵器解体基金や製作・監督のマット・テイラー氏はいろいろ噂があるようだけど、事実関係が分からないから、僕はその部分はよく分からない。けど、映画としては久しぶりにトンデモ感たっぷりでした。それにしても、こういう映画を大して宣伝もせずに(僕だっていくら再上映とは言え、チラシだって15000枚は刷っているのに・・)大劇場で上映するとはよくわからん。(常識で考えれば、興行保証だって相当な金額になるだろうし・・・。)また、普通で考えれば昨日は広島に原爆が落とされた日であり、もうすぐ長崎に落とされた日という、一番、原爆が話題になる時期だというのに・・・客席はガラガラ。ほんとによくわからん。

先日、「狂気の核武装大国アメリカ」という本を読んだ。こちらはいい本だった。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:51:15

2008/8/6 水曜日

映写チェック

今日は夜、UPLINK Xで映写チェックを行った。微妙な色調節。特に問題なし。あと3日後にアンコール上映。なんとなく、あっという間に上映が来た、という気もする。

こうして再上映してもらえるのは、製作者としてはありがたいことだ。だからこそ、劇場には迷惑をかけたくないもんです。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:49:51

2008/8/5 火曜日

夏と扇風機と雷と

事務所で扇風機の風にあたっていると、ふと、小学校の頃を思い出した。当時、学校の水泳教室から帰ってきて、扇風機の風にあたりながら昼寝をしていた。その時に感じていた心地よさ。そんなリリシズムを感じる映画を見たいものだ、と思った。

今日は雷が鳴り続けて豪雨。総武線も徐行運転をしているほど。雷の音を聞きながら、またまた昔のことを思い出した。小学校の頃、家から数メートルの電柱に雷が落ちた。さすがにこれだけ近いと光と音は同時。ものすごい轟音と同時にあたり一面がオレンジ色に染まり、始めは何が起きたか分からなかった。テレビの画面はゆがむし、電話は不通になるし電化製品の多くが壊れた。あれはすごい経験だった。だからと言って、雷が恐くなった、ということはないけれど。

妙にノスタルジックになってしまったのはなぜだろう・・・。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:06:49

2008/8/4 月曜日

パンフレット/『敵こそ、わが友』

今日、UPLINKに物販物を送った。どのくらい入場者があるかわからないけど、とりあえずパンフレットを100部、CDを10枚。パンフレットは比較的よく売れているほうだと思う。先日まで上映していた名古屋では、入場者数は正直厳しかったのだけど、約半数の人がパンフレットを買ってくれてた。さて、アンコール上映でどれだけ買ってもらえるだろうか。

夕方、またまたドキュメンタリー映画を見に行った。それにしても、夏と言えば映画館もかきいれ時。そんな時にドキュメンタリーが何本も公開されている、というのは隔世の感がある。僕はこういう状況は無条件にいいことだ、と思っている。もちろん、いい作品もあればよくない作品もあるだろうけど、それは劇映画でも同じ。ましてや傑作に出会うことなんて滅多にないのだって同じだ。ただ、僕の場合は、少々つまらないドキュメンタリー映画だって色々発見があるからドキュメンタリー映画は見たい、と思うのだ。

脱線してしまったが、今日、見たのは『敵こそ、わが友』というドキュメンタリー。元ナチスの戦犯・クラウス・バルビーが南米・ボリビアで捕まり、フランスで裁判を受けるまでが描かれる。「映画」としてはいたって凡庸。インタビューと資料映像で基本的には出来ているから。途中まであまり乗れなかったのだけど、ボリビアに行ってからの話から裁判までは集中して見れた。「反共」のためにナチス幹部を使うアメリカ、南米に逃げる元ナチス、本当に国家社会主義政権を作る一歩手前までいった話など興味深い話が目白押し。僕は見ながらつい日本と比べていた。確かに日本にもアメリカとの取引で罪を逃れた人達がいた。でも、日本の場合はそういう人たちが追求されて裁かれることもなかった。(この映画の場合と比較すると隣国が裁く、ということになるだろうか。)それにしても、こういう欧米のドキュメンタリー映画を見た時に思うのは、山形映画祭でもそうだけど、実に多くの映画をテレビ局が製作していること。近年、多くの邦画が「製作委員会方式」で作られ、テレビ局がからんでいることの功罪が言われているけど、ドキュメンタリー映画に限って言えば、テレビ局が製作したものはほとんど聞かない。見間違いがなければ、『敵こそ~』もテレビ局が絡んでいる。(だから「テレビ的」というのはあたっていなくて、今作は「テレビ的」かもしれないがそうでないものもいっぱいある)少なくとも日本のドキュメンタリー映画はきわめて危うい製作基盤で出来ていることは間違いない。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:53:46

2008/8/3 日曜日

お休みには・・・・

サラリーマンでもないのに、ここのところ毎週日曜日には「お休み」と書いているような気がする。

今日も出かける気にならず、家にいた。本を読みながら、つい、うつらうつらと・・・。ぼけーっとのんびりした日曜日でした。

未分類 — text by 本田孝義 @ 21:24:23

2008/8/2 土曜日

『崖の上のポニョ』

いろんな意味で気になる映画というわけで『崖の上のポニョ』を見た。いやー面白かった。何が面白いって、絵を動かす楽しさに満ちているのです。久しぶりに宮崎監督はリミッターを外したんじゃないか、と僕には思えました。確かに「子供向け」で単純・分かり易い話ではありますが、変な哲学的な遠大さを求めるのもどうかしていて、単純な分、僕はここのところのジブリ作品では一番よかった、と思います。こういう作品ほど地に足がついてなくてはいけなくて、ファンタジーは単に浮世離れしたものではないはず。宮崎さんも楽しんで作っているのがありありとわかります。声優で驚いたのは矢野顕子!確かに名前があったはずなのに、映画を見て気付かなかった。パンフを見てびっくり!これはちょっとすごいです。(見てのお楽しみ。)ちなみに、この映画のラストクレジット、「映画をつくったひと」としてスタッフ・声優が役割分担区別無く出てきます。その理由はよく分かりませんが、聞いてみたい、気もする。(かつて小川プロのドキュメンタリーで同じような表記をした時代があった。)

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:33:31

« 前のページ次のページ »