2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

2008/4/17 木曜日

『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』/会議

今週は映画見たおし週間。

そんなわけで、今日見たのは『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』。映画館は団塊の世代と思しき世代で熱気むんむん。若者でもない私のような中途半端な世代はさらに少数。あさま山荘事件自体、僕は4歳でまるで記憶ナシ。必要に迫られて、新左翼史ぐらいは読んでいるけれど。

僕は映画を見ながら、久しぶりにこんなお尻がもぞもぞする、座り心地が悪い思いをした。普通、こう書くと、ダメなパターンなのだけど、事実は逆で、画面に圧倒され、何度もすごい、とつぶやいていた。だからこそ、映画の中で展開される話の凄惨さ、やりきれなさにどうしようもない焦燥感を持ったのだ。特に、山岳アジトに行ってからの総括という名のリンチにおいて。なんて彼らは真面目だったのだろう。真面目すぎたのだろう。「共産主義化」「総括」「自己批判」という言葉がまるで何かの呪文のように響き始める不気味さ。もっとも、僕は「個人の共産主義化」が何を指すのかよく分からなかったのだけど。もう一つ、この辺の話を聞くたびにいまだによく分からないのは、「武装革命」を本当にこのレベルでやれると思っていたのだろうか、という疑問。しかしながら、この映画は間違いなく、苦い苦い青春映画。役者もよくがんばっていた、と思う。撮影、演出も気をてらっていない、直球勝負。だから、とんでもなく力作。だけれども、傑作と言うには何かためらいを覚え、そのためらいは何なのか、ちょっと考えてしまうのだけど。

夜、VIDEO ACT!の会議。今年10周年なので何か出来たら良いな、と思っている。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:48:08

2008/4/15 火曜日

ドキュメンタリー映画

公開が始まり、打つ手もなくなり(いや、本当はやれることもあるはずだが・・)かと言って、次の仕事もあるわけでもなく、かと言って、どこかに旅をするわけにもいかず、こんな時は気になる映画を見るに限る。

ドキュメンタリー映画が映画館で上映される光景は普通になった、と思う。映画館でドキュメンタリー映画を見ることが難しかった時代を知っている者としては大変嬉しい限り。そりゃー、作品の良し悪しはあるだろうけど、それは劇映画だって同じこと。僕はドキュメンタリー映画が好きだから、出来るだけ見たいと思っている。もっとも、最近は音楽ものなども多く、見逃す映画も増えてきた。

今日はモーニングショーで『心理学者 原口鶴子の青春』を見た。監督の泉悦子さんが舞台挨拶をされていた。そもそも、僕はこういう人がいたことを知らなかったから、とても興味深かった。ただ、100年前の話を映像にする難しさもあって、少しばかりナレーションが多く、なんだか勉強している気もしてくる。途中、映画の本筋とは全く関係なく面白くなってきたのは、ニューヨークの町並み・建て物。土曜日にトークショーに来ていただく、五十嵐太郎さんの建築に関する本を読んでいるせいか、やたらとた建て物に目がいく。100年近く前の重量感ある建築が、今もこうして残っていることに比べ、日本はどうだろうか、とふと考えてしまう。ニューヨークに留学していた原口鶴子の足跡を辿りながら、自然とニューヨーク建築探訪にも思えてくるのは、別の意味で面白かった。こういう発見があるのもドキュメンタリー映画を見る楽しみ。

今日は珍しく映画の梯子。2本目に見たのは『ファヴェーラの丘』。予告編を見て面白そうだったし、ぴあの出口調査では僅差でこの映画に負けて5位だったから、余計気になる。で、映画の本筋は面白いのだけど、このエフェクトかけまくった画面は見ずらくないか。加えて、空撮を筆頭にやたらピンボケした画面が頻出するのはなぜなのだろう。見ててしんどくなった。もう一つ言えば、主人公であるアフロ・レゲエはとても魅力的なのだけど、もっと演奏が見たかった、というのが正直なところ。もっと、熱い映画を期待していたのだけどなあ。そういえば、川俣正さんには、”ファヴェーラ”シリーズがあった。

そんなことを書きながら、入場者数を日々つきつけられる今日この頃。

未分類 — text by 本田孝義 @ 20:40:24

2008/4/14 月曜日

分岐点

ただいま午後8時55分。ここのところ、毎日午後9時前にはそわそわしている。元来気が弱いせいか、今日はどうだろうか、と気になってしまう。精神衛生上、よろしくない。

最近、今までにあったいろんな分岐点のことを考えている。2003年6月、PHスタジオの池田さんから「今から灰塚に来て」という電話を断っていたら、今回の映画はなかったかもしれない。あるいは、2007年3月末の文化庁の締め切りに間に合っていなかったらどうなっていたか。完成後、ユーロスペースで上映できれば、と思い、支配人の北條さんに見てもらった時はどうか。具体的に上映を検討した時に、公開時期を春にしてレイトショーを選択した(せざるをえなかった)時はどうだろう。(ちなみにロードショーを望んでも、いろんな条件から考えてなかなか思ったようにはいかない。要はこちらの「興行力」も冷徹に判断されるからだ。)あるいは、いくつかの映画賞・映画祭に応募して、落ちた時にへこんでやる気をなくしていたらどうだったか。いや、それでも昨年秋から、現地の方、広島・岡山の方に見てもらって、「よかった」「感動した」などと言われ、元気をもらったのだけど、上映していなかったらどうだったろう。はたまた、マスコミ試写が徐々に盛り上がって、想像以上にいろんな媒体で取り上げてもらったことがなかったら、今頃、どんな上映になっていただろう。

うまくいかないことも間々あるけれど、いくつもの分岐点を過ぎて今があることは間違いない。

未分類 — text by 本田孝義 @ 21:05:48

2008/4/13 日曜日

爆睡/『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』

朝、猫にご飯をあげるために起きたのだけど、眠いのか疲れていたのか、二度寝をして爆睡。昼頃再び起きる。

少々疲れてはいるのだが、最近、見逃している映画も多いので、ちょっと頑張って映画館へ。

見たのは『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』。僕自身はヘンリー・ダーガーに興味はあるものの、とりたててファンというわけではない。だからこそ、このドキュメンタリー映画は気になっていた。人気の高さが伺えて、かなり人は入っていた。映画はダーガーの絵がアニメで動く、ということで賛否両論、話題になっているのは聞いていた。映画はひたすら資料映像に延々ナレーションがかぶさり(インタビューもありますが)途中から疲れてしまった。もう少し、見る側の想像力を遊ばせてくれる余白があったほうがよかったと思う。なんだか窮屈で。アニメ自体には特に違和感はなかったのだけど、じっくり見てみたかった気もする。

未分類 — text by 本田孝義 @ 20:45:03

モーニングショー/会議/『クローバーフィールド』

今日は4日間ある、モーニングショーの第1回。先週の初日と同じように緊張する。体は疲れていたけど、早めにユーロスペースに着く。

9:45スタートという、映画の上映としてはかなり早い時間に関わらず、9時半ごろにはそれなりに人がやってきて、最終的になんとか形にはなりました。こちらの意向で、レイトショーだけだと年配の人が見にくいだろうから、無理を言ってモーニングをつけてもらった手前、がらがらだったら申し訳ないところでしたが、「やってよかったね」ということにはなったようです。年配の方も大勢来てくださいました。びっくりしたのは、かつてTSUTAYAでバイトをしていた時の同僚に数年ぶりにばったり会ったこと。こんなこともあるから上映は面白い。

ちょっと時間が出来たので、渋谷をぶらぶらしてから、午後2時からバイオ市民センターの会議。ここでも前売り券を10枚ほど買っていただく。最近、あちこちでバイオ施設の建設が相次いでいて、相談がいくつか寄せられている。こういう時のためにも、このセンターがあってよかったと思う。

また渋谷に戻って、晩御飯を食べてから、『クローバーフィールド』を見る。ユーロスペースの上映の終わりに行こうと思っていたから、時間がうまくあったのだ。偽ドキュメンタリーの手法で怪獣映画を作る、というワンアイディアがよく出来た映画。とのかく巻き込まれているだけ、主観カメラだけで全編見せるのは面白い。ただ、この映画を「ドキュメンタリータッチ」なんて書いてる人がいるけど、いい加減カメラがぶれると「ドキュメンタリータッチ」というのはいかがなものか。この映画、見ながら『ゴジラ』へのリスペクトを強く感じた。じゃあ、傑作か、というとそうは思えないけど。

午後10時半頃、再び、ユーロスペースへ。先に書いたバイオ市民センターの幹事の方が知り合いを大勢連れて見て下さったので、挨拶をせねば、と思ったのだ。何人かに声をかけていただく。こういうのは素直にうれしい。

本当は、監督としてはたとえ少ない人数でも「映画を見てもらえた」、感想を聞けた、というのはとても幸福なことなのだけど、同時に配給をやっていると、どれだけ入ったの、という切実な数字を突きつけられる。その辺は引き裂かれた状態でしんどい部分ではあるけど、こうして映画を見てもらえていること自体、それはやはり幸せなことなのだと思う。

帰りがけ、また雨が降ってきた。また入場者数が減るのだろうなあ。映画も生ものなのです。

未分類 — text by 本田孝義 @ 1:39:32

2008/4/12 土曜日

トークショー

今晩は建築家の竹内昌義さんとのトーク。前作から引き続いてのお願い。

前作以後、みかんぐみが横浜に事務所を移したこともあって、なんだかんだと顔をあわせることがあったから、今回もお願いした。

トークがあるから満席・・・とはいかないのが上映の難しさ。もっとも、今週の厳しさを思えばましではあるのだけど。

トークの内容は・・・上映前の限られた20分しかないので、駆け足であれこれしゃべったわりには、しゃべり忘れたこともあって、こんなことでよかったのかと思ったり。個人的にはみかんぐみの仕事振りが聞けて面白かったのですが。

明日はモーニングショーとレイトショー。心配だから、モーニングに顔を出す予定。

未分類 — text by 本田孝義 @ 1:02:59

2008/4/11 金曜日

風が吹く・・・

ここ数日、心に隙間風が吹き抜けている。いかんともしがたい。

昨日は、大阪に行った。2時前に着いて、シネ・ヌーヴォの山崎さんと一緒に毎日新聞大阪支社に行く。僕は毎日新聞をとっていて、先週の映画コーナーで酷評されて、また毎日新聞に行くというこの不思議。取材を受けて1時間ほどあれこれしゃべる。その後、今度は産経新聞大阪支社にて取材。少しは大阪上映を盛り上げないと。

夜、風の楽団コンサートを見る。単純にライブが見たかったから大阪に来たまで。知っている曲もアレンジやノリ(もともと即興演奏が得意なバンドだから)が変わると全然違った曲に聞こえたりして新鮮。ああ、東京の人たちにも聞いて欲しかったなあ、とつくづく思う。映画公開に合わせてライブをやりたかったのだけど、僕の力量では難しくて断念した。2部の途中で映画の紹介をしてくださって、感謝。客席にいて「監督が東京から来てます」と紹介されたのは照れくさかったですが。

少ししなびた心に爽やかな風が吹き抜けるようなライブでした。

映画の上映に神風は吹かない。けど、今週は日経新聞、中央公論、今日は週刊金曜日と紹介された。そんな映画は、他にない。(と根拠もなく断言。)少しは追い風が吹いてくれることを期待。

今晩はトークショー。これから行ってきます。

未分類 — text by 本田孝義 @ 16:36:10

2008/4/10 木曜日

花も嵐も・・/『花はどこへいった』

昨日は台風並みの雨・強風だった。そんな中、映画を見に来てくださった方がいたのはやはりうれしい。僕は誰もいないんじゃないか、と思っていたからだ。

 頭痛は治まったので、今日は映画の試写会に行った。『船、山にのぼる』の宣伝をしてくれている原田さんはとても忙しく、現在公開中の2本、これから公開される映画2本(+1本かな)の宣伝をやっている。全てドキュメンタリー映画、っていうところが素晴らしい。その1本、これから公開される『花はどこへいった』を見た。ベトナム戦争時代の枯葉剤の影響で夫を亡くした、監督の坂田雅子さんが現在も続く、枯葉剤の悲劇を追う。すんなりと心にしみこんでくる、よく出来たドキュメンタリーだった。ただ、個人的にはナレーションが一言多い、とも思った。(その辺は好みの問題ですが。)また、映画を見ながら、ベトナム戦争時代、かなり早い時期にベトナムに入り、反戦運動を組織された故・芝田進午さんのことも思い出していた。追悼ビデオを作った時に、ベトナムにいる芝田さんの写真を使った。

その後、事務所にていくつか連絡。某新聞社の記者に電話。あと1紙出れば、大きな新聞には全部出たことになるのだけど・・・。掲載誌で言えば、中央公論に岡田秀則さんが素敵な記事を書いてくださった。巻頭カラーページ、驚くやらありがたいやら・・。

夜、もう1本映画を見ようと思ったが挫折。

明日は大阪。風の楽団のコンサートを見るのがメインだけど、取材が2件入った。大阪公開ももうすぐなのだ。一泊する予定。

帰ってきたあさってには、夜、トークショー。はたしてうまく喋れるかな。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:58:34

2008/4/8 火曜日

頭痛

頭痛のタネはつきまじ、と思っていたら、本当に頭痛がしてきた。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:43:58

2008/4/7 月曜日

映画の公開

とりあえず初日があけて、宣伝担当の原田さんと電話で状況分析。当たり前(?)の話ではあるのだが、レイトショーでは日曜日~火曜日ぐらいはどんな映画でも観客動員は落ち込む。だから僕も、一喜一憂するのではなく、落ち着いて受け止めたい、と思う。(何せ映画館から毎日の入場者数の日報が届くのだ。何人入ったかはたちどころに分かる。)普通は監督が気にすることではなく、配給会社が気にすることなのだろうけど、両方兼務していると、まあ、精神衛生上よろしくはない。

今日は日経新聞朝刊文化面にPHスタジオの池田さんの文章が載った。かなり大きな記事だしこの欄は定評がある欄なので僕もうれしい。

そう、映画を公開することにはいくつか大切なことがある。もちろん、映画を公開して儲けたい、などという気持ちがないといえばウソになるが、単館・レイトショーの公開だけでそう儲かるもんではない。

ならなぜ公開するかといえば、「見てもらいたいから」というのが素直な気持ちだろうがそれだけではない。そうそう思ったようにいくわけではないのだが、映画を公開するとなると様々なメディアが映画の紹介をしてくれる。「宣伝」だけの見地で言えば、一つでも多くの記事が出て、一人でも多くの方に見てもらう、ということになるのだけど、一つ一つの記事は映画が「存在する」という証明でもある。作り手としてはその「存在証明」を求めている部分もある。同時に、劇映画の場合はやや事情が違うと思うのだけど、だいだいどんなドキュメンタリー映画でも、「伝えたいこと」があるからこそ、映画を作っているはずだ。僕の場合ではPHスタジオの「船をつくる話」というアートプロジェクトを知ってもらう、ことがやはり大きい。そういう意味でも、映画を紹介してもらう中でプロジェクトのことも伝えてもらえるので、とても意味があるのだ。

今回、幸運だったのか、今日点検してみたら、これから出るものも含めて30以上の媒体に紹介してもらっている。そのことだけでもやはり大きなことだと思う。

未分類 — text by 本田孝義 @ 21:50:42

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