2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

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2011/8/13 土曜日

東京都現代美術館

今日は気分をリフレッシュさせたかったので、東京都現代美術館へ行ってきた。前にも書いたけど、世間的には不便な所にあると言われる現代美術館だが、僕の場合は錦糸町から建物前まで10分ほどでバスで行けるので近い。まずはフレデリック・バック展を見る。僕はいまだに現代美術館でジブリ絡みの展覧会をやることに違和感はある。(過去の展覧会は見ていない。)まぁ、それは今回置いておいて、フレデリック・バックの作品のことがさらに知られるきっかけになるならよしとしよう。フレデリック・バックは僕が尊敬する映像作家の一人だ。ご多分にもれず、昔、僕の場合も「木を植えた男」に感動したのだった。展覧会では、入口冒頭に「木を植えた男」がいくつかの章に分かれて上映されている。タイムラグがあっても見れるように、との配慮なのだろう。久しぶりに見ながら、3・11後のこの日本ではこれまでと違った見え方がする、と僕は感じていた。被災地ではまだまだ木を植えるというレベルになく、がれきの撤去すら大変だと思う。でも、僕はがれきを運んでいる人びと、一人ひとりが「木を植えた男」なのだと思う。と同時に、砂漠の不毛の地に木を植えることは出来たが(実はこの話もかなりファンタジーの要素が強い。事実、展示の中にバックも実話ではないと知ってショックを受けたがアニメ化した、という説明があった。)原発事故で汚染された大地の前で、放射能の除染すらまともに出来ていない、のが僕たちの現実だ。汚染された大地にも草木は生えるだろう。木を植える人もいるかもしれない。でも、かなり広範囲に人が住めなくなった、ということは受け止めなくてはいけない。本展覧会は3・11以前に企画されていたと思うけど、「木を植えた男」という寓話は3・11後の日本にとって色々なことを考えさせてくれると思う。その後、バックのスイス・フランス時代の絵画が大量に展示されている。自然や人びとの生活を丹念に見つめた視線は暖かく、いいと思う絵も多いのだけど、それほど強いインパクトも受けなかった。カナダに移住してから面白かったのは、僕の中で謎だったカナダのテレビ局で何をやっていたのかが少し垣間見えたことだった。そして、当然、「木を植えた男」を筆頭に撮影に使った原画が展示されているわけだけど、ここで驚いたのはツヤ消しのセルに色鉛筆で描いた絵が想像以上に小さかったこと。僕は標準がどうだかよく分からないのだけど、日本の商業アニメで使われている(今は過去形で使われていた?)セルはもっと大きかった、と思う。あの小さな世界から芳醇な世界に飛躍するのがアニメのマジックなのだろう。帰りしな、図録を買うか迷ったのだが、結局DVDを購入。この7月に展覧会に合わせて新装版が出たようだ。バックの作品集は一家に一枚、だと思う。

次に「名和昇平―シンセシス」展 http://www.mot-art-museum.jp/koheinawa/ を見る。以前、別の展覧会で見たことがった。今回、個展としてまとめて見れてよかった。情報、知覚、身体など難しく言えばいろんな要素で語れると思うのだけど、凛とした美しさ(見方によればグロテスクにも見える)を一貫して感じる。

そして最後に常設展にhttp://www.mot-art-museum.jp/collection/index.html に向かう。特集展示 石田尚志が良かった。僕は石田さんの名前は知っていたが、実は作品を見たことがなかった。今回の展示では、特に少し前の作品のようだが「海の壁―生成する庭」という3面マルチスクリーンの映像作品は出色の出来だった。近年僕が見た、映像系のインスタレーション・展示で最もよかったかもしれない。先の2つの展覧会を見に来る人は多いと思うけど、この特集展示、とりわけ「海の壁―生成する庭」を見ずに帰るのは大損だ、と僕は思う。ただ、常設展を「サイレント・ナレーター」というテーマでくくった展示は、今一つよく分からない展示だった。

約4時間、たっぷり楽しんだ展覧会だった。

未分類 — text by 本田孝義 @ 21:54:32

2011/8/12 金曜日

一難去ってまた一難・・・

前にも同じタイトルを書いたが、また一難去ってまた一難、という状況になってしまった。岡山の朝鮮学校ダイアローグの準備が終わり、今日、展示素材用DVDを郵送した。26日の設置の課題はあるが、とりあえず一つの峠は越えた形だ。一方、しばらく止まっていた新作の話。しばらく止まっていたのは理由があるのだけど、あまり詳しくは書けない。結論だけ書くと、現在編集しているものからあるシーンをカットせざるを得なくなった。映画が成立しなくなるような形にはならないが、とてもいいシーンだったので、映画の豊かさが少しそがれてしまうだろう。約8分のシーンだけど。この結論に至ってかなりショックを受けるかと思っていたが、自分でもどこかすでに答えを予測していたところもあって、意外と冷静に受け止める自分がいる。もっとも、実際に編集をやり直した時にどうなるかはまだ分からないので、その時は落ち込むかも。そもそも撮影出来たこと自体が何かの間違いだった、ということでもあるので、残念だけど覚悟を決めることにする。編集は多分、来週だな。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:33:48

2011/8/11 木曜日

編集終わる

8日・9日と撮影した12人のインタビューを編集した。13分半と14分半。当初予定より、ちと長い。もちろん、時間が決められているわけではないのだが、僕は今までいろんな映像系の展示(美術展での展示含む。上映ではない。)を見てきて、大体10分ぐらいが適当じゃないか、という感触を持っている。30分以上の長い作品だってもちろん、面白いものはいっぱいあるけど、多数の作家が出品する展覧会は決して1作品だけを見に来るわけではない。そんな時にいきなり、長い作品を見せられるとげんなりする。だから今回も10分程度でおさめよう、と思っていたのだけど、撮影した人が2名増えたので、少し長くなってしまった。まぁ、15分以内だからぎりぎり許容範囲か。いずれにせよ、26日に設置してみないとどういう作品になるか分からない。そこが面白いところであり、怖いところであり・・・。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:55:55

2011/8/10 水曜日

撮影

27日から開催される、”朝鮮学校ダイアローグ”に展示する映像の撮影のため、岡山に行っていた。当初、3日間を予定していたのだけど、順調に撮影が進んだので2日間で切り上げて今日、東京に帰ってきた。今回は岡山朝鮮学校の卒業生6人と朝鮮学校がある藤田地区住民の方6名、計12名のインタビューを撮影した。おおよそ10名ほどの撮影を考えていたので12名を撮影できたよかった。本来は僕自身がリサーチから始めなければいけないところだけど、そこまでの時間はとれなかったので、実行委員会の方々にある程度あたりをつけていただいておいた。それでも、撮影しながらアポを取ったりしながら進めていたので、まぁ、順調にいったということだろう。(そう言えば、共同通信岡山支社の取材もあった。)インタビュー映像は、教室の隅2か所(対角線上)に投影予定。明日以後、編集。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:37:32

2011/8/7 日曜日

準備

明日から3日間、岡山で”朝鮮学校ダイアローグ”に出品する作品の撮影。諸々、再度、ビデオカメラをチェックする。今回は顔だけのインタビュー映像を流す予定なので、考えるところがあって4:3で撮影しようと思っている。だから、久しぶりに前に使っていたカメラを使う。撮影が順調に進むことを願う。

それにしても、諸般の事情で新作の製作が止まっているからこそ、新・港村の準備と上記撮影が出来るというのは、良かったのか悪かったのか複雑な心境。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:06:59

2011/8/6 土曜日

新・港村 始まる

今日は午前中、先週、手術した我が家の猫・チャコちゃんの抜糸。1週間エリザベスカラーを着けていたので、傷口をなめるようなことなく、無事、抜糸はすんだ。

その後、再び、新・港村へ。今日が初日。会場の立て込みがかなりバタバタしていたので、電源周りが心配だったので、家から延長コード2本を持って行って正解だった。VIDEO ACT!は大丈夫だったのだけど、同じブース内のローポジションとI.TOONのモニター&デッキに電源が来ていなかったので延長コードを接続して、なんとか3つの映像が流れるようにはなった。時々、熱心に見てくださる方もいた。昨日はほとんど会場内を回れなかったので、その後、ゆっくり展示を見て回る。3名の写真家と八戸市民が共同で作った「八戸レビュー」はとても力強い、いい展示だった。地元の方が地元の人物を取材した文章を元に、写真家の方が撮影したのだそうだ。夜のレセプションには八戸市長も来られていた。(のを遠くから少しだけ覗いた。)もうひとつ、とても興味深いブースに、「最後のテレビ」https://sites.google.com/site/saigonotelevision/ があった。聞けば、アナログ放送終了にともなって、空いた1チャンネルを使って、微弱電波を飛ばし会場内でアナログテレビ放送をしているのだそうだ。確かに、アナログ放送波が空いたのは知っていたけど、そこで一種の海賊放送が出来るとこまでは考えていなかった。目から鱗が落ちる、とはこのこと。毛原大樹さんともいろんな話をさせてもらって刺激的だった。会期中、何かコラボ出来たら面白いのだけど。・・・と面白いことは多々あったのだが、正直言って、少し観客が少ないかな、とも思った。横浜トリエンナーレの会場はどうだったのか分からないけど。(もっとも、僕の勝手な印象では、アートに限らず、この夏の様々なイベント情報があまり流れてこず、昨年の夏とは何か違う静けさを感じている。もちろん、3・11の影響だと思うのだけどどうだろう。)夕方になって、会場は暑いし、そろそろ帰ろうかな、とぼうっとしていたら、「破片のきらめき」の監督高橋愼二さんがチラシを持ってこられた。今回の新・港村での上映スケジュールがなかなか決まらず、宣伝期間が一番短くなったのが「破片のきらめき」で、そういう意味で一番ご迷惑をかけてしまったのだけど、こうして上映日時入りのチラシをちゃんと届けてくださる誠実さはとてもうれしかった。しばし、高橋さんを会場内をご案内してから、帰路に着いた。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:54:14

チラシ折り/トークショー/新・港村

今日は午後から、某映画の製作協賛金集めのチラシ折り作業。少しでも多く集まればいいのだが・・。2時間半ほど作業。

その後、YCCに行って、坂口恭平さんと卯城竜太さん(Chim↑Pom)のトークを聞く。今日の坂口さんはいくつも抽象度の高い話をしていた。Chim↑Pomの展覧会や映像作品は何度も見ているけど、卯城さんの話は聞いたことがなかったので新鮮だった。ノリを見せつつ、チーム内で徹底した議論をしている点や作品へのロマンが聞けた。2人のクロストークは少し時間が足りなかったかも。

かなり時間が延びて、ほとんど終わりだったが、明日からの新・港村 http://shinminatomura.com/ 前夜祭に顔を出す。ほんの20分ほどいただけだが、久しぶりに会う方を含めて知った方々に多く会うことが出来てよかった。

未分類 — text by 本田孝義 @ 1:27:59

2011/8/5 金曜日

新・港村/『幸せな時間』

今日も横浜の”新・港村”に行ってきた。先日のVIDEO ACT!の設置が十分に出来なかったので、やっぱり気になって今日も行ってみた。まだまだ施工中のものも多かったけど、とりあえずVIDEO ACT!が出展するブースは立ち上がっていたので、カタログ等を並べる。モニターとDVDデッキも設置したが、電源がまだきていなかったので、仮のチェックだけ済ませてきた。電源関係は、BankARTに任せることにしよう。

夜、VIDEO ACT!の第56回上映会。上映した作品は『幸せな時間』というドキュメンタリー。第2回 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルで観客賞を受賞した作品だ。監督は横山善太さんだが、本作は孫娘が自分の祖父母を撮った作品。一見、典型的なセルフドキュメンタリーのように見えながら、撮影者が編集していないので、微妙に異なる。(もっとも、僕は最初の10分ぐらい、混乱していたのだけど。)僕は映画の構造よりも、つい、自分の父のことを思いながら見ていた。話は脱線しますが、と言うのも、数日前、重松清さんの傑作「その日の前に」をやっと読んで、身近な人が亡くなる話を読みながら、そこでもつい父のことを考えていたのだった。もう亡くなって4年以上経つのに、自分の中でも何か引っかかることがあるからだろう。(具体的には死期を告知出来なかったことがずっと引っかかっているのだと思う。)そんなわけで、父と息子、祖父母と孫娘ではかなり違うのだけど、病気や痴呆を患った身内にカメラを向けることは何なのか、と考えてしまったのだった。僕はほんの一瞬、父を撮らなければ、と思ったけど、結局1秒も映像は撮らなかった、撮れなかった。その点、祖父母にカメラを向けることが出来た撮影者は幸せだ、と思った。だから、僕はそのことを含めて、いいタイトルだな、と思った。と同時に、撮影者は祖父母を深く愛していると同時に冷酷でもある、と思った。映像は一見、とても美しくいい表情がいっぱいあるのだけど、視点を変えればカメラを向ける残酷性も含んでいる。(もちろん、どんなドキュメンタリーにだってそれはあるけど。)その引き裂かれた状態がこのドキュメンタリーにはあると思う。(その是非ではない。)他にも僕は入院して3週間で亡くなった父は、いわゆる介護を必要としなかったので、そのことを考えたりしていた。上映後の打ち上げで、議論百出したのは珍しく、家族関係は千差万別だからいろんな受け止め方が出来るのだと思う。上映会ではすすり泣きが聞こえていた、ことを付け加えておきたい。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:48:55

2011/8/3 水曜日

チラシ作成/少しでも前に

”新・港村”でのVIDEO ACT!上映企画の中で、無審査・全作品上映の3分ビデオ公募を行う。3分ビデオの公募は2008年の10周年以来。今回のテーマはズバリ「3・11」。タイトルも「3・11」。募集要項は近々公表しますが、明日のVIDEO ACT!上映会に間に合わせるために応募用のチラシを作成する。とてもシンプルなものにしたのだけど、内容が内容なのでそれでいいと自分を納得させる。ちなみに、僕が担当者。(集まった作品を1本につなげるのは大変そう。)

新作の製作を少しだけ進行させる。今日は映画に使いたい楽曲の使用許可をいただいた。今回、いろんな音楽を聞いたのだけど、なかなかピンと来るものがなかったのだけど、やっとぴったりくる曲が見つかった。映画のタイトルも決まった、と思ったのだけど、もう少し検討するかもしれない。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:45:05

2011/8/2 火曜日

新・港村 設置作業/会議

昨日、VIDEO ACT!代表の土屋さんと新・港村での展示物を搬入したので、今日はその設置作業に行ってきた。が、まだ展示ブースが出来ておらず、基本的な設置状態をお伝えして会場を後にした。任せっぱなしにするとちょっと不安なので、明後日にももう一度会場に行ってみよう、と思う。

夜、VIDEO ACT!会議。10月に発行するカタログVol8の件。明後日の上映会の件。そして、新・港村の件(上映会のチラシ、3分ビデオ公募チラシなど)など。

新作の製作が止まっているので、物事が重ならず進んでいる。はたしてそれは良いことなのか、悪いことなのか・・・。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:22:47

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