進めないと・・・
諸般の事情でしばし止まっていた、新作の製作を進めなくてはいけない。(ちなみに、朝鮮学校ダイアローグに参加してたから製作が止まっていたわけではなくて、ある事情があって止まっていたところに、うまく展覧会参加がはまった、ということだったのでした。)明日は重要な相談。
2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。
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諸般の事情でしばし止まっていた、新作の製作を進めなくてはいけない。(ちなみに、朝鮮学校ダイアローグに参加してたから製作が止まっていたわけではなくて、ある事情があって止まっていたところに、うまく展覧会参加がはまった、ということだったのでした。)明日は重要な相談。
今日は表題の『監督!赤字分は折半でどうですか。~まちと映画と熱意とお金~』という、なんともすざまじい(?)タイトルのドキュメンタリー映画を見に行った。とにもかくにもインパクトのあるタイトルをネットで見つけて、気になってしょうがなかったのだ。このドキュメンタリーは、岐阜県恵那市で、大合併後のなかなか市民交流が進まないことを受けて映画製作を通じた「心の合併プロジェクト」が動き出す。6年間の募金集め・準備を得て、2010年の夏、映画の製作がスタートする、というような内容。ドキュメンタリーは言わば『ふるさとがえり』(劇映画、未見)という映画のメイキング的側面があるのだが、面白いのは通常のメイキングによくあるような撮影現場のカメラが回っているようなシーンはほとんどないこと。タイトルが示すように、映画の製作費に関して普通、あまり表に出てこないようなドロドロしたところまでカメラが入っているのが興味深い。簡単に書くと、恵那市の市民や企業が製作費を寄付して映画を作ることになってはいるのだが、どうにも思うように製作費が集まらない。それでも、無謀なことに(と僕は思った)見切り発車で撮影を開始する。一方、弁当作りからエキストラまで、市民の方々がボランティアのスタッフとして参加するが、プロの映画スタッフとの齟齬も浮き彫りになる。一見、どぎついタイトルだけれど、最近、数多く制作されている「ご当地映画」、「町づくり映画」の現実に迫ったドキュメンタリーになっているのだった。映画を作ることに制作者も市民側も大きな夢を描いているように思えるのだけど、夢だけでは物事が動かない。僕は途中まで、無謀だよな、と他人事のように見ていたのだが、よく考えれば規模は遥かに小さいけど、9年前、自分が育った町で美術展をやったことがあり、かなり無謀なこともやったことを思い出して冷や汗が出た。映画づくり、街づくりなどを考えたい人にとってはかなり面白いドキュメンタリーだと思う。もうひとつ付け加えれば、本作が映画の入り口とすれば、出口、すなわち上映をめぐるドキュメンタリーも何本か作られているので、まとめて見ると面白いかも。
今日は『渋谷ブランニューデイズ』というドキュメンタリー映画の完成試写会。諸般の事情でタイトルを書いていなかったのだけど、僕も製作委員会に関わっている映画。今日の試写会は基本的には製作費のカンパをしてくれた方々への最初のご報告、というような上映会。とにかくまにあってよかった。今日の試写会場もあれこれ探すのに苦労したのだけど、すみだリバーサイドホール・ミニシアターは50席のこじんまりした会場だが、椅子もしっかりしていて、段差もあるので見やすかった、と思う。(唯一の難点は、入場無料でなければいけない、ということだけど。)実は僕も今日、初めて見た。色々、思うところはあったのだけど、監督の遠藤さんには伝えた。台風下の不安定な天候に関わらず、人が来てくれてよかった。もう少しブラッシュアップして完成となると思う。劇場公開までたどり着ければいいのだけど。
明日まで開催中の朝鮮学校ダイアローグ。台風が岡山を直撃して心配していた。学校がある地区でも避難勧告が出たらしい。大事なく、最終日を迎えてほしい。
①席に余裕がありそうです。ぜひ、ご参加ください。(僕も参加します。)
★映画「渋谷ブランニューデイズ」完成試写会★(入場無料)
■日時:9月3日(土)①13:30~ ②15:30~ ③17:30~
■会場:すみだリバーサイドホール・ミニシアター(東京都墨田区吾妻橋一丁目23番20号)http://p.tl/98oo
②9月3日(土)19:30~
●「いぬとねことにんげんと」と「大震災から3ヶ月 被災地からの報告」の2作品の上映と飯田基晴&宍戸大裕監督によるトーク
●場所:新・港村のスクール会場 http://shinminatomura.com/
●参加費:500円※別途新・港村入場料300円 が必要
ドキュメンタリー映画『ぼくたちは見た―ガザ・サムニ家の子どもたち―』(監督:古居みずえ)を見に行った。もうすぐ公開終了、ということで気になって仕方がなかったのだ。僕は古居監督の前作『ガーダ』はとても好きな作品だ。本作は2008年から2009年にかけてイスラエル軍がパレスチナのガザ地区を攻撃し多くの人が殺され、そうした人の中のサムニ家の子どもたちを中心に描いた作品。映画を見ながら、時々、マスコミなどで「ガザ侵攻」という言葉を聞いたことを思い出し、侵攻などではなく、はっきりと「虐殺」というべきだったことに今更ながら気が付いた。本作に登場する子どもたちは両親や兄弟をことごとく亡くしている。彼らの目をじっくり撮った映像は、なんとも形容しがたい、暗く遠くを見ているような、光を奪われたような眼をしている。こうした目を見続けるのはつらい。そのつらさが現実に起きていることなのだ。ただ、少し残念だったのは、僕の体調が悪かったせいか、どこか映画として少し散漫な印象を持ってしまった。なぜなのかは分からないのだけど・…。
その後、事務所に行って昨日の作業の続き。新作のテロップの細かい修正。時間があったので、もう一度頭から見るも、時間切れで最後まで見れず。
夜、VIDEO ACT!会議。
本来なら今日から新作へのラストスパートへ向けて頭を切り替えなければいけないのだが、朝鮮学校ダイアローグで撮影したビデオを整理しているとなかなか頭が切り替わらない。おまけに作業が残ってしまった・・・・。
夕方、某映画の製作委員会会議。今週末、9月3日(土)完成披露試写会。まだぎりぎりの作業中のようで、実は僕も見ていない。今日の会議では、試写会の役割分担などの話。
ここ数日のことを簡単に。
8月26日 12時前に岡山着。バスで岡山朝鮮学校に向かう。展示場所の教室に行って、さっそくプロジェクターの調子をチェック。と言うのも、展示場所を遮光するかどうか、少し迷っていたからだ。投影する白い幕に映像を映してみると、昼間に関わらず、きれいに映像が映る。だから、教室を遮光することはやめて自然光のままで投影することにした。脚立に乗って、教室の対角線上に2枚の白い幕を垂らす。次に問題だったのは音声。一度、大きなスピーカーに通して音を出してみたのだけど、音自体ははっきりきこえるのだけど、さすがに2つの音声が干渉しすぎて余計聞きにくいことが判明。ならば、プロジェクターから直接音を出すことにした。両方の音声が思っていたよりききにくいのは計算外だったが、両方の音声が「聞こえている」状態はそれはそれでいい、と思った。汗だくになりながら設置完了。すでに設置が終わっている部屋を見て回る。かなりレベルが高い展覧会になる予感があった。(この予感は当たっていた。)何を持ってレベルが高い、と考えるかはなかなか難しいけど、こうした美術館ではない場所での展覧会で思うのは、参加作家がいかに場所・空間を読み解き、それをどう表現するか、そしてその表現がいかに見る人を触発するか、だと思う。そういう意味で、朝鮮学校ダイアローグ http://www.artdialogue.jpn.org/schedule.html はとてもいい展覧会になっている、と僕は思う。夜、当新田(とうしんでん)食堂 http://www.sysko.jp/toshinden/ でホルモン焼を食べる。うまかった!
8月27日 展覧会初日。入場者の反応が気になる。宮ヶ迫ナンシー理沙さんが作った『Roots of Many Colors』というドキュメンタリーを見る。ナンシーさんは9歳の時ブラジルから日本に来たそうだ。このドキュメンタリーはそんな彼女の自らのルーツ、日本での暮らしを語りつつ、周りに居る、イラン、ペルー、ラオスなどなどから日本に来た若者たちが率直に自らの体験を語った作品。素朴な作りではあるが、気付かされること多し。午後にチャンゴ演奏。シンポジウム。このシンポは参加作家のシンポだったのだけど、人数が多いので2言喋ったら終わってた。ラストは、ラップミュージシャン・フニさんのラップ・ワークショップ。最後は参加者皆さんがラップを披露。皆形になっているので驚き。僕はビデオを撮っていて、テープの長さがギリギリで冷や汗・・。夜、岡山駅前の「在」という店で打ち上げ。その後、会館でごろ寝。
8月28日 11時からシンポ。朝鮮学校の元校長李先生と近くの第二藤田小学校の元校長佐藤先生の対談。会場には両先生と久しぶりに会うような方々も多数来場。両校がどうやって交流してきたかという話は本当に興味深いものだった。その後、川端路子さんの『ダイアローグ+岡山物語第2部』を見る。まず、ダイアローグという作品はこの展覧会のメイキングと聞いていたのだが、メイキングを撮りながら、川端さんの世界に持っていく、というある種の力技を持った作品だった。僕も登場する。「岡山物語第2部」は1・2・3部とある作品の2部、だそうだ。だから、僕は全体像を知らないので分からない謎も多々残った。チャンゴ演奏は聞かずにご飯を食べてから、3つ目のシンポを聞く。社会学系の学者の方々を中心としたシンポ。なかなかに大切な問題提起がされつつも、消化不良の感があった。諸々の片づけをして、少人数で打ち上げ。
8月29日 10時過ぎの新幹線に乗って帰京。
明日から岡山での朝鮮学校ダイアローグに行かねばならないのだが、今日はどうにも落ち着かず。だから(?)映画を見に行った。まず、見たのは『炭鉱に生きる』(萩原吉弘監督)。2006年に公開されたドキュメンタリー映画だが、見逃していた。今回のアンコール上映は、本作でふんだんに紹介される、山本作兵衛さんの絵画がユネスコの「世界記憶遺産」に今年5月登録されたことによる、アンコール上映だそうだ。この「世界記憶遺産」は日本では初めてだそうだ。僕は以前、目黒美術館の炭鉱展で山本作兵衛さんの作品を見て、とても強い印象を受けたので、この映画を見たかったのだ。今日が最終日。とてもいい映画でした。山本作兵衛さんの絵がたっぷり見えたこともありますが、細部に注目した描き方で炭鉱と町、生活の様子がくっきり浮かび上がってきます。小沢昭一さんの語りもいい。描き方はオーソドックスだけど、こうしたドキュメンタリー映画は絶対必要な映画だ。僕は映画を見ながら、ふと、数日前、作家の佐野眞一さんが報道ステーションの中で原発について「炭鉱は炭坑節などの文化を生んだけど、原発にはなかった」と言っていたことを思い出していた。山本作兵衛さんご自身も炭鉱労働者であり、炭鉱の生活を克明に絵として記録したことも文化の表れだろう。はたして本当に原発に文化はなかったのか・・・もう少し思い出してみたい。山本作兵衛さんの絵は決して「うまい」ものではない。けど、素朴だからこそ伝わってくるものがある、と僕は思う。なお、本作の監督萩原吉弘さんが2009年に亡くなられていることは知らなかった。デビュー作の「あらかわ」、続編の「続あらかわ」を見ている。
続いて、同じポレポレ東中野で『かすかな光へ』http://kasuka-hikari.com/ (監督:森康行)を見た。教育研究者の大田尭さんのドキュメンタリー。映画は冒頭、谷川俊太郎さんの詩と朗読で始まる。そして大田さんの戦中体験、戦後の教育者としての原点が語られる。そして、「子どもたちが自ら学ぶことを助けるのが教育」という教育の理想を追求していく姿が語られる。大田さんが語られていることはとても崇高でうなずけることも多い。だからこそ、背中がピンと伸びる感じがすると同時に、少しお尻のあたりがむずむずする。うまく表現できないが、とても正しいことを聞いた時に覚える、ちょっとしたためらい、みたいなものだろうか。決して声高ではないのだけど。また、林光さんのフルートを中心とした音楽も美しいのだが、それでも少し多いなぁ、と思った。監督は教育に関する映画を何本も撮っている森康行さん。その森監督の映画を多く編集しているのが、学生時代お世話になった、古賀陽一さん。もう随分お会いしていないのだけど。
さて、明日は岡山に行って、朝鮮学校ダイアローグの展示の設置。うまくいくことを願ってます。月曜日までこのブログは休み。