2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

カテゴリー:未分類

2011/10/6 木曜日

メタボリズムの未来都市展/『監督失格』

六本木の森美術館で「メタボリズムの未来都市展」を見る。建築に詳しい人なら”メタボリズム”と聞いてすぐ分かると思うのだが、知らない人に説明しようと思うと少々ややこしい。簡単に書くと1960年からおきた日本の建築界でブームになった、都市・建築を固定したものとして考えるのではなく、生物の新陳代謝をモチーフにした、有機的な都市・建築の考え方をいう。実は僕はこのメタボリズムにちょっと胡散臭いものを感じていてこの展覧会を見に行ったのだが、自分が感じていた胡散臭さが何だったのか、分かったような気がする。これも説明するのはなかなか骨が折れるのだが、生物の持つ増殖性や変化を建築に取り入れようとした、建築家のアイディア・情熱はよく分かる。けれどもここに「不幸」があるのは、どの建築・都市計画もそのベースはどこまでいっても近代建築であって、コンクリートが建築材料なのだ。どんなに有機的なデザインに見えようとも、個別のモジュールなどもコンクリート造であることは変わりがない。もし、本当に生物的な新陳代謝を本気で求めるなら、材料も木材などの方がもっとふさわしいはずだ。ということを考えていたら、ある仮説にたどりついた。本展覧会が、丹下健三の広島ピースセンター(現在の原爆資料館)から始まっているのを見て、メタボリズムが始まった1960年というのは戦後15年、あの戦争の災禍を脱出しようとする空気がまだ残っていたのではなかろうか。なぜこれだけコンクリートが建築で一般化したかにはいろんな理由があるが、日本の戦後だけを考えてみると、焼夷弾による空襲で家・都市が焼けてしまった光景からの反省・脱却があるのではなかろうか。(たまたま今読んでいる本に、アメリカは日本の家屋をよく研究していて、木造のモデルハウスまで作って焼夷弾の実験をしていた、という話があった。)とにかく、都市計画も建築も「焼けない」ことが重要だったのではないか、と思った次第。だから、メタボリズムがいかに有機的なデザイン・考え方をしようとも、コンクリート造は手放せなかったように思うのだ。もし、今、生物的な、有機的な建築を考えるなら、建築素材も有機的なものを考慮に入れたものになるのではないか、と思う。(もっとも、「燃えない」建築は今でも変わっていないので、防火対策を名目に都市では木造建築を作ることはほぼ不可能。)最後の方で、頭はふと東北被災地の復興のことが浮かんだが、これはまた長くなるので省略。あれこれちょっと否定的なことを書いてしまったが、個別の建築家ではなく、ある時代の建築の潮流を見せる展覧会としては貴重。展示もとても見やすくてよかった。

その後、同じ六本木ヒルズで『監督失格』http://k-shikkaku.com/ (監督:平野勝之)を見る。(本当はこちらを見ようと思って上記の展覧会を思い出し行った次第。)あまりにも評判がいいので、逆に僕は見るのをためらっていた。見るのは覚悟がいるな、と漠然と思っていた。だから見るのが怖かった。その怖さは半分当たっていた。映画は前半、以前平野監督が作った『由美香』のシーンが占める。僕も公開当時見ているが、もうかなり前のことなので忘れていることが多い。うろ覚えで書くなら、本作に使われている映像は、『由美香』では使っていなかった映像も多いような気がする。あえて比較するなら、平野監督の思いが伝わる映像が多いという印象を持った。林由美香に僕は思い入れはないので、前半はいつか見た映像を反芻している、そんな感じだった。けど、こういう僕ですら、林由美香が死んでしまったのは知っているので、複雑な気分ではある。映画は後半、林由美香と別れた平野監督が林由美香の幻想に悩まされるがごとく、つかずはなれずの関係が続く。そして、数年ぶりに林由美香を撮影しようとしていたところで彼女の死を目撃してしまう。これは映画監督の業というかなんというか、彼女の死を発見する時、ビデオカメラがそこにあり、映像が残されて「しまった」。(元々は平野監督の弟子がカメラを回していた。死体を撮るようなことはなく、カメラは無造作に廊下に置かれたままその場の状況を記録し続けている。)林由美香の母親の慟哭に比べ、平野監督は冷静に見える。(いや、あの場ではそうするしかなかった、のだと思う。)こういう場面を撮ってしまったことは映画監督にとって不幸なのか、幸福なのか。(そういう意味で、主題歌を歌う矢野顕子のタイトル「しあわせなバカタレ」というのはすごい言葉だ。)とにかく、平野監督はそれ以後、カメラを回せなくなってしまう。その5年後に出来たのが本作。映画のラストシーンに胸が突かれる。本作は明日から始まる山形国際ドキュメンタリー映画祭のインターナショナルコンペ部門にも選ばれている。

未分類 — text by 本田孝義 @ 1:00:32

2011/10/4 火曜日

録音作業、始まる

予定より1週間ほど早く、スタジオでの録音作業が始まった。今日はその冒頭の作業に立ち会って、スタジオのいいスピーカーで音を聞いていると、自分の撮影ではいかに無茶苦茶な音しか録れていないかを痛感する。整音作業でどの程度聞きやすくなるか分かりませんが(何せ元の音が悪ければ限界がある・・・)少なくともお金がないので整音作業も自分でやろうとしてたことを思うとぞっとする。自分には絶対無理な作業だった。本格的な作業は来週になるが、15日にはMixの予定。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:53:08

2011/10/3 月曜日

『ニュータウン物語』上映

久しぶりに『ニュータウン物語』が上映されます。ぜひ、足をお運びください。

————————————————————————————————–

■市田邸で『ニュータウン物語』(2003年/103分)
●日時:2011年10月16日(日)①13:30~②16:30~(①と②の間に本田監督のトークあり)
●場所:市田邸(台東区上野桜木1‐6‐2)http://www.taireki.com/map/index.html
●入場料:1500円(市田邸保存協力費込み)※要申込
●問い合わせ・申込先:芸工展実行委員会(090-7706-9157)(12:00~17:00))
info@geikoten.net
●主催:芸工展実行委員会

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:00:43

アーティストの目に映る郊外

今日は夜、UPLINKに行って「アーティストの目に映る郊外」を見てきた。昼間、書籍を読んでいたのだけど、まだ半分ぐらいしか読めなかった。第一部では『新景カサネガフチ』(佐々木友輔 監督)の上映。とても不思議なテイストの映画だった。ごく大雑把に書いてしまえば、郊外(この映画の舞台は取手)の風景論とも言うべき映画なのだが、いくつもの仕掛けがある。まず、怪談としても有名な累ヶ淵の話がポツリポツリと語られる。そして語っている夫婦は未来から現在を語る、一種SF的な設定を持つ。さらにややこしいのが、この夫婦のモノローグを女性の同一人物が語っている。こうした重層的な構造を持ちつつも、映画はひたすら郊外の風景を切り取っていくのだ。僕が映画を見ながら気になっていたのは、散歩しているシーンなのに、なぜ映像は自転車に乗って撮られているのだろう、と思っていたのだが、上映後のトークで佐々木監督が「16:9の画面だと歩いて撮ると縦ぶれがひどいから」と言っていて少し納得。でも、そのブレでも歩く速度がいい場合もありそうな気がしている。第2部では小谷元彦さん(美術家・彫刻家)、藤原えりみさん(美術ジャーナリスト)、藤田直哉さん(SF・文芸評論家)、佐々木友輔さん(映像作家・企画者)によるトーク。内容は多岐にわたるが、藤原さんが「この映画は怖い」と言った所から、ゴーストについての話がひとしきり盛り上がる。その話を聞いていて、僕が『ニュータウン物語』を撮っていた時に感じていた、「ニュータウン(郊外)には”死”がない」(本当に死なない、という意味ではなくて死を受け入れる、坊さんやお墓などの仕組み)と思っていたことを思い出し、最近、そうした郊外にはセレモニーホールが徐々に増えつつあることにも頭がよぎった。だから、つい、質問してしまった・・・。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:05:37

2011/10/2 日曜日

「トポフィリア・アップデート」/『レジェンド・オブ・フィスト』/試写

最近、ある所でイベントのチラシを見て気になったものに「郊外からうまれるアート」というのがあった。残念ながら知らなかったのだが、今年、「floating  view」という展覧会があったそうだ。その書籍が出ていて、執筆者には以前お世話になった方もいて、俄然、本を読みたくなって購入した。(まだ読めていないけど。)そして、「floating view2 トポフィリア・アップデート」という展覧会も開催中で見に行ってきた。「トポフィリア」は人類学者イー・フー・トゥアンによる造語で
「場所への愛」を意味する、のだそうだ。(トポフィリア」という本は以前買ったけど読んでない・・・)想像していたより小じんまりした展覧会会場だった。いくつか面白い作品もあったけど、なかなか僕の中では郊外像には結びつかないこともあった。(もっと幅広い捉え方だとは思うけど。)明日のイベントも気になっている。

その後、映画の日ということもあって、『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』http://www.ikarinotekken.com/ を見た。タイトルからも分かるように、ブルース・リーの『ドラゴン 怒りの鉄拳』につながる作品。当然、ブルース・リーはいないわけで、主演はドニー・イェン。僕はドニー・イェンのファンではないので、うっかりチェックしていなかったのだけど、監督が僕の好きなアンドリュー・ラウなので見たくなった。映画は冒頭、第一次世界大戦中、フランスに傭兵として参加した中国人の一段のシーンから始まる。このシーンがすざまじい。僕はなんどか身震いした。普通の映画ならこのシーンがクライマックスでもいいほど。そして、ドニー・イェンが超絶なアクションを見せる。その後、主人公・チェン・ジェンは中国へ帰り日本軍との闘いへ進んでいく。途中、『グリーン・ホーネット』でブルース・リーが演じた役と同じようなブラックマスクが登場するのも御愛嬌。(実際、『グリーン・ホーネット』映画版を当て込んで登場させたらしい。映画版のへなちょこぶりに比べれば、断然こちらのほうがカッコいい。)クラブや上海の街並みなど豪華なセットも見どころだが、人間関係の描写がちと弱く、少々かったるい。それでも、最後のドニー・イェンの大アクションシーンは圧巻。ただ、アンドリュー・ラウの映画としては、題材的には難しいだろうけど、もう少しスタイリッシュな映像も見たかったかも。

夕方、谷中近くの市田邸 http://www.taireki.com/ichidatei/index.html に行く。なんでも築100年を超える、古い家だそうだ。今年で19回目になる谷根千界隈で開催される、芸工展で16日(日)にここで『ニュータウン物語』を上映してもらうことになり、映写状況を見る意味もあって、関係者試写をした次第。幸い、関係者の方々には好評だったようでほっとした。近々、上映情報もお知らせします。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:27:12

2011/9/30 金曜日

『ムーランルージュの青春』/作業/『わたしたちの夏』

今日は散髪をした後、『ムーランルージュの青春』(監督:田中重幸)を見た。1931年に新宿に開館した(20年続く)、芝居とレビューの常設館だったムーランルージュ新宿座についてのドキュメンタリー。数々の名優・作家が育っていった、とのこと。その多くはもう故人になっている。白眉は元祖アイドルとも言われる、明日待子さんが90歳を超えてお元気でインタビューと踊り(日舞)を披露されていること。数々のエピソードは興味深かったのですが、意外と作り方がラフだったのが残念でした。そのせいか、僕の中ではもうひとつ、ムーランルージュの姿が蘇ってきませんでした。(踊りや芝居の再現まであるにもかかわらず・・。)

その後、事務所に行って作業。昨日、終わった、と思っていたのだが、どうしても気になることがあり、もう一度、作業をする。これで本当に終わり、と思いたい。

夜は、『わたしたちの夏』http://tough-mama.seesaa.net/(監督:福間健二)を見る。公開されて随分経つが、気分が落ち着いた時でないと見てはいけないような気がして今日までずるずるきてしまった。映画はいくつもの重層的な要素が重なり合って独特の世界を醸し出している。今日のところは僕はその世界をうまく書けそうにない。何かを書けば何かが逃げていきそうな、そんな映画。撮影・編集・音響もよかった。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:42:56

2011/9/29 木曜日

事前作業、終わる

今日で作業を終えよう、と思っていたら、何箇所かスーパーが気になってきた。もっとも、前から気になってはいたのだが。そして、直す。その後、スタジオでの作業用テープを作成する。これでスタジオでの録音前の作業はすべて終わった、はずだ。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:28:52

2011/9/28 水曜日

録音用素材をつくる

少しややこしい話なのだが、来るスタジオでの録音作業用に本編で使った全カットをDV素材にする。新作はHDで撮影したのだが、今回お世話になる録音スタジオではハイビジョンで作業が出来ないので、作業はすべてSDでやることになっている。(ミックスダウンした音を僕の方でハイビジョンの画像につける作業をする。)だから、編集した本編から再度、全カットを割り出して、そのカットを作業しやすいように、編集に使ったのとほぼ同じ長さにカットし、それをさらにSD化する、ということだ。そうした作業は少し前に終えていたのだが、今日はそれらをDVテープに録画。これらの素材は、録音作業で使う可能性があるのだ。

未分類 — text by 本田孝義 @ 22:10:29

見る/会議

昨日、えらく時間をかけてBlu-rayにした新作を自宅で見る。いつまでたっても気になることはある。でもタイムリミットは近付いている。

午後3時、池袋にて『渋谷ブランニューデイズ』の製作委員会会議。先日の試写からかなり長くなったヴァージョンを試写。細かい点を少し直して、完成の方向。11月には完成試写か。

未分類 — text by 本田孝義 @ 0:45:59

2011/9/27 火曜日

作業は続く・・・・

今日は事務所にて諸々の作業。クレジットの手直し、などなど。夕方、Blu-rayにする作業をしてたら理由不明でフリーズ。最初からやり直したら、えらく時間がかかった・・・。とほほ。

未分類 — text by 本田孝義 @ 1:04:51

« 前のページ次のページ »