完成、一歩手前・・・・
今日はパソコン上のデータをHDV、Blu-rayに書き出すつもりだったのだが、HDVへの書き出しがなんだかんだのトラブル続きで、えらく時間がかかってしまった・・・。とりあえず、1本は作った。HDVで上映することはあまりないかもしれないが、とにかくいくつかの上映形態に対応出来るようにはしておこう、と思う。思えば、今回初めてハイビジョンの作品なので、あれこれ分からないことも多く、どうなることかと思ったが、ここまではたどりついたのではあった・・・。
2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。
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今日はパソコン上のデータをHDV、Blu-rayに書き出すつもりだったのだが、HDVへの書き出しがなんだかんだのトラブル続きで、えらく時間がかかってしまった・・・。とりあえず、1本は作った。HDVで上映することはあまりないかもしれないが、とにかくいくつかの上映形態に対応出来るようにはしておこう、と思う。思えば、今回初めてハイビジョンの作品なので、あれこれ分からないことも多く、どうなることかと思ったが、ここまではたどりついたのではあった・・・。
今日は谷中で長年続いている、芸工展の実行委員会企画として、市田邸で僕の『ニュータウン物語』が上映された。市田邸は築100年になる古い家で、そんな場所での上映。上映はなんと広い部屋の床の間の壁に投影!なんとも和む上映でした。1回目の上映では人む少なく、ちょっと心配しましたが、2回目の上映ではほぼ満席となりほっとした。2回目の上映では、”floating view”という美術展を企画し、映像作家でもある佐々木友輔さんが見に来てくれたり、プラスアーツの百田真治さんも見に来てくれた。(奇遇なのだが、今日、自宅を出たら近くの公園で”カエルキャラバン”をやっていて、おーっと驚いたのだが、そのカエルキャラバンを当初から企画してきたのが先のプラスアーツ。防災とアートを結びつけた活動をずっと続けていて、3・11後、より必要とされていくに違いない。)何人もの方と面白い話が出来たし、僕自身、色々、思い出すことや考えることもできて楽しい上映会でした。
今日は新作『モバイルハウスのつくりかた』のスタジオ・ミックスダウンの日。10時に録音スタジオである、ヒポ・コミュニケーションズへ行って、整音作業が終わったものを全編見せてもらう。自分が思っていた形と違う形で音楽が入っていて、新鮮だった。米山さんの音楽の入れ方で見ると、映画がスムーズに流れていく。同時に、ある部分では無音がとても効果的に使われていた。音に関してはかなり問題があるカメラで撮影していたので、どうしても直らない部分が多々あるのだが、それでも最初にスタジオで聞いた時を思えば雲泥の差。何箇所か気になった部分を直してもらって、ミックス・ダウンの作業に入るものの、いくつか問題が発生し、かなり時間がかかってしまった。でも、無事作業終了。作業を終えたテープを持って行って、事務所で映像に音声をつける作業。ここまでで時間切れ。パソコン上のこのデータをHDVとBlu-rayに書き出せば完成。明日は『ニュータウン物語』の上映があるので(ちなみに、今回の新作は僕の中ではつながっているのだ)、作業は月曜日に。
ずっと自宅に居てももやもやするので、今日は事務所にて待機。VIDEO ACT!の「3・11」の作業を少し。
明日はついに新作のミックス。僕は学生時代から映画の音入れが大好きだった。学生時代は8mmフィルムだったので、ほとんどがアフレコだったが、アフレコも好きだった。音楽入れ、効果音入れも好きだった。何か映画が別のものに変容していくような瞬間が好きだった。今回の映画では音に関してはとてもシンプル、なはずだ。まず、僕としても久しぶりにナレーションがない映画になる。最初の長編ドキュメンタリー映画『デフ・ディレクター』はろうあ者のドキュメンタリー、ということもあって、意識的にナレーションを入れなかった。今回は編集をしていて、ナレーションの必要性を感じなかったので、ナレーションはない。音楽も最小限度、ぐらいかと思う。とはいえ、音がどうなっているか、とても楽しみだ。
基本的に今週は自宅待機中。前にも書いたように、現在、新作の整音スタジオ作業中。その作業にずっと立ち会うことはなく、15日のミックスの前に全編を見ることになっている。とは言っても作業のことはずっと気になっているし、何か必要なことが出てくる可能性は常にあるので、米山さんに言われたわけではないが、自宅で待機するような状態にしている。明日も、多分、同じか・・。
僕が関わっている、VIDEO ACT!では、現在、「3・11」をテーマに映像作品を募集している。(募集要項はhttp://videoact.seesaa.net/article/219034679.html )。今年、あれだけ大きなことがあったので、いくつか似たようなオムニバス映像作品が作られている。なら国際映画祭は河瀬直美監督が世界中の監督に呼び掛けて、『3.11 A Sense of Home Films』を製作。また、仙台短編映画祭では41人の日本の監督に依頼して『明日』を製作。どちらも、1本は3分11秒、となっている。じゃあ、VIDEO ACT!は何が違うかと言うと、まず、歴史が違う(笑)。VIDEO ACT!では以前から3分ビデオの公募企画をやってきていて、まずは1999年に『ニッポン・戦争・私』というテーマでやった。これはVIDEO ACT!で山形国際ドキュメンタリー映画祭で日韓ビデオアクティビズムというプログラムをやった時に初めて実施した。この3分ビデオの考え方は、「誰でもが映像作品を作ることができる」というものだから、どんなものでも、無審査全作品上映をやってきた。美術で言えば、アンデパンダンというやつだ。集まる作品は玉石混交だけど、初めて作った人の作品が面白くて、その人の作品が海外の映画祭で上映された、なんてこともあった。毎年やっているわけではなくて、本当に戦争が起きてしまった、2002年・2003年と同じテーマで実施。次は憲法をテーマに2005年に『憲法万華鏡』と題して実施。次が格差社会などを受けて、2006年に『自由不平等』という題名で、さらに2008年には同じテーマで『続・自由不平等』を実施。これらの情報はこちら。http://www.videoact.jp/3min/index.html 作品が見れるものもある。しばらくこの3分ビデオの公募・上映はやっていなかったのだが、3月11日の東日本大震災・原発事故を受けて、3・11をテーマにやろうと考えた。今回、僕が担当になっていて、応募作はすべて見たのだが、様々な角度から描かれていて、とても興味深いものになりそうな予感がある。全部を1本にまとめるのは大変そうだけど。上映は10月29日。
昨晩は眠たくて書けなかったので、山形国際ドキュメンタリー映画祭で見た作品の簡単な感想を。(順番は見た順番)
8日
『監獄と楽園』インドネシア・バリ島での爆弾テロをめぐる作品。この作品のすごさは、テロ事件の犯人達に監獄内で取材していること。彼らがテロに向かう考え方が分かる。刑務所での取材が基本的に出来ない日本だとこういう作品は作れないな、と思ってみていた。(だからこそ、日本でも見てみたいのだけど。)もうひとつは、テロ事件の犯人の子ども、被害者の子どもを映し出す。決して洗練されていない、ごつごつした作品だけどこういう作品は好きです。
『隣る人』若くて大活躍中のプロデューサー、大澤一生さんがプロデューサーと知って見に行った。児童養護施設のドキュメンタリー。施設職員と児童の関係がとても丁寧に描かれている。端正な作品。
『飛行機雲(クラーク空軍基地)』フィリピンのクラーク空軍基地跡の土壌汚染について描いた作品。4時間もあるけど、題材に興味があったので見た。よくなかった。被害者の描き方も中途半端だし、なぜだか風景のカットはきれいなのだけど、人が出てくるシーンに力がない。また、アメリカによるフィリピン侵略史が随時挿入されるのだが、この構成はやり過ぎだと思った。土本典昭監督に捧げられている作品だがそれも少し空しい。どっと疲れた。
『遊牧民の家』とてもポエティックな作品。シナイ半島ベドウィン女性たちを描く。(監督も女性。)幻想的で詩的な描き方で、フェミニズムの萌芽を切り取っている。僕の中では可もなく不可もなく。
9日
『よみがえりのレシピ』監督の渡辺哲史さんを知っているので見に行った。2年ほど前から出身地である山形に東京から帰り、一から製作費員会を立ち上げて製作を進めていることを知っていた。だから見たかった。この日が初上映。傑作だと思います。日本に古くからある在来作物をめぐる作品。農作物も一種、工業化されていてスーパーなどで売れない品種は栽培されなくなっている。この映画では山形県で細々と在来品種を栽培している様子が映される。同時に、この作物の特徴に注目した漬物屋、イタリアン料理のシェフの姿も。とにかく、出てくる人たちがみんないい笑顔をしていることが気持ちいい。と同時に、食や日本の文化を深いところで考えさせてくれる。映画の作りとしてはオーソドックスだけど、とかく基本を無視した若手の監督が多い中で、基本をしっかりと押さえながら作っている渡辺監督のような人はとても貴重だと思います。山形では11月5日から公開。全国公開を期待。絶対、大ヒットします。
『龍山(ヨンサン)』2009年ソウル市ヨンサン地区の再開発をめぐって、住民と警察が衝突。5人が火事で亡くなった。この事件についての作品。事件のことは知っていたので見に行った。映画で事件の背景など知れるか、と思っていたのだがあまりそういう作品でもなかった。監督は1981年の光州事件などにも遡り、自分が運動に関われなかったことを内省的に語る。ふと、日本の70年代を想起した。
『ソレイユのこどもたち』多摩川下流で水上生活をする人のドキュメンタリー。坂口恭平さんから水上生活している人の話を聞いたことがあったので、ぜひ見たかった。いい作品だった。出てくる人の強烈なキャラクターと水上生活の様子が淡々と描かれる。淡々としてはいるが映画ならではの表現に昇華している。
『けの汁』『フレーフレー山田』『東北芸工大3.11』今回の山形国際ドキュメンタリー映画祭で重要なプログラムは東日本大震災復興支援プログラムだろう。僕はあまり見なかったのだが。先に書いた3本はこの枠で上映されたもの。『けの汁』はあおもり映画祭からのエールとして上映された劇映画。「けの汁」とはつがるの郷土料理だそうだ。主演は青森県出身の三上寛。『フレーフレー山田』僕にとって今回山形で見た中で最大の問題作。(冗談です。)以前から交流のあった岩手県山田町を法政大学応援団が訪問する。久しぶりに法政のいろんな応援を聞いた。いまだに校歌を口ずさめる自分って・・・。(でも、今の法政大学は嫌いです。)『東北芸工大3.11』は、短編(3分11秒)9本の劇映画。学生作品。いかにも学生が作った映画の雰囲気に少し気恥ずかしくなった。
『バシージ』バシージとはイランの市民兵組織のことだそうだ。監督はイラン出身で現在はフランス在住。映画は冒頭、イラン・イラク国境の荒涼とした、だけど観光客が絶えない不思議な景色を映し出す。ここで語られるのは殉教者の話。ここでの語り部でバシージのメンバーを中心にイランの政治について語られる。監督は何度もイランの抑圧体制について対話を試みるがうまくはぐらかされてしまう。このはぐらかされる様から逆にイランが浮かび上がってくるようだ。「対話」が今回山形で見た作品のキーワードだったことを後で気づいた。
10日
『仙台短編映画祭3.11『明日』』仙台短編映画祭が3.11をテーマに製作したオムニバス映画。参加監督数はなんと41人。ほとんどが劇映画。で、僕は映画を見ながら、フィクションを想像・創造する力が3.11後、何か大変やっかいなことになっているんじゃないか、と感じてしまった。各々の作品の完成度・アプローチは千差万別なのだけど、どこか心に響いてくるものが乏しい。各短編は直接3.11には触れていないものも多いのだけど。そういう自分も3.11をテーマに短編を作らなければならず、いまだ煮え切らず・・・。
『殊勲十字章』おおざっぱに書けば、ベトナム戦争についての映画。冒頭数分を見逃した。映画はベトナム戦争について語る父の話を息子2人が聞いている様子が中心。父の話は戦場のリアルを感じさせはするものの映画としてはそれほどいいとも思えなかった。
『ネネット』日本でも多くの作品が公開されている、ニコラ・フィルベール監督の作品。ある意味、僕が今回山形で見た作品の中で、究極の1本だった。なぜなら、70分の上映時間、人が全く映らない。(正確には3カットだけ人らしき姿が見えるが。)画面はひたすらオランウータンのネネットを映す。かと言って、最近はやりのネイチャー映画でもないし、ましてや日本のテレビ番組のようでもない。ネネットは40歳のお婆さんなので、動きも緩慢だし、ぼうっとしてるシーンがほとんど。では何が「映画」にしているかと言うと、ネネットを見る客の声、飼育員のインタビューなどが音声として聞こえてくるからだ。面白い、のかどうか僕は判断付きかねている。
『川の抱擁』コロンビア・マグダレナ川をめぐる作品。映画は前半、川の精霊・モハン(日本の河童みたいに思えた)について語られる。民俗的な映画なのかと思っていると、後半、川を流れてくる死体の話になる。日本で言えば(さすがに殺すことはまれだったが)、バブル期の地上げのように、村から住民を追い出すために次々と人が殺されているようだ。川で死体を見た話を淡々と語る様子は怖い。ただ、僕としては語りだけでなく、過酷な現場にもカメラを向けられなかったのか、とも感じた。(映画はとても美しいのだけど。)
『城壁』日本でも多数の作品が公開されている、アトム・エゴヤン監督(今回、山形映画祭の審査員)のプライベート色の強い作品。監督の妻が20数年ぶりに故郷・ベイルートに帰郷する時に同行。映画は未来の息子へのビデオレターとして語られる。妻の懐郷から徐々にベイルートの内戦の様子が浮かび上がってくる。軽妙なナレーションもあって面白く見られるが、でも、やはり作品としての強度はそれほどでもないな、と思った。
長々と書きましたが、僕の私的な感想です。
8・9・10日の2泊3日、山形国際ドキュメンタリー映画祭2011に行ってきた。3日間で計14本の映画を見た。(内短編集2本含む。)作品の感想はまた明日にでも。
さてさて、今日、10日から新作「モバイルハウスのつくりかた」のスタジオ整音作業が始まった。15日にミックス。来週には完成予定。
今日は『猿の惑星 創世記』を見た。予告編を見た時は、またビギンズもの(かつての作品の前日譚を描く作品がやたらと多い)、それもあの傑作『猿の惑星』の始まりの話と知って、やめときゃいいのに、と思っていた。で、見てみたらこれが予想以上に面白かった。特に僕が興味を持ったのは、猿が反乱を起こすのが、広い意味でバイオハザードだったことだった。(以下、ネタバレ含む)アルツハイマー病を克服するための治療薬が猿に投与される。(もちろん、現実でも治験で猿に投薬されることはよくあること)そこから、脳が発達した猿が生まれる。簡単に言えば、この猿が反乱をおこす猿のリーダーになる。同時に本作では先の治療薬が人類にとっては破滅への一歩になることが示唆される。(続編があるのかも・・。)こういう設定は荒唐無稽、とはいえない。本作では明確な描写はないが、治療薬は間違いなく、遺伝子操作で生まれたものだろう。また、製薬企業が売り上げ至上主義に走ることも現実にあるわけだ。(ここ日本でも薬害エイズが起きたわけだし。)思えば、『猿の惑星』が公開された1968年以後、1970年代に遺伝子工学は爆発的に発達するわけで、現在に作られる前日譚としてはなかなか重要な要素を組み込んだな、と思う。同時に、すごいのは猿のCG。表情まで生き生きと描かれる。そのことがドラマ性の奥行きまで与えていて、僕は映画を見ながら、野性と知性の関係についてずっと考え続けていた。
夜は、横浜の新・港村で『フツーの仕事がしたい』の上映。久しぶりに見たのだが、主人公の生コン運転手・皆倉さんが仕事をしているのは結構、横浜周辺だったことに気付いた。そういう意味で、目の前にみなとみらい地区が広がる場所で上映出来たのはよかったと思う。
明日から3日間、山形国際ドキュメンタリー映画祭に行くのでブログはお休み。
明日、下記の上映が行われます。ぜひ、足をお運びください。
●「フツーの仕事がしたい」DVD発売直前記念イベント(上映&土屋トカチ監督トーク)
10月7日(金)19:30~21:30
映画公式サイト:http://nomalabor.exblog.jp/
※上映は新・港村内、会場はスーパースクールにて。
BankART LifeⅢ
新・港村公式サイト:http://shinminatomura.com/
参加費:いずれも500円(当日、会場にて)
※参加費とは別に、以下のBankART LifeⅢのチケット(新・港村パスポート)料金が必要です。
一般当日 300円 / 大学生当日 250円 / 高校生当日 200円