「星新一 1001話をつくった人」
最相葉月著「星新一 1001話をつくった人」(上・下)を読み終わる。単行本で出た時も高評価が多く気になっていたのだが、文庫になったので読んでみた。僕自身は星新一のファンでもなく、ぽつぽつと作品を読んだ程度。この評伝の前半は、作家デビューまでの紆余曲折。僕はよく知らないのだけど、星新一(本名・親一)は星製薬という、戦前・戦中かなり大きな製薬会社の御曹司だった。1年ほど、若かりし日に社長もやっていて、会社がボロボロになっていく修羅場を経験している。こうした経験が作品にも反映しているのかもしれない。ショートショートを書き始めてからは、まさに日本のSF史。今でこそ少なくなったが、それでもまだまだあると思うけど、文学的に一段低く見られていたSFを書き続けることからくる悲喜こもごも。そして、1001話を目指し始めてからの苦闘。とても読み応えがある本だった。
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