2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

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2010/2/5 金曜日

「コミュニティを問い直す」「社会をつくる自由」

最近読んだ本2冊。まずは「コミュニティを問い直す つながり・都市・日本社会の未来」(広井良典著)。内容をコピペすると、戦後の日本社会で人々は、会社や家族という「共同体」を築き、生活の基盤としてきた。だが、そうした「関係性」のあり方を可能にした経済成長の時代が終わるとともに、個人の社会的孤立は深刻化している。「個人」がしっかりと独立しつつ、いかにして新たなコミュニティを創造するか―この問いの探究こそが、わが国の未来そして地球社会の今後を展望するうえでの中心的課題となろう。本書は、都市、グローバル化、社会保障、地域再生、ケア、科学、公共政策などの多様な観点から、新たな「つながり」の形を掘り下げる大胆な試みである、という本。新書。なかなかに精緻な分析でうなづけること多し。では、現実にどう実践するのか、という部分は難しいだろうなあ、とも思う。

上記の本で少し不満な部分もあったので読んでみたのが「社会をつくる自由―反コミュニティのデモクラシー」(竹井隆人著)。これも内容をコピペすると、社会と自由とは相対立し、憂慮される社会の連帯の喪失に自由の進展が手を貸してきたと見られている。この連帯を取り戻そうとするあまり、無責任な「コミュニティ」なる「仲良し」が蔓延し、それによって自由は制約を強いられているが、自由には社会を自らが責任を持って担う面もあるのではないか。この「社会をつくる自由」は、同調圧力に屈しない「反コミュニティのデモクラシー」を契機として現れる。これを出発点に、本書は自らと異なる他者とも社会をつくる方途を鮮やかに描き出そうとする、という本。新書。とかく閉鎖的と批判されるゲーテッド・コミュニティーを違った角度から考察する部分などは面白かった。また、社会を作る基礎として「集合住宅デモクラシー」を提示する部分も面白かった。けど、こちらも現実はなかなかに難しそう。ちなみに、本書は2009年3月刊、前書は2009年8月刊。僕はたまたま逆の順序で読んだ。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:14:49

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