「足利事件」
今年の大きなニュースとして、冤罪が明らかになった足利事件がある。僕はそれほど詳細にこのニュースを追っかけていたわけではないが、知りたいことがいくつもあったので、文庫本が出た『足利事件』(小林篤著)を読んでみた。今日、読了元々の単行本は2001年に出ていたようだ。読み終わって、近年でも重量級の本だと思った。誤解を恐れずに言えば、下手なミステリー小説を読むよりはるかにスリリング。警察・検察の論理に丁寧に証拠を集めながら反論していく論証は、その取材の大変さを思うと余計に感心してしまう。また、当時のDNA鑑定のどこに問題があったのかもよく分かった。そして、菅家さんの自白がどういう構造の中でなされたのか、単純な「強要」とは言い切れない複雑さも含めて分析されている。年末に、ふと固い本を読みたい、と思ってこの本を手に取ったがとてもいい本だった。
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