『沈まぬ太陽』
僕は山崎豊子の小説はほとんど読んでいないが、「白い巨塔」だけは特別で、中学生の時、テレビで再放送していた、田宮二郎版「白い巨塔」にはまって見ていたことがある。DVDも全巻持っていたりする。現在、テレビで放送中の「不毛地帯」は録画しているのだが、まだ一話も見ていない。大評判になった「沈まぬ太陽」も長くて、結局読まずじまいだった。まあ、そんな感じです。で、映画の『沈まぬ太陽』を見に行った。3時間半の長い映画。タイトルまでの時制を入れ替えた導入部のぎくしゃくした感じがいやだったが、しばらくして落ち着いた。映画そのものは、いいとも思わなかったが悪いとも思わなかった。演出は正攻法で、じっくり腰を据えて見れる作るになっている。主演の渡辺謙は、役にかける熱い思いを見たり聞いたりしていたから、つい、力のこもった、大熱演を想像していて、見る前はちょっといやだったのだが、意外と抑えた演技。それもそのはず、主人公・恩地は映画のほとんどのシーンでひたすら「耐える」人物なので、ぐっと言葉を飲み込む場面が多いからだ。個人的には石坂浩二、三浦友和もよかった。前半、労働組合の委員長だったことから左遷され、世界中に飛ばされる主人公を見ていて、ふと父のことを思い出していた。父も組合の運動で社内ではかなりいじめにあって、結局、体を壊して会社を辞めたのだった。後半の政界がらみの話は、いかにも山崎豊子原作、という気がしたのだが、見ながら、政権交代が起きて、JAL(映画では国民航空=NALという架空の航空会社だが誰が見てもJALがモデルなのは分かる。)の再建策が議論されている時に公開されるのは、絶妙なタイミング(製作中はそんなことになるとは思っていなかったろうけど)なのかもしれない。時としてそういうことは起きるものですね。原作は・・・読みたいけど長いからなあ。
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