「倒壊する巨塔」/『LINE』
ここのところ読んでいた「倒壊する巨塔ーアルカイダと「911」への道」を読了。いろんな書評で取り上げられていて、とても読みたいと思ったのだが、書店でなかなか見つけられなかったが、某書店でやっと見つけて買った。本の場合、どうしてもちょっと立ち読みしてから買うたちで、時々、探す本があったりする。9・11はいろんな意味で大きな事件だが、なぜあんなことが起きたのかを解き明かしてくれる本は意外と少ない。思想的なことだけではあまりにも学問的だし、政治だけでは分からないこともある。本書は、9・11を起こした側とアメリカの捜査官双方の人間を丁寧に掘り下げていて読み応えがある。ちょっと驚いたのは、ウサマ・ビンラディンと言えば、サウジアラビアの富豪、というイメージだったが、ある時点でサウジアラビアを追放されて、金銭的にも困窮していた時期があること。あるいは意外と病弱だったり、思想的にもそれほど深みがないことなどが語られる。同時に、FBI捜査官・オニールは、私生活に難がありつつ、かなりアルカイダに迫っていたにも関わらず、彼の警告が結局生かされず、不幸な巡り合わせによって、倒壊したWTCで亡くなってしまうのは、なんともやりきれない。作者もあとがきで書いているように、本人への取材がかなわない中で周辺への徹底した取材によって浮かび上がらせた話は、間違いがあるのかもしれないが迫力がある。
夜、プロデューサーの大澤さんに誘われて、小谷忠典監督のドキュメンタリー映画『LINE』の試写に行く。監督本人が登場し、モノローグを語る、いわゆるセルフ・ドキュメンタリー。父親との齟齬、思春期の心の傷、そして沖縄の娼婦たちを見つめる。昨年、特集などで上映されて評価が高いようだが、僕は個人的に苦手な映画だった。その理由はうまく整理できていないので、今日は書けない。来春公開予定とのこと。
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