「牧島如鳩展~神と仏の場所~」
最近は絵を見てど肝を抜かれるということはなかなかないのだけど、今日、見た絵の数々にはど肝を抜かれました。見たのは「牧島如鳩展~神と仏の場所~」という展覧会。難しい名前は、”まきしまにょきゅう”と読むそうだ。たまたま新聞記事を読んで、そこに掲載されていた1枚の絵の小さな写真にただならぬものを感じて見に行った次第。牧島如鳩という人は中央画壇で活躍したような方ではなく、宗教家でどちらかと言えば異端の人なのかもしれません。若い頃にイコン画(日本ではあまりなじみがないですが、ロシア正教で描かれる宗教画と言えば通じるでしょうか)を学んで絵を描き始めるのですが、面白いのは仏教画も並行して描いている点。そして徐々にイコン画と仏教画の世界が混交して、独特な趣の絵を多数描いています。「東洋と西洋の融合」などと書くと分りやすいのですが、そんな単純なものでもない。とにかく、異様に艶めかしい菩薩像だったり、油絵独特のぎらついたタッチだったり、圧倒されます。見ながら頭がくらくらしてきたのは、どこかで見たことがある意匠が、どう見てもそれまで出会ったことのない世界観で描かれると、脳のある部分がしびれるような感覚を覚えるのです。中でも漁業組合の依頼で描かれた「魚籃観音像」という作品は、もう、言葉にならない世界でした。(今でも大漁を祈って小名浜漁業組合にかざってあるそうです。)1975年に亡くなられていて、すでに30年以上経つわけですが、昨年、足利市での展覧会がほとんど初めての大規模な展覧会だったようです。まだまだ知られていない画家というのはいるものです。
トラックバック URL :