『こつなぎー山を巡る百年物語』
『こつなぎー山を巡る百年物語』というドキュメンタリー映画を試写で見せてもらった。”こつなぎ”というなんとなくかわいらしい名前は、地域の名前で漢字だと「小繋」と書く。岩手県の集落。ここで大正時代から約60年にわたって、山の入会権をめぐって住民と地主が争うこととなり、裁判が起きたり弾圧が起きたりした。この映画は、1960年から取材をしていた3人のジャーナリスト(写真、音声、映像)の意思を受け継ぎ(3人ともすでに他界)中村一夫監督がまとめた作品。とにかく歴史を丹念に掘り起こし、どういう裁判だったのかが克明に描かれ、そして今地域の方々がどう暮らしているのかが描かれる。こういう骨太な作品を字義どおり力作というのだろう。山の入会権からいろんなことを考えさせられる。山で暮らす人々にとって、山に入ることは生きていくことそのもの。それが、近代的な「所有」の概念でつぶされていく。僕は見ながら、今、自分が関心があることと根っこでつながっている、と思ったりしていた。話が飛ぶようだけど、たまたま昨日、「ストリートの思想」という本を読み終わった。僕自身はこの本には若干ひっかかるところがあるのだけど、「この場所って誰のもの?」という問いは、山と都市の違いはあっても、根っこではつながっているかもしれない。この映画は来年、上映が予定されているそうだ。
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