Chim↑Pom展覧会「広島!!」
昨年の騒動、そして本を読んでから気になっていた、Chim↑Pomの展覧会「広島!!」をやっと見ることができた。Nadiffの展示は1階に「リアル千羽鶴」、B1で映像の「広島の空をピカッとさせる」となっていた。やはり気になるのは映像。写真で見た時の違和感は、映像を見るとまた違った感想を持った。一言で言えば、間抜けだ、と思った。ただし、この「間抜け」という感想は全否定を意味しない。そもそも、なぜ文字を空に書いたのか、という疑問は変わらないのだけど、映像では飛行機が空に文字を書く時間がそのままリアルに表現されているので、「ピカッ」という文字が見えるまでかなり時間がかかるし、「ッ」が描かれる頃には最初の文字はほとんど消えかかっている。だからどうしたって間延びしている。「ピカッ」は確かに原爆を表象するものだろうけど、映像はどう見たってのんびりしたものだ。文字というせいもあって、間抜けに見える。思うに、こうなることは予測してやっているはずだから、間抜けに見えたことは十分戦略のうち、なのだと思う。問題はここからで、その戦略は成果を上げているか、というと僕にはそう思えない。ただ、なんだかなあ、という引っかかりを覚えたのだから、それはそれで成功しているのかもしれない。だけれども、Chim↑Pomの他の映像作品から感じた、価値をひっくり返すような爽快感は、ここにはない、と僕は思う。それぐらい、原爆というテーマは強力なのかもしれない。もしかすると、広島現地での騒動を知った後にこの映像を見る人たちは拍子抜けするだろう。そこがもっとも面白かったりして。ただし、この作品が広島でどう見られるかは分らない。不謹慎だと思う人が多いのか、あほじゃなあ、と思う人が多いのか、分らんは、と思う人が多いのか、面白いと思う人が多いのか。そういう意味でも、やはり広島でもやってほしい、とは思う。「リアル千羽鶴」もあまり面白いとは思えませんでした。
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