「仮想儀礼」
篠田節子著「仮想儀礼」(上・下)を読み終わった。これまた、上下巻合わせて900ページを越える大著。どうも最近、長いものを読みたいのかもしれない。さて、本書、行き詰った男二人が「金儲け」のために宗教団体をでっち上げる話。まずはネット上にホームページを開設するが、生きづらい系の若者が入信し、その後、ビジネスマンにも広がっていく。面白いのは、教祖がそもそも「似非宗教」と思っているから、説教をたれながら常にうそをついていることを自覚しているところ。こういう面白さはあるのだが、僕にはちょっと薄味な気がした。宗教の拡大過程が丁寧に描かれるが、少し類型的な気がする。もっとも、こうした軽薄さで拡大していくのが今という時代という気がしなくもない。後半の宗教団体が崩壊していく部分のほうが面白かった。それにしても、こういう本を鞄に入れて持ち歩くのは重い・・。
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