『Pina』/石川直樹写真展/文化庁メディア芸術祭
今日は当面、やることがなくなったので、3つをはしご。まず、『Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』(ヴィム・ヴェンダース監督)を見た。製作中からいろんな意味で話題になっていた作品。まずはとにかく、踊りが3Dの効果でどう見えるのか、に興味があった。3Dは乱暴に言えば、飛び出しを重視場合と、奥行きを重視する方向がある。(本当はもうひとつ、包み込む、というのがあるのだけど、こちらは付随的な扱いがほとんど。)本作は明らかに後者。舞台を撮っていても、かなり奥行きのある空間を感じることが出来た。ただ、3Dの特性だと思うのだけど、大勢の人が映った場合、人間が人形のように見える瞬間が結構あって、これはどうしたもんか、とふと思ってしまう。僕は踊りの世界は全く門外漢なので、何がどう、とは言えないのだけど、舞踏団の踊りには目を奪われました。(個人的に気になったのは、日本の舞踏の影響ってどうなんだろう、ということ。ある人のインタビューでは大野一雄さんの名前が出てましたが。)そもそも、どんな映画でも体が動くだけで楽しんでしまう僕ではあるのですが。
その後、銀座のニコンサロンで石川直樹「やがてわたしがいる場所にも草が生い茂る」写真展http://www.nikon-image.com/activity/salon/exhibition/2012/02_ginza.htm#03を見る。石川さんが震災2日後に被災地に入ったことは知っていたが、どういう写真を撮ったのか、見たかった。特に印象深いのは、破壊された家々(見た眼はもう木切れにしか見えない・・・)に雪が積もった写真だ。確かに震災は3月11日、まだ冬であったわけだが、こうして写真で見ると、うまく言葉に出来ない、妙な静けさと映っているものの「多さ」に目が奪われる。石川さんはその後も継続的に通っていて、その後の光景も同時に展示されている。なお、銀座ニコンサロンでは連続して被災地を撮った写真家の写真展をやるそうだ。確かに、映像だけではなく、写真家も多くの人が被災地を撮っているのだった。
そして最後に、文化庁メディア芸術祭http://megei.jp/ の展示を見に行った。各々の作品には興味深いものもあったのだが、途中で僕はうすら寒くなってきた。なぜなら、震災・原発を扱った作品が3点しかなかったからだ。もともと、そういう作品が少なかったのか、部門が限られているので入れる余地がないということもあるのだとは思うけど、2011年はメディアの在り方がこれほど問われた年もなかったし、今後もそうそうあるとは思えない。だから、多少、無理をしてでもメディアの活動を紹介してもよかったはずだ。どんなに高度なデジタル時代になっても、被災地ではコミュニティFMがいくつも立ち上がって、身近な情報を届け続けた。こういう活動こそ、メディアの展覧会で紹介してもいいと思う。そのことが残念だった。
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