『普通に生きる』
今日は『普通に生きる』という、ドキュメンタリー映画を見た。昨日が初日だったのだが、行けなかったので2日目に行った次第。静岡県富士市にある生活介護事業所でら~とを描くドキュメンタリー。映画の冒頭、重度の障害を持つ兄妹が出かける準備をしているシーンから始まる。何気ないシーンだけど、撮影者と写される人たちの信頼関係があってこそ撮れるとてもいいシーンだ。昨日、土井監督が「ドキュメンタリー映画は撮影が始まる前の関係が重要だ」と言っていたことを思い出した。本作の舞台でら~とが先進的でユニークなのは、重度心身障害児の親たちが、養護学校卒業後、施設に入るか、家庭で介護するしかない状況だった中で、本当に自分たちが望む場所を一から議論して立ち上げていったことだ。その労力や並大抵ではなかったことは想像できるが、その時のことを語る方々の表情はどこかすがすがしい。同時に、親たち、でら~とな望んだのは、子どもたちが地域の中で生き、地域に開かれていくことだった。「福祉」の話になると、つい、啓蒙的になるか、少々無理やりな感動話になってしまうことがあるが、本作にはそういう感じはない。僕が感じていたのは、スクリーンから爽やかな風が吹いてくることだった。映画を見てそんな気持ちになったのは随分、久しぶりかもしれない。上映後、本作の撮影・プロデューサーである、貞末さんに久しぶりにお会いした。
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