「遺体」
石井光太著「遺体―震災、津波の果てに」を読み終わった。読んでよかった、と思った。3・11の震災から8カ月が経つが、僕は震災直後から、死者がどう弔われたのか(あるいは弔うことがいかに難しいか)を知りたいと思っていた。僕は震災後のテレビ・写真の報道をあまり見ていないので、報道がどうだったのかはよく分からないのだが、こういうシビアな現場はなかなか報道できないだろうな、と思っていた。筆者は地震直後から釜石市に入り、遺体を収容し、検視をし、火葬される現場を関わる人たちの行動から克明に描き出している。僕は刺激的な本のタイトルもあって、センセーショナルな書き方ならいやだなと思っていたのだが、そんなことは全くなかった。読んであらためてすごいなと思ったのは、死者に関わることになった人たちが各々の立場で懸命にその職責を全うしようとしている姿だった。
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