『炭鉱に生きる』/『かすかな光へ』
明日から岡山での朝鮮学校ダイアローグに行かねばならないのだが、今日はどうにも落ち着かず。だから(?)映画を見に行った。まず、見たのは『炭鉱に生きる』(萩原吉弘監督)。2006年に公開されたドキュメンタリー映画だが、見逃していた。今回のアンコール上映は、本作でふんだんに紹介される、山本作兵衛さんの絵画がユネスコの「世界記憶遺産」に今年5月登録されたことによる、アンコール上映だそうだ。この「世界記憶遺産」は日本では初めてだそうだ。僕は以前、目黒美術館の炭鉱展で山本作兵衛さんの作品を見て、とても強い印象を受けたので、この映画を見たかったのだ。今日が最終日。とてもいい映画でした。山本作兵衛さんの絵がたっぷり見えたこともありますが、細部に注目した描き方で炭鉱と町、生活の様子がくっきり浮かび上がってきます。小沢昭一さんの語りもいい。描き方はオーソドックスだけど、こうしたドキュメンタリー映画は絶対必要な映画だ。僕は映画を見ながら、ふと、数日前、作家の佐野眞一さんが報道ステーションの中で原発について「炭鉱は炭坑節などの文化を生んだけど、原発にはなかった」と言っていたことを思い出していた。山本作兵衛さんご自身も炭鉱労働者であり、炭鉱の生活を克明に絵として記録したことも文化の表れだろう。はたして本当に原発に文化はなかったのか・・・もう少し思い出してみたい。山本作兵衛さんの絵は決して「うまい」ものではない。けど、素朴だからこそ伝わってくるものがある、と僕は思う。なお、本作の監督萩原吉弘さんが2009年に亡くなられていることは知らなかった。デビュー作の「あらかわ」、続編の「続あらかわ」を見ている。
続いて、同じポレポレ東中野で『かすかな光へ』http://kasuka-hikari.com/ (監督:森康行)を見た。教育研究者の大田尭さんのドキュメンタリー。映画は冒頭、谷川俊太郎さんの詩と朗読で始まる。そして大田さんの戦中体験、戦後の教育者としての原点が語られる。そして、「子どもたちが自ら学ぶことを助けるのが教育」という教育の理想を追求していく姿が語られる。大田さんが語られていることはとても崇高でうなずけることも多い。だからこそ、背中がピンと伸びる感じがすると同時に、少しお尻のあたりがむずむずする。うまく表現できないが、とても正しいことを聞いた時に覚える、ちょっとしたためらい、みたいなものだろうか。決して声高ではないのだけど。また、林光さんのフルートを中心とした音楽も美しいのだが、それでも少し多いなぁ、と思った。監督は教育に関する映画を何本も撮っている森康行さん。その森監督の映画を多く編集しているのが、学生時代お世話になった、古賀陽一さん。もう随分お会いしていないのだけど。
さて、明日は岡山に行って、朝鮮学校ダイアローグの展示の設置。うまくいくことを願ってます。月曜日までこのブログは休み。
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