アトミックサイト展
今日は暑い真昼間から自転車をえっちら漕いで、現代美術製作所に行って”アトミックサイト展”を見てきた。昨日見た展覧会が静謐だったとすれば、今日見た展覧会は心に爪をたてられるような、そんな気分になる展覧会だった。そういうことが悪い、と言っているわけではなく、3・11の原発事故を受けての展覧会であり、常にアクチュアルにアクティビストとしてアート活動をしてきたイルコモンズさんが監修しているだけあって、放射能下で生きることへの怒りが根底にあり、放射能下で生きなければいけないことが現実であることに向き合わされる、そういう意味だ。イルコモンズさんのビデオも全部見た。そして最後に、ユリア・レーザ+クラリッサ・ザイデル監督「レディオ・アクティヴィストたち/福島以後の日本のプロテスト」(60分/ドイツ/2011年)を見た。反原発のデモはマスコミがほとんど報道しなかったが、ネット上ではいくつも映像があった。が、よくよく考えてみれば、今のこの若者を中心にした反原発運動そのものを捉えたドキュメンタリー映画というのは、僕が知る限りなかったように思う。そういう意味ではドイツの監督が作った、というのは意味があると思う。ただ、僕の個人的な感想を言えば、素人の乱を中心としたデモの準備からデモへの生な感じは面白いのだけど、毛利嘉孝さんらの言説で背景を「解読」しようとしている部分がどうにも引っかかる。人によってドキュメンタリーに求めるものは違うと思うけど、僕はあまり解説を聞きたい方ではない。学者の方々の解説はそれ単体でどこかの文章として読めば納得出来る部分もあると思うのだが、反原発運動を一足飛びに日本の資本主義の矛盾、中東のような民主化革命と結び付けることに僕は抵抗がある。また、映画の中でこうした言説を聞くと、デモの生々しい感じが何か「回収」される気がしてしまうのだ。こういう見方はひねくれているのだろうか・・・。
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