『プリンセス・トヨトミ』
最近、我ながら怠惰だという自覚があるのだが、土日はつい近くのシネコンに行ってしまう。見なければいけない映画も多々あると思うのだが、精神的にあまり重い映画を見る気にもなれず、つい手近なところで済ませてしまっている。
そんなわけで、今日は『プリンセス・トヨトミ』を見た。<以下、ネタばれ含む>「大阪全停止」というコピーにつられた。原作は読んでない。内容は大阪は「独立国」として豊臣家の子孫を守ってきた、という荒唐無稽な話。僕は荒唐無稽な話も好き。だけど、原作は知らないが、少し奇抜なアイディアを思いついたレベルで満足している、という気がする。今ある日本国の中に「独立国」がある、というのはちゃんとやればかなりポリティカルで面白いと思うのだが、この映画はそこに大きな穴がある、と僕は思う。そもそも、会計検査院の査察で実体がばれていく構成なのだけど、たった5億円(そりゃ僕個人のレベルなら大金だけど)の補助金を日本国からもらっていることで毎年、実体がばれるかもしれないというようなことはあり得ないだろう。本気で独立国的な動きをするなら、大阪人なら自前で財政をどうにかするに違いない。この映画を見た大阪の経済人は怒るんじゃないだろうか。荒唐無稽、大ウソをつくからこそ、こうした細部をおろそかにしてはいけないと思う。同じように、大阪国総理が息子に重要な「通路」を見せる、大阪国の話をするのだが、その総理自身の大演説で、「死を悟った父が息子に伝える」と言うのだが、僕はてっきりこの総理も死期が近いのかと思ったら、全くそういう気配はない。もしかすると総理の特権なのだろうか。もっとも、総理まで死期が近い、なんてなるとお涙ちょうだいに走る最後はさらに臭いものになるので、そうは出来ないだろうけど。でも、この大きな穴は気になる。もう一つ書くと、この映画は基本的にドタバタ、笑いを狙っていると思うのだが、劇場は静まり返っていた。ヒットはしてるようだけど。いいなと思ったのは、普通、人でごった返している場所に人がいない、無人のカット。どこまでがロケでどこから合成か気にはなっているのだけど。(不自然なカットがいくつかあったので。)
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