『平成熊あらし』
今日は夜、VIDEO ACT!の上映会。上映作品は『平成熊あらし』。この映画を作ったプロダクションは”群像舎”というところで、動物もののドキュメンタリープロダクションとして歴史も長く優れた作品を数多く作っている。動物もの、と言っても、最近テレビであるような「かわいい、かわいい」なんてものではなくて、自然の厳しい環境の中の動物の生態や人間との関係を描いた作品が多い。僕は、今までに何本も見ていて、いつも感服することが多かった。とにかく、動物を撮るのは粘り強い姿勢が必要で、時には何年も粘らないと撮れないこともある。『ニホンザル・モズ』にいたっては、19年も一匹のサルを追いかけた作品だ。監督の岩崎雅典さんは今日までお会いしたことはなかったけど、ひそかに尊敬していた監督だ。そんな岩崎監督の『平成熊あらし』を上映した。本作は、近年、人が住む地域で熊と遭遇することが増えており、その背景をじっくり描いている。いいと思ったのは、原因を一つには絞らずに、広い視野を持っていること。前半は人里に現れる熊と人間がどう向き合っているかを描き、後半、マタギの視点から語られる。このマタギ達の話がとても興味深くて、狩猟採集が少なくなったこともクマ出没の背景だ、というのは、僕自身、あまり考えたことがない視点だった。監督は上映後のお話で「人間と動物の緊張関係がなくなった」と語られていた。上映後の打ち上げで、岩崎監督といろんな話が出来て、今日は有意義な日だった。
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