2008年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショーされる
映画『船、山にのぼる」の監督・本田孝義のブログです。

本田孝義

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2010/9/16 木曜日

原稿書き/『街のひかり 深谷シネマ物語』

日中、とある原稿を書いていたのだが長大なものになってしまい、えらく時間がかかってしまった・・・。

夜、『街のひかり 深谷シネマ物語』というドキュメンタリー映画の完成披露試写会へ行った。埼玉県深谷市に2002年小さな映画館「深谷シネマ」がオープンした。深谷市に映画館がなくなってから長い年月が経っていた。このドキュメンタリーはその深谷シネマが区画整理の影響もあって、2010年4月に移転・再オープンする過程を描いたもの。監督は飯塚俊男さんなのだが、本作は映画美学校のドキュメンタリー・コース高等科の実習として作られた作品でもあるのだ。言わばプロの映画監督と受講生のコラボレーション、ということだろうか。僕は作品を見ながら、2つの点でうらやましいなあ、と思っていた。一つは、こうして受講生の人たちが本格的な作品制作の実習が出来る点だ。僕はドキュメンタリーに興味を持ち始めたのは、大学を卒業する間際のことで、そこからきちんとドキュメンタリーを学ぶことは出来なかった。当時、映画美学校のような学校があれば多分、受講していたことだろう。(映画美学校は基本的に夜間に授業がある。だから受講生には働いている人も多い。)もうひとつ、本作はコミュニティーにおける映画館の意義を描いているわけで、その活動自体がいいなあ、と思ったのだ。僕は全国のミニシアターのいくつかに伺ったことがあるし、映画館とはいかなくても、映画館がなくなった街でなんとか映画の明かりを絶やさないよう活動している人たちも知っている。この映画をそういう人たちにぜひ見てもらいたいなあ、と思った。不覚にも、僕は深谷シネマの存在を知ってはいたのだが、今まで行ったことがなかった。移転・再オープンした映画館は古い酒造を改築した建物で、その佇まいが何ともいえずいい。最近、古い建物のリノベーションが盛んだけど、映画館へのリノベーション事例としても、画期的なはずだ。また、このドキュメンタリー映画の中では、映画館が出来る前に映画版『ゲゲゲの女房』のロケが行われた様子も出てくる。『街のひかり』は、飯塚監督らしく街の歴史から始まり、実に丁寧な取材がされている。様々な立場の人たちがどういう思いで「深谷シネマ」を支えてきたか、見つめてきたが浮かび上がってくる。あえて欲を言えば、個人的にはもう少しワクワクするような展開も見たかった気もするが、それはないものねだり、かもしれない。なお、本作は10月10日から開催される「花の街ふかや映画祭」において10月17日にクロージング作品として上映されるそうだ。

未分類 — text by 本田孝義 @ 23:40:40

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